<内容>
その日、烏賊川市立大学映画学科の四年生・戸村流平は、二つの死への嫌疑をかけられた。大学の先輩である茂呂耕作と、元彼女の紺野由紀。流平は、由紀の死に関しては完璧なアリバイがあるのだが、それを主張できない。なぜなら、由紀が死んだ夜、流平は鍵のかかった茂呂の部屋で、彼の死体を発見していたから・・・・・・
<感想>
ラストまで読むと、著者がどのようなトリックを考えついて、どのような作品にしようとしたかがよくわかる。たぶん、そのメイントリックが先にあり、そこから肉付けしていって本書が完成したのだろう。
ただ、読む側にとっては著者が考えたメイントリックではなくて、別のものをメインとして考えてしまうのではなかろうか。だから、話としてはうまくできていて最後もうまくまとまっている。それなのに何かわだかまりが残ってしまう。それはもう一つの謎の方があまりにもあっさりと解決されてしまうからだろう。この題名であるのだからもうちょっとそのへんを考えてもらいたかった。
<内容>
その夜、烏賊川市の外れ鳥ノ岬にある十条寺食品社長宅に銃声が轟いた。撃たれたのは、偶然居合わせた「名探偵」鵜飼杜夫。事件は探偵がかすり傷でうめいている間に起こる。いつのまにか「探偵の弟子」にされていた戸村流平と鵜飼が挑む、不可能殺人の謎! 銃声のカウントダウンとともに、明らかにされた真実とは!?
<感想>
今年新人として「密室の鍵貸します」にてデビューした著者が早くも送り出す2作目。
どうやら著者のシリーズとなりそうな烏賊川市に住む面々たち。前作からフルキャストでお送りするといってもいい登場人物達。今作からその人々たちの設定も定着していくことだろう。前作もユーモアミステリという趣はあったが、今作はさらにユーモアの要素が強くなっているようだ。全体的にコミカルでなかなか笑わせてくれる。
そしてコミカルな内容ながらも中身はしっかりミステリしている。はっきりいって、前作よりも今作のほうが好みである。今回のミステリの趣向は、拳銃が発砲された過程を導き出していくものとなっている。限定された銃弾の中で、銃声が数回響き渡る。その銃弾がどのような順序でどこに発射されたかを突き止めるというのが本書での重要な課題である。もちろん、誰が? という要素も事件の中に含まれている。登場人物は多いものの、事件現場においての発砲できるものはかなり限定されている。その中で誰が、どのように拳銃を撃っていったのかをパズルを解くが如く、一番きれいに当てはまるのはどれかと考えていくのはなかなか楽しい。
衆人環視における事件、という設定は多々あると思うのだが、その設定の中でまた別のアプローチから物語が作られていくという点が非常に面白かった。こういう作品を読むと本格ミステリはまだまだ終わらないと期待してしまいたくなる。
<内容>
回転寿司チェーンを経営する資産家であり、“招き猫”の収集家でも知られる豪徳寺家の当主・豪徳寺豊蔵が探偵の鵜飼杜夫に猫の捜索を依頼してきた。高額な報酬を提示された鵜飼と助手の戸村は張り切って猫捜しにとりかかる。
しかし、その依頼人の豊蔵が自宅のビニールハウスの中で何者かに殺害されてしまう。この事件を担当する砂川刑事は十年前に起きた、同じ事件現場での殺人事件にも関わっていた。十年前の事件は結局迷宮入りになってしまったのだが今回の事件と何らかの関係があるのだろうか?
ビニールハウスの横に置かれた招き猫の意味とは? 容疑者達のアリバイは完璧なのか? そしてこの事件は何ゆえに起きたのか??
<感想>
ページは厚くなったものの、内容はだんだん薄くなってきたかのような・・・・・・
“招き猫”殺人事件なんていうタイトルでもいいかもしれない。内容はビニルハウスで殺害された資産家を巡るアリバイトリック。と、よくよく考えたらこれだけのことなのではないだろうか。あぁ、それとトイレの中での凶器なき殺人事件というのもあったか。
ページのボリュームは結構ある。ただし、そこに書かれているのは事件と関係のないことばかり。刑事のコンビと探偵トリオが代わる代わる現場を、事件を荒らしまくる。なんとなくミステリーとは別にコントが挿入されているような本であるとの印象を受ける。少しだけならばともかく、お笑いパートがあまりにも繰り返し出てこられるといささかげんなりしてしまう。といいながらもこういう部分こそ、作者はノリノリで書いているんだろうなぁ、などと考えたりもしてしまう。
しかし、それだけで終わらないのがこの本と見事なところというべきか。ラストにて語られる犯行の動機については結構感心させられてしまった。正直言って、殺害動機は適当で、アリバイトリックのネタだけで終わるかと思っていたのだが、最後までうまく練り上げられていた。ラストにいたって、なるほど“猫”は重要であったのだと・・・・・・
とはいうものの、やはり全体的にもう少しスマートにしてもらいたいということが一番。そのほうがミステリーとしてキレが感じられるものになるのではなかろうか。
<内容>
盗撮専門カメラマンが殺されたのは密室の保健室。私鉄沿線みたいな二人の刑事さんは揃ってなにか探し中。保健室の校医さんは貧血性。実験器具で珈琲をいれる生物教師は、なんの因果か探偵部顧問。芸能クラスでは人気アイドルが失踪中。美術教師はトリックを語り、音楽教師は謎の言葉を言い残す。我らが部長は放送室で演歌を唸り、放送部所属の探偵部員は半年前の出来事を美声でかたる・・・・・・。訳が判らない。
<感想>
最近、一般にミステリーと呼ばれるジャンルの本が増えている中で本格推理小説というものが少なくなってきているように思える。そしてさらに、手ごろに楽しめるようなライト系の本格推理小説というものはますます減っているように感じられる。そういった要望に応える本というものがこれであろう。
はっきりいって、読み方によってはくだらないと採れる部分もあるだろうし、トリックにおいても検死解剖にてばれてしまうのではないかと思われるところもある。しかし、この本の中には確かに本格推理小説に対するスピリットが感じられるのである。また、こうした学園もののドタバタ劇というものも私は決して嫌いではない。くだらないとは思いつつも、そのドタバタ劇に付き合いながら、時には笑い、時には感心しながら登場する主人公達と共にミステリーを楽しみたいと心から思うのである。
バカミスというよりは、学園ユーモア本格ミステリーといいたいところ。肩の力を抜いて読んでもらいたい一冊。
<内容>
離島に建てられた奇妙な館の中でその館の主人が死んでいた。室内で死んでいたにも関わらず、死因は墜落死とのことであった。どこか別の場所から連れて来られたのかと思われたのだが、当の墜落現場らしき場所はどこにも見つからず、事件はやがて迷宮入りとなった。
そして半年が過ぎ、その館に再び人々が集まったとき、またもや同様の殺人事件が起きることに! この館に隠された謎とはいったい!?
<感想>
これは“館モノ”として楽しんで読むことができた。久々に昔ながらの新本格推理小説をほうふつさせる様な作品に出会えたという気がした。
本書は謎の六角形の館で連続殺人事件が勃発するというもの。ただし、読んでいけばそこで使用されているトリックというのはなんとなく検討がついてしまう人は結構いるのではないだろうか。しかし、本書ではそのトリックだけではなく、何ゆえこのような館が建てられたのか?、そして何ゆえこの館には名前がないのか?、などといった諸所の謎をうまく踏まえうえで一つのミステリーとして完成させている。よって、トリックの部分だけという事ではなく、本書の全体的な印象とすれば誰もが納得のいくミステリーとなっているのではないかと思われる。
東川氏ならではの脱力系の登場人物らが繰り広げる新本格ミステリーを是非とも堪能してもらいたい。
<内容>
浮気調査を依頼された探偵の鵜飼は朱美(探偵ビルのオーナー)と共に使用人を装い、屋敷へと潜入する。浮気を疑われた画家は確かに怪しい行動を起こすものの、それは浮気とはまた別の事柄のようであり・・・・・・
一方、鵜飼の助手の戸村は以前の事件で知り合った、十乗寺さくらの誘いにより、さくらの友人の持つ山荘へと訪れていた。しかし、そこで彼らはとある事件に出くわす事に・・・・・・
やがて、鵜飼の事件と戸村の事件は互いにつながり合うことに!!
<感想>
タイトルにあるように本書は“交換殺人”を描いた作品である。ただ、あからさまに“交換殺人”と書いてあるが故に、本当はそう見せかけながらも“交換殺人”とは違うのではないかと思ったのだが、実際に読んでみてそんなことはなかった。本書は、確かに“交換殺人”を描きながらも、読者を驚かせる仕掛けを施した内容となっている作品である。“交換殺人”を描いて、サプライズ小説というと、どのようなものかと不思議に思うかもしれないが、そこは読んで確かめてもらいたいところである。
私は本書を読んでみて、
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓<ネタバレ気味>
中西智也氏の「消失」
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑<ここまで>
という作品を思い起こしたのだが、どうだろうか?
東川氏は今年「館島」という作品も書いているのだが、こちらもまた違った味があって良い作品であった。今年もこのHP上にベスト10を掲載しようと思っているのだが、全く異なる内容のどちらの小説を入れるべきか悩むところである。・・・・・・案外両方入れざるを得なくなったりして。
<内容>
鯉ヶ窪学園の野球部は万年一回戦負けの弱小チーム。その野球部からベースが四つとも盗まれた!! まさか弱小野球部相手に妨害工作とも思えない。いったい誰が、何のために。
そして夏の大会を間近に控えていた野球部は、ライバルと目される、同じく弱小野球部の飛龍館高校と練習試合を行うことに。場所は新設された飛龍館高校の野球場にて。しかし、その野球場で死体が発見される事になり・・・・・・
<感想>
ゆるい、とてつもなく“ゆるい”推理小説である。しかし、そこがなんともいえず心地よいのである。いまどき、このようなオフ・ビート、もしくはB級の香り漂う学園推理小説を書く人は少ないであろう。だからこそ楽しむことができ、そして懐かしささえ感じてしまうようなミステリーなのである。
ただ、それが作風だけのものであれば、単なるB級小説、単なるライトノベルの一冊ということで終わってしまう。しかし、本書はトリックといい、ミスリーディングへの誘導の仕方といい、“見立て”といい、凝りに凝った内容となっている。要するに、十分に本格推理小説と言うに値するものとして完成されているのである。
よって、本書はB級の香り漂う完成された本格推理小説であると豪語したい。軽いノリだからといって侮るなかれ、ここにきちんとした新本格推理小説と言うにふさわしい作品があるということを皆にぜひとも紹介したい。これは読み逃すにはもったいない作品である。
<内容>
アルバイトをして暮らす大学生の翔太郎がチンピラに追われている女子高生を助けてみると、当の女子高生がなんとヤクザの組長の娘であった。彼女が言うには、義理の妹を助けるために現金が必要なのだと。そこで翔太郎は狂言誘拐を行おうとするのであるが・・・・・・
<感想>
ミステリというよりはコメディ小説というような感じ。といっても、きちんとミステリ的な伏線を張って、意外な展開が行われる作品となっている。気軽に脱力しながら楽しめる作品であることは確かである。
本書はタイトルのとおり“誘拐”をテーマにした作品である。行われるものが狂言誘拐とはいえ、身代金の受け渡しなどに関してもきちんと練られていたと感じられた。さらに本書では、誘拐事件を前面に押し出す中であることが進行していくという、展開に予断をゆるさない作品となっている。
また、この作品では色々と変わったキャラクターが登場し、話に色をそえることとなる。ただ、一部のキャラクターは目立ったものの余計なキャラクターが多いようにも感じられ、その分、話の背景の説明が足りないようにも感じられた。特に、偽札の事件に関してはきちんとした説明がされていないまま終わっていたように思えた。
軽く読み飛ばせば、楽しめる小説ということになるのだが、よく読んでみると荒が目立つようにも思える作品。なんとなく、とりあえず出版しておけみたいな作品という印象を受けてしまうのも、あながち間違ったことではないのかもしれない。
<内容>
有坂香織は妹から、自分の部屋で見知らぬ女性が死んでいるとの電話を受ける。香織は妹の代わりに、その死体を隠し、事件を隠蔽しようと考える。そのときちょうど家の前にトラックを止めていた廃品業者・馬場鉄夫の力を無理やり借りて、死体を遺棄しようとするのだが・・・・・・
探偵事務所を営んでいる鵜飼は来るはずの依頼人を待ちわびていた。何やら相談があるという電話があったのだが、詳しい内容については会ってからと。不審なものを感じた鵜飼は助手の戸村と朱美を連れて、電話で依頼者が口にしたクレセント荘へと行ってみることに。するとそこには、あやしげな馬場鉄夫と有坂香織というカップルが・・・・・・
<感想>
上記に内容を書いてみたのだが、それだけ見てみるとものすごいまじめなミステリのように思えるが、東川氏の本を読んだことがある人ならばわかるとおり、実際にはくだけたユーモア調のミステリ作品となっている。ただし、ユーモア調とはいっても、なかなかきちんとしたミステリ作品となっているので、あなどることのできない一冊である。
本書は謎の死体が登場するところから始まり、続いてはとある山荘に隠された謎、そして遺棄したはずの死体が消えうせるという予想だにつかない展開が待ち受けたミステリ作品となっている。さらには、驚天動地のトリックによる連続殺人事件など、読みどころ満載である。
この作品がよくできていると思えるのは、小さな事象から大きな事象まで、さまざまな要素をうまく組み合わせてひとつのミステリ作品を構成しているところである。特に消えた死体の謎と、殺人トリックとの関連については、よく造られていると感心させられる。
さらには、この作品は相変わらずの東川氏らしいユーモア調で展開してゆく物語なので、リーダビリティが抜群である。今年はなかなか良いミステリ作品の長編小説が出ていなかったので、こういった作品が出てくれてうれしい限りである。今年出たミステリ作品のなかでは読み逃してはならないものと言ってよいであろう。
<内容>
「殺人現場では靴をお脱ぎください」
「殺しのワインはいかがでしょう」
「綺麗な薔薇には殺意がございます」
「花嫁は密室の中でございます」
「二股にはお気をつけください」
「死者からの伝言をどうぞ」
<感想>
ものすごいお金持ちのお嬢様刑事が一言多い執事の力をかりて事件の謎を解くというシリーズ短編集。周囲には自分が資産家のお嬢様だと隠しながら、日々刑事として職務に励む宝生麗子。彼女が現場に行くたびに難事件にぶつかり、その謎を最近執事となったばかりの影山に相談すると、彼が難なく事件の真相を暴いてしまう。同様のパターンでそれぞれの短編で起こる難事件が解決されてゆく。
最初は単なるライトなミステリ作品というくらいに思っていたのだが、実際に読んでみるとかなりきちんとしたミステリとして出来上がっていることに驚かされる。意外にもロジックとかがしっかりしていて、その完成度はなかなかのもの。
最初の「殺人現場では〜」は別のアンソロジーでも読んだことがあるのだが、このシリーズの代表作と言ってもよいくらいの味わいのある作品。部屋の真ん中で靴をはいたまま死んでいた女性の死に迫る内容。その“何故”という部分が非常に気がきいている。
次の「殺しのワイン〜」はあまりにも普通の出来でがっかりしてしまうのだが、さらにその次の「綺麗な薔薇には〜」で再び盛り返す。わざわざ手間をかけて死体を薔薇の茂みの中に運んだ謎について迫るという内容。
個人的なベストは「綺麗な薔薇には〜」と「殺人現場では〜」の2作であるが、後半の3作品もそれぞれ凝った作品となっていて、十分読み応えのある内容。これは今後もシリーズとして続けてもらいたい作品である。また、映像化もしやすそうであり、TVで宝生麗子や影山を見ることができそうな気がする。
<内容>
「霧ヶ峰涼の屈辱」
「霧ヶ峰涼の逆襲」
「霧ヶ峰涼と見えない毒」
「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇」
「霧ヶ峰涼の放課後」
「霧ヶ峰涼の屋上密室」
「霧ヶ峰涼の絶叫」
「霧ヶ峰涼の二度目の屈辱」
<感想>
あれ? 何か読んだことがあると思ったら、講談社ノベルスのアンソロジー「本格ミステリ」で読んでいたことに気づく。読んだことがあるにも関わらず、一話目の「霧ヶ峰涼の屈辱」にまた騙される。それにしても「屈辱」を読んだのがだいぶ前なので、一冊の本になるまでにずいぶんと時間がかかっているなと、ふと思った。
基本的にはライトな脱力系本格ミステリ。脱力系というか、主人公を筆頭に登場人物たちが皆、変な人物ばかりでコメディ調で面白く読むことができる。ライトな感覚で読むことができるのだが、内容はいつもの東川氏の作品らしく、しっかりと本格ミステリしているところも、また特徴といえよう。
ベストは「霧ヶ峰涼の逆襲」。部屋からの人間消失を扱った作品であるのだが、どんでん返しが利いていて、なかなかの内容。
他にもUFOに襲撃されたかのような事件を描いた「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇」や人の立ち入ることのできない屋上での不可能犯罪を描いた「霧ヶ峰涼の屋上密室」など、秀作が多数。
読んでいるうちに、ふと思ったのは、主人公で探偵役のはずの霧ヶ峰涼であるが、ほとんどの話で事件を解決しているのは別の人物なのではということ。実はこの学園、探偵部副部長の霧ヶ峰涼を越える数多くの名探偵がいるということなのであろうか。
<内容>
「藤枝邸の完全なる密室」
「時速四十キロの密室」
「七つのビールケースの問題」
「雀の森の異常な夜」
「宝石泥棒と母の悲しみ」
<感想>
著者の作品でおなじみの烏賊川市で起こる難事件を探偵の鵜飼杜夫と助手の戸村流平が解き明かす作品集。この探偵と助手については東川作品を読みなれた人にとってはお馴染みなのだが、なんと短編集としてはこれが初! 最近、東川氏の短編作品を多く読んでいるせいか、短編集が多い気がしていたのだが、実は短編集はまだ3作品しか出ていないことに今更ながら気づく。
「藤枝邸の完全なる密室」
密室による完全犯罪を突然現れた鵜飼が暴くという倒叙ミステリ。
「時速四十キロの密室」
40キロで走る軽トラックの荷台で、走行中に犯行がなされるという難事件。
「七つのビールケースの問題」
消えたビールケース、窓ガラスを割られた事件、タクシーによる当て逃げ、いなくなったネコ、いったいここで何が!?
「雀の森の異常な夜」
車いすにより運ばれた遺体の行方とその実効犯は?
「宝石泥棒と母の悲しみ」
盗まれた宝石の行方は? そして犯人は??
というどれもライトな作品が5本。凝った作品というと「七つのビールケースの問題」。さまざまな小さな事件がどのような事実に結びついていくのかがうまく描かれた作品。
それ以外に関しては普通のミステリという感じ。ただ、どれもユーモアがあり、読みやすいので手軽に読むことができるミステリ作品としてはもってこいであろう。また、最後の「宝石泥棒と母の悲しみ」は脱力系ながらもなかなかの意外性があって面白かった。
今やこのような趣向のライトなミステリを書かせれば、東川氏が一番か。
<内容>
「アリバイをご所望でございますか」
「殺しの際は帽子をお忘れなく」
「殺意のパーティにようこそ」
「聖なる夜に密室はいかが」
「髪は殺人犯の命でございます」
「完全な密室などございません」
<感想>
前作が出た時にはドラマ化されそうと思ったものだが、実際にドラマ化され東川氏が大ブレイク。まさかまさかの商業的大成功というやつか。ただ、本書の内容について言うと、さすがに前作よりはレベルダウンしてしまったかなと。
「謎ときはディナーのあとで」は軽い作調にもかかわらず、しっかりとした論理的な謎解きが行われており、そのギャップに驚かされた。今作も最初の「アリバイを〜」はなかなかの出来。ちょっとしたアリバイトリックのはずが思いもよらぬ方向へ動き出してしまったというもの。執事の推理がやや飛躍的な感じもしたのだが、一筋縄でいかない内容を楽しむことができた。
「殺しの際は帽子を〜」も面白かった。何故、帽子が盗まれたのかという一点のみの謎ではなるのだが、その使われ方が奇抜。
ここまでは良かったと思うのだが、以後は普通のミステリ作品に落ち着いてしまったかなと。宝石のトリックとかは、どこかのミステリ・クイズで読んだ事のある内容だったし。
さすがに前作のようなレベルで作品を書き続けるのは難しいことであろう。とはいえ、キャラクターが立っているので、シリーズものとしては十分に楽しめる。まぁ、続ければ続けるほどライトな感じが強くなってしまうのは仕方ないと思われるが、読んでいて楽しいミステリ短編作品であることは間違いないので今後も続編を期待したい。
<内容>
「中途半端な密室」
「南の島の殺人」
「竹と死体と」
「十年の密室・十分の消失」
「有馬記念の冒険」
<感想>
何故、売れている東川氏の新しい短編集が文庫書き下ろし? と思ったのだが、これは書き下ろしではなく、かつて東川氏が光文社文庫で出版されていた「本格推理」(鮎川哲也氏編集)に掲載されたものを集めたもの。よって、本書は東川氏の処女短編集といってもよいものである。
そうした背景もあってか、掲載されている作品は、内容がやや荒めと言えないこともない。とはいえ、それぞれの作品がそれなりの閃きを感じとれるものとなっているので、なかなか楽しめる作品集であった。
「中途半端な密室」
テニスコートのなかで起きた不可解な殺人事件。密室といっても、天井は空いていて、金網をのぼれば出入りできる状況。どうしてこのような状態で死体が残されることになったのか、伏線をうまく扱った推理の展開がおもしろい。
「南の島の殺人」
南の島へ旅行に行った友人から送られてきた、奇妙な事件が描かれた手紙。クイーンの「スペイン岬の謎」を思い起こすことができる全裸の男性死体を扱ったもの。その南の島とはどこか? というのが事件の大きなポイントとなっている。
「竹と死体と」
古い新聞で見つけた竹林の中での事件。それは自殺か? 他殺か? 歴史的な事象と意外性をうまく組み合わせた作品。発想の妙と言えよう。
「十年の密室・十分の消失」
過去におきた密室事件と現在に起きた建築物の消失事件を描いたもの。トリック自体はかなり荒く、微妙と思われた。しかし、そこで用いられている動機がうまくできており、物語の展開のうまさと説得力を醸し出している。
「有馬記念の冒険」
アリバイトリックを描いたものなのだが、意外と普通。アリバイ以前に犯人が完全に特定されてしまっているのもどうかと思うのだが。
<内容>
「魔法使いとさかさまの部屋」
「魔法使いと失くしたボタン」
「魔法使いと二つの署名」
「魔法使いと代打男のアリバイ」
<感想>
東川氏による新シリーズ作品集。今度は魔法使いが登場するのだが・・・・・・あくまでもコメディ要素としての魔法であって、推理にはあまり関係がないような・・・・・・
このシリーズはどうやら倒叙小説形式で描いていくようで、最初に犯人による犯行が行われ、事件発覚後に主人公である刑事が謎を解いていくというパターン。犯人が最初からわかっているのと、また場合によっては犯行方法も明らかとなっていることにより、“謎”として提示されるものが少ないところが物足りない。
「さかさまの部屋」は、何故犯人は部屋の置物をさかさまに配置したのか?
「失くしたボタン」は、犯人が犯したミスとは何か?
「二つの署名」は、・・・・・・特に謎がないような・・・・・・
「代打男のアリバイ」は、アリバイトリックの暴き方について
最初の作品、「さかさまの部屋」の謎が魅力的と思ったものの、それだけに終始しているので、ややパンチ力が足りなかった。他の作品も、見どころが少なく、コメディ重視の内容という感じなので、ミステリ作品としては弱め。まぁ、楽しく読めるユーモア・ミステリということで肩ひじ張らずに気楽に読めばよい作品なのであろう。
<内容>
「犯人に毒を与えないでください」
「この川で溺れないでください」
「怪盗からの挑戦状でございます」
「殺人には自転車をご利用ください」
「彼女は何を奪われたのでございますか」
「さよならはディナーのあとで」
<感想>
1作目ほどの高水準は望めないが、2作目と同じくらいの水準はキープしている。安心して気軽るに読めるミステリ作品集。ドラマ化も順調、さらには映画化の話もあるそうで、名実ともに一般大衆向けのミステリ作品となったようである。
最初の2作の「犯人に毒を〜」と「この川で〜」あたりは、なかなか良いできであると感じられた。推理が飛躍しすぎているように思えないこともないのだが、それでもその発想が際立っていて面白い。ペットボトルの状況から被害者の生活ぶりを想像したり、駐車場の車の状況からアリバイを崩したりと、今回も執事の推理っぷりは見事である。
「怪盗からの〜」は、今までのパターンとは異なり、いつも以上にドタバタぶりに拍車をかけ、これはこれで面白い。
「殺人には自転車〜」については、アリバイトリックに関して、だんだんと同じようなパターンになってきたと感じられてしまった。
「彼女は何を〜」については、犯人と被害者の行動にいまいち納得がいかず。
「さよならは〜」は、ちょっとした証拠から犯人を特定する推理は見事であるが、それだけなのでやや小ぶりという感じ。
また、最後の「さよならは〜」で、登場人物のレギュラーのひとりにとある事態が訪れるのだが・・・・・・テレビドラマにおいて配役を代えるという意味合いなのかな!? なんとなく、まだまだシリーズとして続いていきそうな予感。
<内容>
「死に至る全力疾走の謎」
「探偵が撮ってしまった画」
「烏賊神家の一族の殺人」
「死者は溜め息を漏らさない」
「二○四号室は燃えているか?」
<感想>
著者にとっては代表作とも言える(?)烏賊川市シリーズの短編集。今までの作品では探偵の鵜飼杜夫と助手の戸村流平を中心に描かれていたが、この作品集では探偵事務所があるビルの若きオーナー、二宮朱美を中心として描かれている。よって、朱美と鵜飼のコンビという感じになり、助手の戸村はかなり出番を失っている。
例によって脱力系のミステリ。脱力系の謎を脱力気味に解いているところこそが持ち味といえよう。「死に至る全力疾走の謎」では、島田荘司氏の「疾走する死者」を東川氏が書けばこうなるといわんばかりの作品。また、「烏賊神家の一族の殺人」では、意外な“モノ”が事件の謎を解くという見事な脱力的持ち味。
「死に至る全力疾走の謎」は、全力でビルの壁にぶつかる男の謎を解く。
「探偵が撮ってしまった画」は、雪上につけられた一組の足跡をめぐる難事件。
「烏賊神家の一族の殺人」は、死体の消失と再登場の謎を明らかにする。
「死者は溜め息を漏らさない」は、死ぬ間際にエクトプラズムを吐いた死者の謎に迫る。
「二○四号室は燃えているか?」は、衆人環視の中、消え去った女の謎を解く。
・・・・・・上記のように書くと、なんかすごくまっとうなミステリ作品のように思えてしまう。いや、本当はまっとうなミステリ作品であったはずのものを、あえておちゃらけて書いているだけなのであろうか。「二○四号室は燃えているか?」などは、意外と考え抜かれた大がかりなトリックといってもよいかもしれない。他の作品についても、あっさりと読めば、それだけに終わるのだが、よくよく考えると実に深い意味が・・・・・・いや、そんなことはないか。
何はともあれ、誰もが気軽に楽しめるミステリ作品であることは間違いない。ミステリ作品の初心者にも薦めやすい一冊といえよう。
<内容>
「女探偵は眠らない」
「彼女の爪痕のバラード」
「ひらつか七夕まつりの犯罪」
「不在証明は鏡の中」
「女探偵の密室と友情」
<感想>
タイトルといい、表紙の装いといい、キャラクター小説という趣きがプンプンする。著者の意図か、編集者の意図かはわからないが、“ドラマ化”という文字がどうしても頭をよぎってしまう。
なんてことを考えつつも、ただ単に女探偵が活躍する小説を書きたかっただけなのかもしれない。破天荒な女探偵と、それをサポートする普通の女子がコンビとなり事件を解決してゆく。
ライト系なのは間違いないのだが、どの作品もきちんとミステリ小説として、それなりに仕上げているところは間違いない。そのどれもが、不可能犯罪やアリバイトリックを用いており、それぞれひとひねりした内容となっている。
「女探偵は眠らない」は、依頼者の婚約者の素行調査をしていたら、殺人事件に巻き込まれることとなり・・・・・・
「彼女の爪痕のバラード」は、失踪した彼女の行方を捜してほしいと頼まれるのだが、その依頼者が・・・・・・
「ひらつか七夕まつりの犯罪」は、探偵二人が尾行していた女が事件の容疑者!?
「不在証明は鏡の中」は、インチキ新興宗教での“写らない鏡”の謎を解く。
「女探偵の密室と友情」は、マンション7階の密室の謎を暴く。
個人的には、最後の「女探偵の密室と友情」の密室トリックが面白かったかなと。マンション7階の部屋で、目張りをした部屋で、被害者と発見者の二人が部屋に閉じ込められた状態というディクスン・カー張りの密室。それを脱力系トリックをうまく用いて、解決してしまうところが著者らしい。
全体的には、普通のミステリ短編集という感じだが、それぞれを思い返せば意外ときちんたミステリとなっていたことに気づかされる。ただ、いつもながらの東川節により、どうしてもライト系よりとなってしまう。それゆえに、読みやすいというのもまた事実なのであるが。
<内容>
「霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人」
「霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件」
「霧ヶ峰涼への挑戦」
「霧ヶ峰涼と十二月のUFO」
「霧ヶ峰涼と映画部の密室」
「霧ヶ峰涼への二度目の挑戦」
「霧ヶ峰涼とお礼参りの謎」
<感想>
東川氏の作品のなかでは、このシリーズが一番心地よい。たいがいの東川作品は脱力系コメディ調ミステリという作風。そのなかでもコメディ調が一番合っているのがこの“霧ヶ峰涼”のシリーズではなかろうか(まだ2作品目だけど)。
通常のミステリならば、ボツネタといってもよいものを、これだけどうどうと使いこなしてしまうのはすばらしい。特に「霧ヶ峰涼への挑戦」などは、その最たるもの。さらに言えば、奇想天外すぎる凶器が出てくるのもまた、変な特徴のひとつ。
また、渡り廊下からの人間消失を描いた「霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人」などは、脱力系学園ミステリという色合いが特にうまく出たトリックと言えるのではないだろうか。
まぁ、この作品を読む人は大概「放課後はミステリーとともに」を読んでいる人が多いと思えるが、東川氏のことを全然知らない人が読めば、「なんだこれ」で終わってしまうかもしれない。心を広く、気楽な気持ちで読んでもらいたい作品集。個人的には第3弾にも期待。
<内容>
【第一話】 春の十字架
【第二話】 もっとも猟奇的な夏
【第三話】 切りとられた死体の秋
【最終話】 バラバラ死体と密室の冬
<感想>
最近、東川氏の本は文庫落ちで読むことが多くなり、この作品もタイトルからして日常の謎系かな? と思い、単行本発売の時には注目していなかった。文庫化されたので読んでみると・・・・・・思っていたよりも面白い! 何しろ、日常の謎系などではなく、取り扱われるのは、はりつけにされた死体やら、バラバラ死体やらとなかなかの事件。意外や意外、本格ミステリ魂満載の作品集。
ただし、雰囲気は決して陰惨なものではなく、終始コメディタッチで。人見知りで接客業がむかない喫茶店店主・安楽椅子(あんらく よりこ と読む)が来店してきた客から聞いた話を快刀乱麻のごとく解決してゆくというもの。
ただ、面白いものの、全体的に少々強引というか、ちょっとそれは無理じゃないかと思えるものなどもあり、やや力技すぎるという印象も強い。最初の「春の十字架」では、はりつけにされた死体の謎に挑むのであるが、その真相通りに本当に実行できるのかというところが、とことん微妙。
次の「もっとも猟奇的な夏」もはりつけ死体の謎に挑むのであるが、こちらのほうがトリックとしては面白いと感じさせられた。どのようにというHOWのみならず、誰がやったのかWHOという部分も大きな謎となる作品。
3つ目にして、ようやくはりつけからは離れるものの、「切りとられた死体の秋」は首と手首を切りとられた死体の謎に迫る。とはいえ、この作品のなかでは一番わかりやすかったかなと。“ユリア”と呼ばれる謎の女性の正体に迫るのであるが、このネタがわかってもあまり自慢できないような・・・・・・
そして最後の「バラバラ死体と密室の冬」で幕を閉じることとなるのだが、まさにバカミス炸裂というようなネタが展開されている。ただし、どうみても警察の捜査でばれるだろうというトリックではある。また、この作品集を最後を飾るうえで、妙な幕の閉じ方をしているのだが、やや必然性にかけるような。まぁ、それはそれで面白いと感じられないこともないのだが。
「春の十字架」 密室の中、十字架にはりつけにされた死体の謎。
「もっとも猟奇的な夏」 十字架にはりつけにされた男を殺害したのは三人の内の??
「切りとられた死体の秋」 何故、死体の首と手首が切りとられていたのか!?
「バラバラ死体と密室の冬」 施錠された建物のなかで発見された刺殺体とバラバラ死体の謎。
<内容>
「亀とライオン」
「轢き逃げは珈琲の香り」
「首吊り死体と南京錠の謎」
「消えたフィアットを捜して」
<感想>
文庫本で読了。すでに3作品が出ているこのシリーズ、1作目を単行本で読んだ後には、もう文庫落ちしてからでいいかなと思っていた。ただ、2作目を読んでみると、意外とミステリとしてしっかりした作品であることに気付かされる。これは、想像していたよりも、しっかりした作品集になっていると感嘆。とはいえ、シリーズ次回作以降もたぶん文庫版で読むことになると思う。
探偵エルザとその助手である美伽の二人が活躍する平塚おんな探偵事件簿シリーズ。今回掲載されている短編のどれもがちょっとしたことをきっかけに事件の真相を導き出すという流れがよく出来ていると感じられた。
「亀とライオン」では、被害者が裸足で死んでいることにより矛盾点を導き出す。「轢き逃げは珈琲の香り」では、轢き逃げされた被害者に珈琲がかかっていたことから状況を想像し、そこからさらに真犯人を導き出す。「首吊り死体と南京錠の謎」では、依頼人が自殺したと思われる事件を“自殺の意志”という観点から事件を見直し、真相を導き出す。「消えたフィアットを捜して」は・・・・・・唐突に真相が現れたような・・・・・・まぁ、とある現場の状況から導き出した真相という事で。
そんな感じで、どの作品も面白く読むことができた。これを文庫で読めるのは、ずいぶんとコストパフォーマンスが良いと思えてならない。気楽に読める意外と濃厚なミステリということで未読に人にはお勧め。ちなみにシリーズ前作を読んでいなくても、全く問題なく楽しめる。
「亀とライオン」 逃げたカミツキガメの行方を追っているうちに殺人事件に遭遇。裸足の被害者の状態を見てエルザは・・・・・・
「轢き逃げは珈琲の香り」 知り合ったばかりの老婆が轢き逃げにあう。何故か、けがをした老婆に珈琲がかけられており・・・・・・
「首吊り死体と南京錠の謎」 内側から南京錠をかけて首吊り自殺した山岳部の女子大生の謎に迫る。
「消えたフィアットを捜して」 衝突したはずのフィアットが消えた謎と資産家の死の謎を結ぶものは・・・・・・
<内容>
「倉持和哉の二つのアリバイ」
「ゆるキャラはなぜ殺される」
「博士とロボットの不在証明」
「とある密室の始まりと終わり」
「被害者によく似た男」
<感想>
最近、東川氏の作品は文庫になってから買うようになってきたのだが、この烏賊川市シリーズだけは単行本で読んでおきたい。といっても、内容が濃いというわけではないのだが、コメディ調で脱力系のミステリがツボにはまる。
「倉持和哉の二つのアリバイ」は倒叙小説であり、男がアリバイ工作をし、完全犯罪を目論むというもの。といっても、川の水を家の中の風呂桶にはり、溺れさせるという古典的トリック。科学捜査は抜きにして、何故、そのアリバイ工作が崩されたのかがポイント。このシリーズらしい、脱力系の結末が待ち構えている。
「ゆるキャラはなぜ殺される」は、ある種の不可能犯罪。ゆるキャラが死亡するのだが(当然、中の人がということ)、誰も犯行をできたものがいないという状況。これも、ありがちなトリックが使われているものの、そんなことより“ゆるキャラ”の群雄割拠ぶり、もしくは対抗意識に心打たれる(嘘です)。
「博士とロボットの不在証明」は、なんと二足歩行ロボットを完成させた男が、そのロボットを利用してアリバイ工作を行うというもの。驚かされるのは、そのアリバイをやぶるものが、思いもよらぬもう一台のロボットであるということ・・・・・・
「とある密室の始まりと終わり」は、鍵で閉ざされた一軒家のなかの風呂場で発見されたバラバラ死体。いったい、どのようにしてこの殺人を行ったというのか? そして死体をバラバラにした理由とは!? というもの。個人的には内容はだいぶことなるものの、映画の「ソウ」を思い起こされた。脱力系にせずに、ホラートーンでこのトリックをやったほうが面白いかも。
「被害者によく似た男」は、瓜二つの男を利用したアリバイ工作がなされるという作品。これはよくできていると思ったのだが、あえて完全犯罪にせずに、脱力系に落としてしまうところがシリーズらしさであると感心させられる。