朝
東の板戸の節をくぐり抜けた光が
鱗のように連なる土間に
波形の影をつくりながら
寝屋へ
届く
と
たった一枚の曇りガラス
その厚さの向こう側で拡散し
眠っている子供を
見つける
祖母は畑にいて
家の中には他に誰もいない
さわさわと
ざわざわと
聞き覚えのある音が
置き忘れたものを包み込むように
裏山から駆け下りてくる
すると
それが合図かのように
頬被りしたまだ若い祖母が
背負い籠を手に持ち替えて
ゆっくりと歩いてくる