2007 年2月26日（月） 2:03Am

独 占報告！　第 ４回★共犯映画賞

こ の賞は２００６年に久保ＡＢ−ＳＴ元宏が映画館で観た全作品、４０本がノミネートの対象となる。したがって、審査員は久保ＡＢ−ＳＴ 元宏、一人だけ。
もし、映画制作関係者で「なぜ私の作品がノミネートされていないの だ！」と不満に思ったら、共犯新聞社まで映画の招待券を贈ってくださいませ♪
それにしても、映画館も無いイナカ町に住む４４ 歳の 中年男が一年間に４０本の 映画を映画館で観るのって、多いんだろ〜か、少ないんだろ〜か？

観 た日＆
映画館

▲昭和天皇を演じるイッセー尾形が素晴らしい。もちろん、彼が得意の形態模写に
よる、天皇のモノマネだ。はたして、モノマネとは「演技」なのだろ うか？しかし、よく
考えてみれば、モノマネほど、指先から、背骨のぐにゃり感から、顔 の皮膚の移動
まで細部に渡って「芸」が注目される演技もない。そして、「神」で あった天皇は日本
国民から注目されていた。さらに頭のいい監督は全体にシュールな味 付けをするこ
とで、モノマネと「神」の注目者を見事に映像で合致させた。その映 像美には1920年
代のドイツ表現主義が得意の影や、ビスコンティのロウソク、ダニエ ル・シュミットの
オタク趣味など偉大なる映像作家たちの偉大なる感覚がおそらく考え られる最高
の形と最低の予算で消化されている。つまり、まるで大日本帝国のよ うに、この映
画の中心には全ての観客の注目を集めるべくモノマネ昭和天皇が存在 し、さらに
それを取り巻く複雑で深遠な映像演出が覆っている。映画を観る者 は、当初はイッ
セー尾形の素晴らしさに全ての気がとられてしまうが、徐々にその周 縁のすごさに
気付く。そのピークが映画の流れの中央に置かれた東京大空襲だ。こ こで監督は
米軍爆撃機を、うねる魚で描くというとんでもない大技をかましてい る。あまりに悲
惨で、美しい。が、考えてみれば戦争ほどシュールなものもない。人 間が努力して築
かれた近代都市を、人間が破壊する。また、戦時下の「国家」という 暴力装置も、
またしかり、である。全編、ほとんど日本人俳優が日本語で語る内容 であるのに、
世界中で賞賛をあびるのも、陳腐にならないシュールからだ。おそら く、日本以外
の観客はイッセー尾形のモノマネが分らないだろうし、それは現代の 日本の若者
もそうだろう。それを超える映画であるのだから、主演賞よりも作品 賞だ。しかし、
語られる日本語の妙や、時にユーモア。これらは日本人でなければ味 わうことが
できない面白さだ。外国映画を楽しむ特権を日本人が持つというのも シュール？

４位

５位

６位

７位

８位

９位

１０位

１１位

１２位

１３位

１４位

１５位

１６位

１７位

映画『タイフーン』
監督＆脚本；クァク・ギョンテク
出演；チャン・ドンゴン、イ・ジョンジェ、
イ・ミヨン

▲撮 影直前に、写真係りのおねぇちゃんに

▲か つて日本の映画人は映画のことを「シャシン」と呼んだが、
その呼称を思い出させるほどに、瞬間＆瞬間の画面が、美しい＆
かっこいー。つまり、画面作 りに緊張感＆集中力の密度があり、
それが映画の終わりまで維持されている。
映画がテレビとは違う最大の差がソコであり、この映画はソコに、
かなり自覚的である。日本映画のダメなところは、ソコが無いとこで あり、
緩んだ画面はテレビの２時間ドラマを大きなスクリーンで観せられて いる、
だけ、だ。しかも、金をとられて（笑）。
■そして骨太な物語の創造力。観始めての１０分ほどは登場人物の設定が分からな い。
それが雑に感じていた私だが、かなり早い展開に着いて行くと、徐々 に設定が見えてくる。
最後の最後に全ての登場人物の全ての設定が分かった時、感動がやっ てきた。
つまり、アクション・ドラマでありながら、観 客が登場人物の設定を推理するドラマでもある。
しかも、その設定が北朝鮮からの「脱 北者」であった少年が
タイの海 賊になるというブッ飛び。
そんな彼が大量の「核」を盗み、それを韓国にばらまく、とゆー韓国 版『太陽を盗んだ男』？
さらにそこにモラルを失ったロシア軍や、権力を行使するアメリカ軍 がからんでくる。
我らがニッポンも、「日米」というくくりで（笑）物語に参加させて もらっている。
最近続いた韓国映画の「南北朝鮮問題」モノをさらに広域の国際問題 にさせて、
しかも史実を知らなくても楽しむことができる良質のエンターティメ ントとして成功させた。
そんなわけで、もー東シナ海を広範囲に俯瞰した情報量のかなり多い 物語が展開する。
それを破綻させずに、見事に整理し、群集劇のような登場人物の造形 も書き分けている。
私は観ながら、昨年のニッポンがっかり映画ＮＯ．１『亡国のイージス』を 思い出していた。
どーしてコレが韓国映画にできて、ニッポン映画にできないんだろ う？
もしかしたら、
韓国にある徴 兵制度が「国家」をめぐる意識 を研ぎ澄ましているのかもしれない。
■しかし、そーゆー結論は、思想の敗北主義だ。
と、私は新しい自動車運転免許証を見た。

１８位

１９位

２０位

２１位

２２位

２３位

２４位

２５位

２６位

２７位

２８位

２９位

３０位

３１位

３２位

３３位

３４位

３５位

↓

2007 年2月26日（月） 3:41Pm

	日 本関係のノミネート	そ の結果
作 品賞	クリント・イーストウッド監督　『硫黄島からの手紙』	マーティン・スコセッシ監督　『ディパーテッド』
監 督賞	クリント・イーストウッド監督　『硫黄島からの手紙』	マーティン・スコセッシ監督　『ディパーテッド』
助 演女優賞部門	『バベル』　菊地凛子（26歳）	『ドリームガールズ』　ジェニファー・ハドソン
メー キャップ賞部門	『もしも昨日が選べたら』　辻一弘（37歳）	『Pan's Labyrinth／パンズ・ラビリンス』

■まぁ、みなさん、ご存知のように私は 特に愛国者 でもありませんが（笑）、冷静に見て、この結果、どーでしょ？
無冠の名匠、スコセッシに初めて与えられた王冠が、香港映画のリメイク、って、どうよ？
そして、アメリカは、また再び、戦争から目をそらした。

私はネットで拾ってきた下記の意見に、全面的に同感です。
↓

元ネタの「インファナルアフェア」は名作中の名作だ し、 スコセッシは尊敬する監督だし、キャストも好きな人揃 いだけど・・・・・ この作品はないって。ありえない。ここ数年でイチバン の駄作。 元ネタのイチバンのテーマ『無間地獄』ってものが なーーーんにも表現されてないんだもの。 もう、元ネタのカッコよさ、深さ、哲学、緻密さ、など などが ぜーーーんっぶすっからかんの映画なのに。 これじゃ、バカデミーだな。

もっ と早く別の作品で スコセッシ監督には とらせてあげたかったです。

↑
■これでハリウッド映画の元ネタ・ドロ ボウは、より加速されるだろう。
私は、これを「コ ンテンツ植民地主義」、または「コンテンツ帝国主義」の時代の到来と名付けたい。
予算だけがあって、コンテンツからっぽの世界に、いよ＆いよ、なっちまうだろう。
たぶん、日本のマンガ業界はウハ＆ウハ、だ。
今頃、もースデに、日本中のマンガ出版社へハリウッドから「原作くれー！」と、電話が、ガン＆ガン、かかっていることだろう。

ディカプリオ主演 『巨人の星』

とか、

キアヌ・リーブス主演 『ねじ式』

なぁ〜んてのが生れる、かも。

あと、私が観たいのは、

ジェ シカ・ア ルバ主演 『キューティー・ハニー』

と、

マ リア・シャラポア主演 『エースをねらえ！』

です（笑）。

がくっ。

差出人 : akiller 送 信日時 : 2007年2月26日（月） 6:49Pm 宛先 : 久保AB-ST元宏 僕も去年はちょっとは映画をみたんだなーと思いまし た。 40本中、半分くらいは見てたので。 イッセイ尾形がトップとは驚いたね。 でも考えてみるに、かの戦争のときにリアルな裕仁じゃ なく、現人神でよかったんだから、影武者ならぬ影神がいたんじゃないかと妄想するなー。 ヒトラー見逃しただけに僕の戦後は終わっていません。 （笑） 僕は日本映画ではトップは、『ゆれる』ですな。日本映 画が陥りがちな説明的でない映像が、 北野武監督とは別の形というか雑じゃない形で撮ってい て印象的な映画でした。 『嫌われ〜』もよかった。でも同監督だったら、『下 妻』の方がちょっと上かな？ 『硫黄島』２部作は、手紙の方はなんつうか日本軍の涼 しげな顔が全然リアルじゃないという意見がちまたにあふれてたね。 題材が題材だけに日 本の監督正面切って撮れよ！とか思わせる 意味で何かと考えさせられた映画でした。 でもイーストウッドってアメリカの良心という感じがす るなぁ。 ゴア＠「不都合な真実」よりも。 本家のアカデミー賞は久保さんと全く同じ印象です。ふ ざけてる。 スコセッシは好きな監督なだけに、贋作（失礼）映画で オスカー撮って欲しくなかったね。 ハリウッドでは映画のシナリオライ ターがふっかけていて、 もうおいそれとは頼めないくらい制 作費に占める割合が高騰してい るという話しをどっかで聞いたような。 それで「リング」の頃から積極的に外国映画のリメイク を安く仕入れてるんだって。

差出人 : akiller 送 信日時 : 2007年2月27日（火） 10:39Pm 宛先 : 久保AB-ST元宏 件 名 : Re: で、『太陽』、観たの？ > ■「ゆれる」は、あのヒューマニズムなラストが私には微妙。 > おいおい、最後で、こーマトメすぎっ！ > とゆー印象です。 香川輝之ファンの方によると、あの兄さんはまさに香川 輝之の素で、わかりずらいという制作サイドの声を一蹴して、脚本変えなかったんだって。 素ってよくわからんけど。 アメリカと日本では、シナリオライターの報酬ってダン チだよなって気がする。 漫画家とか、あれ、アメコミの方が給料やすそうだけれ ど。 ＣＧプログラマとか全然アメリカの方がいいね・絶対。 で、『太陽』だが、俺はイッセイの演技がおかしくって （笑）細かいところみていないけど、全体的な印象は○。ベスト１０には入るけど。 もっかいみてみないと、良さがわからないね。時系列が ごちゃごちゃになったまま、自分の頭のなか、修正しないでみおわちゃったので。 というのも、最近、映画館で寝ちゃうのよ。映画館で寝 るのって気持ちいいんだよね〜。 がくっ。

新 作は、『幽閉者 （テロリスト）』　2006年1月撮影開始！2006年秋ロードショー！
▲1972 年の日本赤軍「イスラエル空港乱射事件」を、 哲学的な問答に置き換える。