「B9 コードウェル城奇談」より「エルウィンの聖域」を抜粋したものです。「ホーリー・サンクチュアリ教会」は，カラメイコス教会の分派である「チャーデイスツ修道会（The Order of Chardastes）」に変更されています（つまり「ナムヤトス」が「チャーデイスツ」に変更されたわけです）。聖堂は首都スペキュラルムにあります。また，仕事の依頼主は国王ではなく，スレショウルドの統治者シャーレイン・ハララン大司教です。
PC たちが鐘を持ってスレショウルドに戻ると，パーティの噂がまたたく間に広がります。次の週までには，パーティはひっきりなしの招待を受けきれなくなることでしょう。また，これはきらびやかな衣装や招待してくれた人への贈り物を買うために何百枚かの金貨を失うちょうどよい機会でもあります（なにせ一番うまく行ったときの報酬は 1 人 2,000 gp ですから）。プレイヤーが興味を持てば，何人かの有名な NPC と出会うことにしてもよいでしょう。
しかし，いつかは事態は平穏になることでしょう。鐘は，スレショウルドに新しい聖堂を建てるのか，それともスペキュラルムに戻すのか決まるまで保管されることになります（前者は臨時の税金を必要とするでしょうし，後者は新たな冒険につながるかもしれません）。この時点で PC たちは，教会に召喚されるか，夢の中で不思議な訪問を受けることになります。1 つ目は「混沌の洞窟」につながり，2 つ目については幕間 E で詳しく述べられています。
エルウィンに関するさらなる調査の結果，エルウィンがつい最近，カステラン砦の近くにある洞窟に隠された邪悪な寺院と秘密の同盟を結んだということが明らかになりました。その場所はヒューマノイドであふれていますが，是が非でも寺院を発見し破壊しなくてはなりません。キャラクターは，ケルヴィンのそばを通って小舟で川を上り，カステラン砦と呼ばれる軍の駐屯地まで行くように依頼されます。彼らが同意すれば，シャーレインからの紹介状を受け取ることになるでしょう。
要塞への長い旅は何事もなく終わります。パーティは，小舟を木々に覆われた広い丘に置いていき，徒歩で要塞へ向かいます。切り立った壁に囲まれた石の山の上に砦が見えてきて，そこにたどり着くには細くごつごつした小道を通るしかありません。門楼は外側の壁に面していて，外壁の中には馬小屋，兵舎，酒場，礼拝堂などの建物があります。2 つ目の門楼を抜けると，内側の壁と砦の主要部があり，仕事の用事がある者以外は入れないようになっています。
司令官は礼儀正しいが堅苦しい人物です。彼はジャイアントのことは気にしていますが，邪悪な寺院についてはあまり気にかけてはいません。彼には，はるか遠くにいる大司教の仕事に割けるような，余分な時間も人手も装備もないのです。必需品は物資補給係の将校から 2 倍の価格で受け取ることができます。側近がサインしなくてはならない重要な書類を持ってきて邪魔をし，会見は終わります（もしパーティが無礼なら，司令官は協力的でなくなるでしょう）。
酒場の主人は，入り組んだ洞窟の場所とそこが最近はとても平穏であるということを，パーティに教えてくれます。そこにはジャイアントはいないので，巡回はほとんど行われません。以下の噂が酒場にいる兵士から入手できます。
入門用アドベンチャーである「B2 国境の城塞」から砦の説明と洞窟までの道のりを省いたものです。
混沌の洞窟を制覇したパーティは，ヘイヴンの守護者であるイモータルのゼンダラ（Thendara）に出会います。パーティの居場所は関係ありません。まず彼らは，目に見えるような兆候はないにも関わらず（たいまつの火が揺らめいたりもしません）冷たい風を感じます。パーティ以外の動作がしだいに遅くなり，彼らの周囲はぼんやりしてはっきりしなくなります。他の人たちや生き物は止まっているように見え，パーティ自身の動作も夢のように遅くなります。やがて輝く光が現れて大きくなっていき，最終的には暗い茶色の髪とかすかに緑色の肌をした背の高い女性に変わります。彼女の顔立ちはわずかにエルフのような雰囲気があります。目につくような武器は持っていませんが，優しさに覆われた力のオーラが彼女から発生しています。彼女が微笑むと，彼女を包んでいるその光は広がってパーティを包み込みます。パーティはその光の中では自由に動けることがわかります。よく見てみると，物体がわずかに透き通っているようです。この時点で冒険が始まります。
ゼンダラは，B3 の導入部と同様，ヘイヴンを危機から救ってほしいと申し出ます。パーティのうちの誰かがイモータルの申し出を受けたなら，全員が即座に銀の王女の宮殿に転送されます。あらゆる傷は一瞬にして癒され，呪文の使い手は呪文を選びなおすことができます。事実上，彼らは十分な力をもって新しい冒険を始めることができるわけです。
注：この遭遇は全滅の危機に瀕したパーティを救うために用いることもできます。しかしながら，プレイヤーをあなたのキャンペーンの駆動力としておくつもりなら，このような介入はごくまれなものとしておかなくてはなりません。プレイ中にこのような介入を使おうと決める前に，その効果について注意深く考えてください。プレイヤーは，困ったときに毎回 DM が助けてくれるようならゲームに対する興味を失ってしまいます。このような措置は，彼らがうまくプレイしたにもかかわらず運悪く（ゲームですからそういうこともあるでしょう）失敗したときまで使わずにおきましょう。もしあなたがパーティを救うためにこの遭遇を発生させたのに彼らが受け入れないときは，彼らに自らの過ちの責任をとらせてください。
「B3 アリクの瞳」の最初にある選択式のアドベンチャー部分を，普通のエンカウンターと同じように書き直してあります。ヘイヴンの所在地はオルタン・テペ山脈の中心部とされました。また，エリスの所属する騎士団はジアティス人の集団ということになっています。
PC たちは，完全に回復するまでヘイヴンに滞在してもかまいません。アージェンタ王女とエリスは結婚し，キャラクターたちは名誉の賓客となるでしょう。祝賀会の終わりに，ゼンダラが現れます。当然のことながらだれもが感動します——ヘイヴンでは彼女の存在を疑いはじめる者が増えていたのです。王女はゼンダラに，PC たちが滞在してよいかどうか尋ねます。イモータルは微笑んで，首を横に振り，PC たちの前にはさらなる冒険が待っていると言います。
PC たちが準備できたら，ゼンダラは彼らを川岸に転送します。彼女は手を振ると，パーティ全員を乗せるのに十分な大きさの舟を作りだします。舟には何日かの旅のための十分な食糧が積んであります。ゼンダラは彼らに，文明社会への帰り道は川下へ続いていると言います。また，彼女は封印された巻物を彼らに渡し，カラメイコスが彼らにとって狭すぎるようになったときにだけそれを開くようにと彼らに指示します。
巻物は船の権利書で，スペキュラルムでその船が彼らを待っています（X1，恐怖の島の冒険で使われるために）。もし巻物が使われる前になくなったり盗まれたり，または破損したりしたなら，それは 24 時間以内に再び現れます。もしただで人にあげたり売ったりしたなら，それは永遠になくなってしまいます。
キャラクターたちは自分がどこにいるのか知らないので，船で川を下るのが彼らの唯一の選択肢です。彼らが出発してまもなく，雨が降りはじめます。雨は何日か続き，夜は寒く風が強くなります。さらに悪いことに，食糧がだめになりはじめます。だれもが非常にみじめな気分になりはじめたときちょうど，川の東側にある小さな居留地と要塞が視界に入ります。西側の岸には霧に包まれた岩山が高くそびえていて，400 フィート以上も空中にむかってそびえ立っています。
もしパーティが居留地に上陸しようとするなら，彼らはボートを座礁させ，損傷してしまいます。修理には少なくとも 1 週間必要です。その間に，彼らは町で唯一の宿であるライオンズ・デン・インに行くことができます。そこで，彼らはホブゴブリンの王の冒険を始めることになるでしょう。
もしパーティが続けてスペキュラルムへ向かうのなら，食糧は腐りはじめ（毎日ピュリファイされなくてはなりません），天気は回復せず，全員コンスティテューションのチェックに成功しないと病気になります（1 週間の間，最大ヒット・ポイントの半分を失い，全てのロールに -1）。ヒット・ポイントはベッドでの休息によって取り戻さなくてはなりませんが，それは PC たちがケルヴィン男爵領に到着しないと不可能でしょう。彼らが回復している間に知らせが届きます。それによるといくらか川を上ったところにあるガイドーズ要塞という名前の小さな居留地が，ホブゴブリンに侵略され破壊されたということです（キャンペーンの年は，この場所が再び居留地とされる以前ということになるでしょう）。スペキュラルムへの残りの旅は退屈なものです。
「B5 シュリール川を越えて——恐怖の丘へ——」を改題したものです。ここまでくればキャラクターのレベルはかなり上がっているでしょうから，それほど苦労はしないはずです。
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