順位 | タイトル | 著 者 | 出版社 |
1位 | 貴族探偵 隻眼の少女 | 麻耶雄嵩 | 集英社 文藝春秋 |
2位 | 悪の教典 | 貴志祐介 | 文藝春秋 |
3位 | 屍の命題 | 門前典之 | 原書房 |
4位 | 扼殺のロンド | 小島正樹 | 原書房 |
5位 | さよならドビュッシー | 中山七里 | 宝島社 |
6位 | 伽羅の橋 | 叶紙器 | 光文社 |
7位 | 叫びと祈り | 梓崎優 | 東京創元社 |
8位 | 人質ゲーム、オセロ式 | 柄刀一 | ノン・ノベル |
9位 | アルバトロスは羽ばたかない | 七河迦南 | 東京創元社 |
10位 | 謎解きはディナーのあとで | 東川篤哉 | 小学館 |
第10位「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉(小学館 単行本)
軽めのミステリかと思って読んだのだが、確かに軽めの口調で語られるものの、そこで展開されるロジックは“ホンモノ”。本格ミステリ短編集と銘打って売り出しても、全く問題のない作品。それでも“お嬢様と執事”と銘打った方がやはり売れる?
第9位「アルバトロスは羽ばたかない」 七河迦南(東京創元社 単行本)
今年の意外な収穫といったら失礼か? 鮎川賞受賞者による2作品目。単なる前回に引き続きのシリーズっぽい作品と思っていると、やられてしまうこと間違いなし。ラストにおいて圧倒的なサプライズが待ち受けている。ただし、決して後味のよいものとはいえないが。
第8位「人質ゲーム、オセロ式」 柄刀一(祥伝社 ノン・ノベル)
最近、柄刀氏は“オセロ”に凝っているのだろうか? と思いきや、どちらかというと“ゲームのオセロ”というよりも、“シェイクスピアのオセロ”という感触の内容。もちろんゲームのオセロが出てこないわけではない。柄刀氏流、被害者は誰?
第7位「叫びと祈り」 梓崎優(東京創元社 ミステリ・フロンティア)
今年のランキングで驚かされたのは、この作品が軒並み上位に入っていたこと。本格ミステリとしてのみ評価される作品かと思っていたのだが、思ったよりも広く支持されていたようである。今年出版されたミステリ系の短編集の中では一番と言ってもよいくらいのできの作品。
第6位「伽羅の橋」 叶紙器(光文社 単行本)
読み始めの印象はそれほど良くはなかったのだが、徐々に物語にのめり込んでゆくこととなった。そうして、最後の大団円と、これが書きたかったのかという、とある登場人物の疾走するシーン。感動と驚愕を味わうことができる本格ミステリ作品。
第5位「さよならドビュッシー」 中山七里(宝島社 単行本)
個人的には好きなのだが、今年あまり推されていない不遇の一冊。一説によると、トリックが分かりやす過ぎるということなのだが、それに気がつかなかった私にとっては2010年の収穫の一冊。忘れている人もいるだろうが2010年の“このミス大賞”受賞作。
第4位「扼殺のロンド」 小島正樹(原書房 ミステリー・リーグ)
不可能犯罪のオンパレード! これぞ本格ミステリという作品。もっとも痛快だったのは、いくつか起こる殺人事件の中で、一番重要そうではないと思っていたものが、よりによって一番凝ったトリックを使っていたということ。あなたはこの不可能犯罪の謎を解くことができるか?
第3位「屍の命題」 門前典之(原書房 ミステリー・リーグ)
“閉ざされた館で起こる連続殺人事件”館に集まった6人のうち何人が生き残ることができるのか? そして真犯人はいったい誰? 年々、このような作品が少なくなって行く中で、今年本格ミステリらしさを堪能できた数少ないうちの一冊。こういう大味な本格ミステリを年に数冊は読みたいところである。
第2位「悪の教典」 貴志祐介(文藝春秋 単行本)
そこまでやるか! やってしまうのか!? 細部についてはもうどうでもいい。とにかくインパクトがすごすぎる。
「バトルロワイヤル」以来のこれぞ“セカンド・インパクト”。
第1位「貴族探偵」 麻耶雄嵩(集英社 単行本)
「隻眼の少女」 麻耶雄嵩(文藝春秋 単行本)
麻耶さん、1年に2冊も本を出すなんてずるいよ! これじゃぁ、1位2位独占しちゃうじゃないか!! というわけで、もったいないので1位に2冊まとめて入れてしまいました。個人的には後味が悪すぎる「隻眼の少女」よりも「貴族探偵」推しということで。いや、もちろんどちらもすばらしいのですけど。