春の夢





聞き漏らしてしまったことに気づいて
遠い時間

駆け戻る朝
気にかけていた横顔の
線が
美しく
障子に映し出される

  振り向くと
  目覚めた神々は
  幾重にも重なる萌黄色の
  シルクショーツをまとい
  季節の微風を
  そこかしこに振舞いながら
  北の緯度で
  位置を確認するかのように
  ゆらりゆらりと舞い始めていた

流れてゆく
時の重なりへ
春の夢
また一つふんわりと浮く



週刊アキタ「詩の広場」掲載