歴史から飛び出せ! ★たとえば→3月27日の歴史★ |
・復本一郎「俳句を読む楽しさは、句に仕掛け られた謎を解くこと」 |
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ 2005-12-19 NYニッチ激コラム NO.242 ◎日本文化に苦戦!Sallyのプレゼンテーション体験 by Sally ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ そもそものお盆の始まり。 お釈迦さまの弟子の目蓮尊者(もくれんそんじゃ)が、亡き母が餓鬼道で逆さ吊 りにされ苦しんでいるのを知り、お釈迦さまに相談したところ、「夏の修行あけの 僧侶たちに多くの供物をささげて供養すれば母を救える」と言われ、それに従っ たら母親は極楽往生できたとのこと。その日が7/15であったそうだ。(※旧暦・新 暦の関係でエリアによっては8/15前後がお盆) また、「盆」という言葉は正式な仏教用語で「盂蘭盆会・うらぼんえ」と言って、イ ンドのサンスクリット語のウラバンナ(逆さ吊り)を漢字で音写したとのこと。 へー知らなかった。 また、些細なことだけれど、仏壇やお墓に供えるナスとキュウリ。 よく、サイの目に切って蓮の葉にのせるが、短く折った箸を4本刺して、馬と牛に 見立てることもある。これは先祖の霊が来るときは馬に乗って早く我が家につい てほしいという願いと、帰る時は名残惜しいのでのんびりと、また土産も運べる ようにと牛を用意しているという。 へえー、これも知らなかった! また、自分の知識不足に加え苦労したのは、日本の習慣の中に出てくる言葉の 英語表現。 灯篭(とうろう) = Lantern 仏壇 = Altar 極楽浄土 = Paradise くらいはすんなり覚えられるんだけどさ、 「迎え火」 を辞書で引いてみたら、 "A small fire lit at the gate of a house in the evening of the first day of the Bon Festival to welcome back departed souls." だって。長いっつうのーーー!ちなみに「送り火」の方なんて、私の辞書にすら 載っていない。 それで、ネットで調べてみたら、逆にいろいろな言い方があって困ってしまった。 結局、覚えやすい、迎え火=Welcoming fire、送り火=Send-off fireって言っ たけど。 文化の内容や英単語だけでなく、当日は発音、スピード、抑揚、アイコンタクト などにも苦労した。ドキドキして手が震えながらも、「お墓参り」「精霊流し」「盆踊 り」などをなんとか説明し、緊張のプレゼンテーションを終えた。 さて、教授からもらった評価は・・・見事「A」!やった! しかし、多くの日本人が苦手とするように、「L」と「R」の区別が全くできていない との厳しいコメントも。これは次回へ向けての大きな課題なのだ。 プレゼンテーションではタイムリミットもあるので、話すことは一般的な知識だけ に留めたけれど、リサーチの途中でどんどん「日本文化」というものにハマって しまった自分がいた。新たな事実を知るたび「へー、ほー」と、まるで他国の文 化にでも触れるように。 いやはやニューヨークで日本文化を学ぶとは。 他の生徒のプレゼンも面白かっただけに、自分の国の文化にも、まだまだ面白 いことがたくさん隠れているんだろうな、もっともっと知るべきだよな、と、強く思 い知らされるプレゼンテーション体験であった。 ☆ Sallyの国:日本(Japan) |
夏 (5月6日〜8月8日) | ||||||||
・夏 炎帝 朱夏(しゅか) 三夏 三夏は初夏、仲夏、晩夏のみっつの総称。 玻璃窓に指で手紙の夏の戀 (久保元宏 1997.6) 谷底に本をばら蒔け墜落の夏 (久保元宏 1997.8) 眼球に舌を這(は)わせて夏は来ぬ (久保元宏 1998.6) ガソリンの甘い匂いに夏はきぬ (久保元宏 2000.6) お
茶の間にニュース速報だらけの夏 (久保元宏 2000.7)
中指を噛み切る自由の夏
の獅子 (久
保元宏 2000.7)
観覧車夏の出口で立ち止まる (久保元宏 2000.8)・暑し 暑さ ゆらゆらり大工の口に釘暑し (久保元宏 2002年6月) ・涼し(すずし) 朝涼(あさすず) 夕涼(ゆうすず) 晩涼(ばんりょ う) 涼風(りょうふう) 灯涼し、星涼し、老い涼しなどの用い方もある。 号泣を涼雨に変える七日間 (久保元宏 1997.6) 緑風の句たった一度で諳(そらん)じる (久保元宏 1997.8) 粉引き抱き骨董屋の奥影涼し (久保元宏 1999.6) 少年は髪をかきあげ目の涼し (久保元宏 2000.8) 鍵盤に頬杖突けば音涼し (久保元宏 2002年6月) ・夏の日(なつのひ) 夏日(なつび) 夏日影 夏の太陽にも、夏の一日にもいう。 夏の日の遠い約束エルサレム (久保元宏 2002年6月) ・夏の朝(なつのあさ) 夏暁(なつあけ) 「夏暁」は、夏の明け方。 夏 の朝煙になったゲシュタルト (久保元宏 2002年6月) ・夏の夕(ゆう) 夏夕(ゆうべ) 夏の夕脱ぎ捨てられた子供靴 (久保元宏 2002年6月) ・夏の夜(なつのよ) 夜半(よわ)の夏 明け易し 短夜(みじかよ) 夏の夜でも、短夜といえば、春の日永、秋の夜長、冬の短日とともに、伝来の季節感がこもる。 短夜に翼は冷えぬJFK (久保元宏 2001年6月) ▲2001年5月26日(土)3: 20Pm ついに、ニューヨークJFK空港に到着! 明け易し五十歩百歩の亡命者 (久保元宏 2002年6月) ・夏の空 夏の天 夏天(かてん) 日光みなぎる夏の空。夏天と言うと、語調も強い。 十七歳夏天(かてん)に裸体甘い砂 (久保元宏 2002年7月) ・夏の月 月涼し 明るい夏の月、また涼味をさそう月。 夏の月蕎麦(そば)を手繰(たぐ)ればスルーパス (久保元宏 2002年7月、サッカー・ワールドカップ)
・夏の星 星涼し 炎熱の去ったあとの星空は、涼風とともに人心地をよみがえらせる。 夏の星昼間と違う虫が飛ぶ (久保元宏 2002年7月) ・夏の雲 夏雲(なつぐも) 変化の多い夏雲は、力強く天空に躍動する。 どこまでも仮説の次元流れ雲 (久保元宏 1996.8.8) 穿鑿(せんさく)も邪推も危懼(きく=危惧)も夏の雲 (久保元宏 2002年7月) ・ 雲の峰(くものみね) 入道雲 積乱雲 雷雲(らいぐも) 夕立雲 大空に層を重ねる入道雲は、やがて雷雨をよぶ。 無意識を犬に喰わせて雲の峰 (久保元宏 1999.7) 涅槃へとハドソン・リバーに雲の峰(久保元宏 2001年6月) ・夏の風 夏嵐(あらし) 南方海上の高気圧帯から大陸の低気圧帯に向かって東または南東から吹く夏の季節風。 ・薫風(くんぷう) 風薫(かお)る 夏のはじめ、若葉をわたって緑の匂いを伝えてくるような南風。 花嫁の荷物を解けば風薫(かお)る (久保元宏 2002年7月) ・青嵐(あおあらし、あをあらし) 青葉若葉をなびかせて明るくてやや強い風。 赤旗の領収書舞う青嵐(あをあらし) (久保元宏 1998.9) 青嵐君のスカートのはじまるところ (久保元宏 2002年8月) ・南風(みなみ) 大南風(おおみなみ) 正南風(まみなみ) 南風(なんぷう) 南風(みなみ かぜ) 南吹く 四月ごろから八月ごろにかけて吹く季節風。あまり強くない風だが、時に強烈な大南風となる。 南風には地方により、はえ、まぜ、まじ、などの方言が多い。 南嵐(みなみかぜ)主人のいない入れ歯あり (久保元宏 2002年8月) ・夏の雨 夏雨(なつさめ) 「夕立」など特定の呼び名持つ雨以外の、夏の雨。 夏の雨濡れることより触ること (久保元宏 2002年8月) ・夕立(ゆうだち、ゆふだち) よだち 白雨(はくう) 驟雨(しゅうう) 夕立晴 夏のにわか雨。夕方に降ることが多い。炎天後の夕立は人も草木も生き返るさわやかさがある。 夕立が僕を追い抜き駆け抜ける (久保元宏 2002年8月) ・雷(かみなり) いかずち 雷(らい) 雷雨 落 雷 雷鳴 春雷、稲妻(秋)、冬の雷などの季語もあるが、やはり雷は夏季の天象だ。 釉薬(ゆうやく)は陶板を犯し雷(らい) となる (久保元宏 1998.9) 雷雨後の櫛には髪が付いている (久保元宏 2002年8月) ・ 雹(ひょう) 氷雨(ひさめ) 降る氷のかたまり。雷雨を伴うことが多い。古くは、氷雨と言った。 竜巻だ!家屋を喰らい雹を撃つ (久保元宏 2001年7月) ・虹(にじ) 朝虹 夕虹 二重(ふたえ)虹 雨後の空にかかる七色の虹。夏季に多く見られる。 ハーレムに架かる虹にも黒は無し (久保元宏 2001年6月) ・夏の露(つゆ) 露涼し 夏の朝おくすずやかな露。単に「露」だけでは、秋の季語。 夏の露(つゆ)最長老の詩人死す (久保元宏 2002年8月3日 伊 藤信吉、享年95歳) ・夏の山 夏嶺(なつね) 青嶺 夏山路(やまじ) 目を閉じて空に溶け入る夏山路(やまじ) (久保元宏 2002年8月) ・清水(しみず) 山清水 苔(こけ)清水 草清水 泉と同じく湧き出るきれいな地下水だが、清水といえばちろちろ流れる動きを感じさせる。 想うほど清水を掬(むす)ぶ風 の道 (久保元宏 2000.8) ※「掬(むす)ぶ」=てのひらですくう。 ・麦の秋 麦秋(ばくしゅう) 麦は初夏に黄熟し、取り入れ時を迎えること。 麦の秋チャパツど ころか金髪も (久保元宏 2001年7月) ・晩夏(ばんか) 夏深し 夏の果(はて) 7月半ばから8月初めへかけて。 鱗粉を畳に残し夏が去る (久保元宏 1997.8) ・白南風(しらはえ) 梅雨が明けて、空の感じもしらじらと明るくなった時分の南風をいう。 白南風(しらはえ)やノートパソコン買い に行く (久保元宏 1998.7) ・灼(や)く、炎(も)ゆ、熱風 真夏の太陽の直射の激しさ。風も熱風と化す。岩灼く、雲灼く、砂炎ゆ、などの用い方もある。 熱風や李朝の声に振り向いて (久保元宏 1999.6) ・炎天(えんてん) 夏の日ざかりの白熱した天空。 炎天のシャツが一枚干してある (久保元宏 1997.6) ・片蔭(かたかげ) 片かげり 夏蔭 炎暑の午後の日かげ。人は少しづつのびてくる片蔭を伝い求める。 まっすぐに片蔭(かたかげ)を追う人も蟻 (久保元宏 2000.8) ・油照(あぶらでり) じりじりとむし暑い日照。 少しづつ死んでゆく吾油照り (久保元宏 1999.6) ユトリロが壁に溶けだす油照 (あぶらでり) (久保元宏 2000.8) ・鯉幟(こいのぼり、こひのぼり) 五月(さつき)鯉 吹流し 端午の節供に立てる鯉を形どった幟。五色の長い布を垂らした吹流しが添えられる。 肉体を持った記憶の鯉幟(こいのぼり) (久保元宏 2001年5月) 鯉幟(こいのぼ り)鯉の形の空気あり (久保元宏 2002年5月) ・夏休(なつやすみ) 暑中休暇 学生や会社員などが暑い期間一定の休暇をとる。 夏休み妻は堅固(けんご)に穴縢(あなか が)り (久保元宏 1997.8) ↑「穴縢り」=ボタン穴などの縁を補強のために糸でかがりぬうこと。 ・海水浴(かいすいよく)、潮浴び、波のり、サーフィン 海水浴を楽しむ人は、年々多くなっている。 遠浅に寝そべる子らの臍(へそ)に砂 (久保元宏 2000.7) ・キャンプ キャンプ・ファイア 夏の海辺、湖畔、山林で、若者は夜は火をたき、楽しく踊る(笑)。。 バーベキュー開いた貝の腹黒さ (久保元宏 2000.8) ・虫干(むしぼし) 土用干 曝書(ばくしょ) 土用ごろの晴天続きに、衣類、書画などを風にあてて湿気をとる。図書の虫干を曝書という。 土用干し妊婦の足の爪を切る (久保元宏 1997.8) ・原爆の日(げんばくのひ) 原爆忌 広島忌 長崎忌 1945年8月、広島(6日)、長崎(9日)に落とされた原爆はアメリカによる市民の大量虐殺であった。 色あせし飛べぬ折鶴原爆碑 (久保元宏 1997.8) この先は遊泳禁止原爆忌 (久保元宏 1999.8.6) ・噴水(ふんすい) 吹上げ 公園、広場、庭園などで、水を吹き上げさせて涼を呼ぶ。 噴水はポットなのか?チューブなのか?(久保元宏 1999.12)
・作り雨 作り滝 料亭などの庭に、水道を使って雨を降らせ、あるいは滝をまねて水を落す仕掛け。 花を活け器が不易作り雨 (久保元宏 1999.6) ・更衣(ころもがえ、ころもがへ) 昔は旧暦4月1日を更衣として、夏衣に着替える宮中行事などもあった。現在は、6月1日に制服などを夏服にかえる習慣がある。 難民のニュースを見つつコート蔵(しま) う (久保元宏 1999.4) ・夏シャツ クレープなど白い薄地のものが多い。 白シャツや翁太鼓のシンコペーション (久保元宏 1998.6 富山県小矢部市にて) ・夏帽 日射しよけにかぶる夏用の帽子。 夏帽子目玉の他は骨と皮 (久
保元宏 2000.7)
・日傘(ひがさ) パラソル 昔は、ほとんど紙製の日本傘だった。 日傘ごと脳が痺(しび)れてコンニチハ (久保元宏 2001年8月) ・早苗饗(さなぶり) 田植が終ったときの農家の行事で、早苗を神棚に供え、一日農事を休んで酒宴などして祝う。 早苗饗(さなぶり)の白き肩出す後継者 (久保元宏 1998.7) ・草刈(くさかり) 草刈女(め) 草刈籠 農家では、夏、刈り取った雑草を家畜の飼料や肥料にするので、草刈は欠かせぬ仕事のひとつである。 千枚田畦(あぜ)の草刈り阿弥陀籤 (くじ) (久 保元宏 2000.7) ・夏館(なつやかた) 夏屋敷 夏をしのぐのにふさわしく、涼しげに簾をつったり庭に樋をしつらえたりしてある邸宅。。 そこにまだ珈琲がある夏館(なつやかた) (久保元宏 1999.7) ・簾(すだれ)、青簾、玉簾、伊予簾 夏には、ふすまや戸、障子をはずしたあとに簾を掛ける。 あいまいな日曜の朝青簾(すだれ) (久保元宏 1999.7) 中庭の野生に凍る簾(すだれ)かな (久保元宏 2001年8月) ・扇(おうぎ) 扇子(せんす) 白扇(はくせん) 絵扇 (えおうぎ) 舞扇や落語家の小道具その他、用途、種類は多いが、やはり涼をとるためのも のとして夏の季題。 螺旋にも中心はあり扇(お うぎ)開(あ)く (久保元宏 2001年8月) ・冷蔵庫(れいぞうこ) 以前は、氷の塊を入れて冷やしていた。 夜中には一人起きてる冷蔵庫 (久保元宏 1999.2)
・氷室(ひむろ) 氷室守(もり) 天然の氷を夏まで貯蔵するための室や穴。 男根を氷室に刺したマンハッタン (久保元宏 2001年7月) ・昼寝(ひるね) 午睡(ごすい) 三尺寝(さんじゃくね) 三尺寝とは職人らが狭い場所で身をまげて午睡すること。 晴れた日にサハリン見つつ三尺寝 (久保元宏 1997.8) 三尺寝で宇宙までちょっと5分間 (久保元宏 1998.11) ・端居(はしい、はしゐ)、夕端居 夕涼みをかね、縁先などに席を移してひと休みする。 端居にて毛の長き猫思索せり (久保元宏 1999.7) 端居してここが宇宙の入口 だ (久 保元宏 2001年8月) ・打水(うちみず) 水打つ 撒水車 涼(みづ)を呼び、砂埃をおさめるため、庭や往来に水をまく。 再会に打水ホースを手放して (久保元宏 1998.6 富山県小矢部市にて) ・風鈴(ふうりん) 午睡(ごすい) 三尺寝(さんじゃくね) 鉄製、ガラス玉、陶製と、鈴の材料や形はさまざま。 風鈴や役にも立たぬ句をひねる (久保元宏 1997.8) 風鈴の音で振り向く五番街 (久保元宏 2001年6月) ・手花火(てはなび) 線香花火 ねずみ花火 手に持って飛び散る花火を楽しむ小型の花火。 手花火のそこから先は歌謡曲 (久保元宏 1999.8) ・冷麦(ひやむぎ) 細切りの乾麺をゆでて冷し、薬味をそえて、つゆで食べる。 冷麦がだんだん冷たくなってゆく (久保元宏 1999.8) ・ラムネ 炭酸水にレモン汁と砂糖で味付けした清涼飲料水。 ラムネ玉鳴らせて知らす子の在(あ)り処 (か) (久保元宏 1999.7) ・サイダー 炭酸水に砂糖液その他香料や色素を加えた清涼飲料。 サイダー瓶両手を伸ばして握り締め (久保元宏 1998.6) ・麦酒(ビール) 風鈴売 貯蔵のきく瓶詰ビールと、加熱殺菌しない生ビールがある。 投手戦 ビールの泡も力瘤(ちからこぶ) (久保元宏 1997.7) 加 奈陀麦酒ゲバラの Tシャツ闇に溶け(久保元宏 2000.6) ・祭(まつり) 夏祭 神輿(みこし) 祭囃子(ばやし) 祭提灯 宵宮(よいみや) もとは祭といえば葵祭(賀茂祭)をさし、他社は夏祭といって区別していた。 どしゃぶりの赤い雨降る濡れ夜高 (久保元宏 1997.8) おしろいが深き皺呼ぶ村祭り (久保元宏 1997.9)
・時鳥(ほととぎす) 子規、杜鵑、不如帰などとも書く。初夏、日本にやってくる渡り鳥。「特許許可局」と鳴く クロフツの初版を見付け時鳥 (ほととぎす) (久保元宏 2001年7月) ・白鷺(しらさぎ) 池、沼のほとり、水田などにすっきりした姿で立っている。関東や北陸などに集団生息地が各地にある。 空間が割れているのか白鷺(しらさぎ)か (久保元宏 1998.6 富山県小矢部市にて) ・鵜(う) カラスに似ているが、かなり大きい。巧みに潜水して魚を捕らえる。 乳幼児突然死症候群鵜 (久保元宏 1998.9) ・大瑠璃(おおるり) 雄は頭から背にかけて、瑠璃の色が美しい鳥。 逆光に大瑠璃を見たあの幻 (久保元宏 1998.4) ・浮巣(うきす) 鳰(にお)の巣 水に浮かべて作るニオドリの巣は珍しい。 水草などを利用し、水位に従って上下するようにできているというが、地上からの外敵に対しても安全な住みか。 浮巣抱くセントラ ル・パークも都市に浮く (久保元宏 2001年6月) ・蝿(はえ) 家蝿 金蝿 馬蝿 「五月蝿」と書いてウルサイと読むのは、いよいよ五月ころから活動期になるからであろう。 蝿の王死海文書を肆(ほしいまま) (久保元宏 1997.8) 初蝿や網戸に幽閉空知らず (久保元宏 1998.4) ・蚋(ぶと) 蟆子(ぶと) ぶゆ ぶよ 蚊に似ているが、ずっと小さい。案外に痛く、いやな虫である。 言葉のみ血だらけで立つハビビ蚋(ぶと) (久保元宏 1998.6) ・ 蚯蚓(みみず) 地中にすみ、体長10センチから40センチくらい、赤褐色の虫。 泥蚯蚓エ ヴァンゲリオン飼育不可 (久保元宏 1997.4) ・ 蟻(あり) 山蟻 赤蟻 蟻の道 蟻の塔 アリはミツバチとともに、整然とした社会生活をする。アリが巣の 穴を掘った土が積まれて「蟻の塔」をなす。 おろかな る贋物売りに蟻の道 (久保元宏 1999.6) アスファ ルト蟻の塔から500マイル(久保元宏 2000.7) ・雨蛙(あまがえる) 青蛙 枝蛙(かわず) 雨の降る時、または降りそうな時に泣くかわいいカエル。 分霊を勧 請(かんじょう)したる青蛙 (久保元宏 1998.7) ・ 鮎(あゆ) 香魚(あゆ) 年魚(あゆ) 鮎漁 鮎の宿 姿が美しく、上品な味で、川魚中の随一とされる。 人間は養殖ばかり鮎嗤う (久保元宏 2001年7 月) ・蛍(ほたる) 蛍火 蛍籠 蛍合戦 青臭い匂いのする小さな虫だが、尻が光る。 膝を抱く 君の目からは蛍立つ (久保元宏 1997.8) エンパイア・ス テートビルに棲む蛍 (久保元宏 2001年6月) ・ 金魚(きんぎょ) 夏向きの観賞魚として、和金、琉金、出目金、獅子頭その他、さま ざまな品種が作られている。 金魚とい う名の命を二つ買い (久保元宏 1999.8) ・穴 子(あなご) 海鰻(あなご) 形も大きさも、ウナギによく似た魚。海底の砂泥にもぐるところも 似ている。天ぷらや鮨種などにして美味。 穴子裂く頭はソ連尾はロシア (久保元宏 2001年7月) ・蚊(か) 薮蚊 昼の蚊 蚊の声 蚊柱 「蚊柱」とは、カが縦に柱のように群がって飛ぶさまをいう。 I wanna be an anarchist と嘯く蚊 (久保元宏 1997年6月) ・シ マエビ 北海道のみ、それも道東エリアでだけ水揚げされるこのエビは、6、7月、道内のビアホールや居酒屋で、ビールのつまみとして絶大な人気を誇っている。 シマエビを二十匹食べてエビになる (久保元宏 1999.7) ・青葉(あおば、あをば) 若葉より幅広い普遍性とともに、やや手ずれのした語感を伴う。 青葉にはインクの匂い創刊号 (久保元宏 1997.6) ・ 草茂(くさしげ)る 樹木の茂りを「茂り」というのに対し、夏草の茂りは「草茂る」と いう。 草枕昇る 煙に揺れる喪章 (久保元宏 1998.7) ・薔薇(ばら) 薔薇(そうび) ふつう西洋バラを総称する。春秋咲き、四季咲きと花期もいろいろだが、花どきは夏とみて夏の季語によまれる。 番犬に見張られながら薔薇を焼く (久保 元宏 2000.5) ・牡丹(ぼたん) ぼうたん 牡丹園 中国では花の王とされる。 牡丹揺れ 問わず語りに告白を (久保元宏 1996.8.8) ・筍(たけのこ) たかんな 竹には多種ある。北海道には孟宗は珍しい。 竹の子の悲しき性の白き汁 (久保元宏 1997.6) ・竹落葉(たけおちば) 笹散る 竹は夏から秋にかけ新葉が出る。そのころ古い葉が落ちるので、夏には、竹林や庭隅に葉が散り落ちる。 クマザサに眠れぬ遺骨朱鞠内 (久保元宏 1997.8) ・苧環(おだまき) いとくり草(そう) キンポウゲ科の宿根草。うつむきかげんに開く。 伯父健在苧環くだまき花日和 (久保元宏 1997.5) ・文字摺草(もじずりそう) 捩花(ねじば な) 湿地や原野に自生するラン科の多年草。 文字摺草(もじずりそう)涙腺という理性 かな (久保元宏 1998.6) ・苺(いちご) 覆盆子(いちご) ふつうオランダイチゴをさす。 苺食む切開された胎児かな (久保元宏 1997.4) ス
ポンジケーキ・苺・
生クリーム (久保元宏 2000.3)
・蕗(ふき) 蕗の広葉 秋田蕗 山野の自生するキク科の多年草。アイヌに、コロボックルという小人が蕗の下で暮らしているという民話がある。 雨に蕗(ふき)守るものなど何も無い (久保元宏 2001年7月) ・あやめ 花あやめ 乾いた草原に群生する多年草。六月ごろ花柄の頂きに紫、または白色の花を開く。 花嫁の頬の色問う白あやめ (久保元宏 1999.9) ・黴(かび) 青黴 麹(こうじ)黴 黴の香(か) 黴の宿 長梅雨のころ、身の回りがすべて黴くさくなる。じめじめした鬱陶しさの象徴。 グリニッ チ・ヴィレッジの黴(かび)天までも (久保元宏 2001年6月) 2001年5月28日(月) 9:30Pm あこがれのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」には、 すでに行列が。 よく見ると、「PM8:30 Door OPEN」と入口に張り紙。 げっ。演奏開始のPm 9:30にぶらりと来てもダメ? 私達の3人前でダメだった。 女店員が何度も地下の階段を昇ってきては、 席を詰めながら、少しずつ入れたのだが。 私達より後に来た、スーツをビシッとキメたイタリア人っぽい 若いカップルも、泣く泣く帰っていった。 「だからアンタは、負け犬なのよっ!」との女の声を想像した。(笑) 女店員は、私達を 「やれやれ、またジャズの分からないジャップ観光客ね。 今ごろ来て、中でイビキでもかかれたら、たまんないわよ」 とでも言いたげに、店のライブ・スケジュール表を私に無言で手渡して、 階段を降りていった。その穴から、彼女は二度と出てこなかった。 ▲それでも、あのネオン・サインは、 ジョ ン・コルトレーンの 『ヴィ レッジ・バンガード Again !』と同じだった。 それだけでも、いいや。 コルトレーンが出演するワケでもあるまし。と、強がり。 写真の下は、その時に女店員から手渡された ヴィレッジ・バンガードのライブ・スケジュール表。 ・夏菊 中輪、小輪がふつうで、大輪は少ない。 夏の菊柩 に生けて伯父が逝く (久保元宏 1997.6) ・ 百合(ゆり)、白百合 山野に自生し、栽培もされる宿根草。 ぬめりだ す恋の文体百合にほふ (久保元宏 1998.9) 居所を失う百合が首を振る (久保元宏 2001年8月) ・茄子 (なす) なすび 白茄子 インド原産。一夜漬けの漬けナスの新鮮な味は格別。 旭光 (きょっこう)に茄子投擲(とうてき)された手榴弾 (久保元宏 1997.7) 低く飛ぶ鴉の口に茄子ひとつ (久保元宏 1999.9) 太陽を閉じ込めた茄子3秒前 (久保元宏 2001年8月) |
句小説 『透明な存在』 (久保元宏 1997.8) |
透明な僕を
見つけて阿鼻夏蚕(あびなつご) 誰も皆違う薔薇持つ正義漢 冷めすぎて火を吹き出した冷蔵庫 学校は何も教えてくれなかった 「通り魔」と名付けられたる若夏 毛(なつげ) 肉を切る骨にあたりし東風騒ぐ ひとり泣く夜の影踏み若葉散る 饒舌な「殺人者」たる髑神戸 (しゃれこうべ) 新聞の文字さえ凍る中3の夏 ゲーム終え兇器捜しの川開き |
秋(8月8日 〜11月7日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
・秋
三
秋 島の秋 秋の人 車中から 議員議員と秋の虫 (久保元宏 1996.11.8) 不時着の秋の麦藁帽子かな (久保元宏 1997.11) 透明な記号になりし秋の系譜 (久保元宏 1998.10) 秋落暉(らっき)目医者もまた目で目を診 (久保元宏 1998.11) 秋高し醜く歪む我の肉 (久保元宏 1999.9) 秋やけさにゅるりと入る内視鏡 (久保元宏 2002年9月) ・ 爽やか(さわやか、さはやか) 爽涼(そうりょう) 秋気澄み、気分もすがすがしい。 爽やかに 輜重(しちょう)も軽しバスの子ら (久保元宏 1997.9) 爽(さ わ)やかに新車の革(かわ)に沈む腰 (久保元宏 2001年9 月) ・身に入(し)む 身に沁む 秋気を身にしみて感じることで、秋もようやく深まる感じ。 脱皮(だっぴ)する意味が身に入(し)むひとつの詩 (久保元宏 2001年9月) ・ 秋の日 秋日(あきひ) 「春の日」、「冬の日」などと同様、秋の一日にも、秋の太陽にも いう。。 つ かの間の全能感に秋日(あきひ)落つ (久保元宏 2001年9月) ・秋の暮(くれ) 秋の夕(ゆうべ) 秋の夕暮 日の落ちるのも早い秋の夕暮れ。 瞬間に恋が始まる秋の暮れ (久保元宏 2001年9月) ・ 秋の夜(あきのよ) 秋の宵、夜半(よわ)の秋 秋気澄み、夜もすがすがしい。 僕にしか 見えない星座夜の秋 (久保元宏 1999.6) 秋 の夜(よ)の軽蔑 の距離ホームラン (久保元宏 2001年9月) ・ 秋晴(あきばれ) 秋晴るる 秋日和(びより) 紺青の空に、秋の日は澄みきって明るい。 秋 晴(あきばれ)に回覧板が泳ぎだす (久保元宏 2001年9 月) ・ 秋光(しゅうこう) 秋色(しゅうしょく) 秋景色(あきげしき) 秋の日光の明るさを籠めて、いたるところに見出す澄明な日差しで ある。 「秋色」は秋の気分、気配を含む。 秋 光(しゅうこう)を瓶に閉じ込め海へ撃(う)つ (久保元宏 2001年9月) ・ 秋の空(あきのそら) 秋天(しゅうてん) 秋の空は青く澄みきって、無辺際(むへんざい)にひろがる。 ・秋高し(あきたかし) 天高し 秋は気が澄んで、空が高く感じられる。いわゆる「高天肥馬」の候である。 秋高し崩れてみると砂の城(久保元宏 2001年10月) ・ 秋の夕焼(ゆうやけ) 秋の夕焼(ゆやけ) 秋入日 秋落暉(あきらっき) 単に「夕焼」といえば夏の季語。秋の入日には静かな美しさがある。 午前9時秋の夕焼テロリスト (久保元宏 2001年10月) ・秋の雲 ときに淡々しく、ときに軽快、定めなく秋空に湧いては消える。 バラバラと人が降る日の秋の雲 (久保元宏 2001年10月) ・鰯雲(いわしぐも) 鱗(うろこ)雲 鯖(さば)雲 巻積雲の呼び名で、片々とした雲の群れが、魚のうろこのように並び広がる。 鰯雲(いわしぐも)うろこの数が死者 の数 (久保元宏 2001年10月) ・月(つき) 月夜 夜半の月 月代(つきしろ) 月の出 夕月 遅月(おそずき) 残月(ざんげつ) 「花」といえば桜をさすように、「月」といえば秋の月をいう。 「月代」は月が出ようとして、空の白みわたること。 危うさや月が輝き脆(もろ)さ見せ (久保元宏 1997.2) この窓で無月という名の月を見る (久保元宏 1999.10) 十六夜(いざよい)や彼女の腰と映画館 (久保元宏 1999.10)
臥待(ふしまち)や痩せ た少女の柔らか さ (久保元宏 1999.10) 更待(ふけまち)と国旗国歌の代案と (久保元宏 1999.10)
月代(つきしろ)や狂牛病の脳ひとつ (久保元宏 2001年10月) 月いづこ魔王のレンズ海の底 (久保元宏 2002年9月) ・秋の星 星月夜(づきよ) 星月夜(つくよ) 秋、満天の星のかがやきはさやかである。月夜のように明るいとして、星月夜の表現も生まれた。 星月夜十字路だけ の開拓地 (久保元宏 2001年11月)
ときにはさわやかな、あるいは身にしむ秋の風 秋風に相槌(あいづち)を打つ古ポスター (久保元宏 2001年11月) ▲2014年11月18日、安倍晋三首相は記者会見で、衆院解散を表明 し、 来年10月から消費増税を10%にすることを1年半延期すると表明。 帽子追う吊り鐘マント秋の風 (久保元宏 2002年9月) ・秋の声 秋声(しゅうせい) 山川、天地、どこということなく聞こえてくるように感じられる秋の無韻のひびき。 カッコ付の「希望」を叫ぶ秋の声 (久保元宏 2000.9) 秋声(しゅうせい)に揶揄されながらゴ ドーを待つ (久保元宏 2001年11月) ・秋曇(あきぐもり) 秋陰(かげり) 秋陰(しゅういん) 青空にめぐまれぬ曇り日が、秋には存外に多い。 秋陰(しゅういん)が希望に染(し)みるアフガン路 (久保元宏 2001年11月) ・秋の雨 秋雨(あきさめ) 秋霖(しゅうりん) 秋黴雨(あきついり) 秋湿(あきじめり) 秋の雨は梅雨のように長雨にもなりやすく、それを「秋霖」や「秋黴雨」と言う。 そのためにあたりが冷え冷えと湿るのが、「秋湿」。 「誤爆」とは便利なコトバ秋黴雨(あきついり) (久保元宏 2001年11月) ・秋の虹 秋空に立つ虹をいい、単に「虹」といえば夏の季語。 秋の虹野旋行(の・せんぎょう)でノモンハン (久保元宏 2001年11月) ※旋行(せんぎょう)=布施の行。僧 侶や乞食などに物をほどこし、与えること。 ・霧(きり) 朝霧 夕霧 夜霧 霧の香(か) 霧匂う 春霧に対する秋霧。水蒸気が寒冷にあって凝結し、煙のように辺りを閉ざす。 「霧匂う」は、煙霧を香のただよいによそえた表現。 霧匂う血はつながっていないけど (久保元宏 2001年11月) ・露(つゆ) 白露(しらつゆ) 露の玉 露光る 露けし 朝露 夜露 朝夕に草木や地面に露の玉を結ぶのは秋が最も多いので、秋の季語とする。 イワギキョウ朝露を吸い空となる (久保元宏 1999.5) 日が当たるまでの切ない露の 恋 (久保元宏 2000.10) ・ 秋の山(あきのやま)、秋の峰(みね)、山粧う(よそう) 紅葉に彩られた山を「山粧う」という。 山粧(よ そ)うコンシェルジェの鍵の音 (久保元宏 1999.11) ・八月 (はちがつ) 葉月(はづき) 八月尽(じん) 八月尽は、八月の終わること。 反戦論八月にだけ棚おろし (久保元宏 2001年8月)
・天の川(あまのがわ)、銀河(ぎんが)、銀漢(ぎんかん) 晴夜、上天を横切って帯状にきらめく恒星群。 天の川はじめの一歩の望遠鏡 (久保元宏 2000.9) 天の河虫喰いだらけの贋年表 (久保元宏 2002年9月) ・流星(りゅうせい) 流れ星 星飛ぶ 季節を問わぬが、秋の夜にもっとも多く見られる流れ星。 オリオンの醜き三つ子流れ星 (久保元宏 1997.3) ・名月 (めいげつ)、望月(もちづき)、満月、十五夜、良夜(りょうや)、月今宵(つきこよい) 旧暦八月十五夜の月、仲秋の満月。 望月や蜜柑色したブラックホール (久保元宏 1998.10) 名月を羽織で隠し志ん朝逝く (久保元宏 2001年10 月) ・居待月(いまちづき、ゐまちづき) 居待 座待月(いまちづき) 旧暦十八日の月。月の出は前夜より三十分ほど遅れる。座って待つ という心。 精神のバ トンリレーや居待月(いまちづき) (久保元宏 1998.10) ・野分(のわき) 野分(のわけ) 夕野分 野分雲 野 分跡 秋の野草を吹き分け、吹き倒す暴風。 さまざまな七十五日に野分晴 (久保元宏 2000.10) ・十月 神無月(かんなづき) 神無月は旧暦十月の異称。 生贄(い けにえ)に我を選びし神無月 (久保元宏 1996.10) ・刈田(かりた) 刈田道 稲を刈ったあと、切り株ばかり残っている田。 唾棄すべ き嗜虐(しぎゃく)な農政暮れ刈田 (久保元宏 1997.10) 晩秋、アシの花をさやがせ、ガンも渡ってこようという北風。 青北風 (あおぎた)やでめんと共に最中わる (久保元宏 1997.11) ↑「でめん」=農作業用のパート作業者。「出面」と書く。つま り、出てきた面子(めんつ)。 ・七夕(たなばた) 星祭(ほしまつり) 星 合(ほしあい) 旧暦七月七日の夜の中国の伝説にちなんだ風習。 棚機(た なばた)や一筆書きのヘラクレス (久保元宏 1997.7) 七夕に君もまた選ばれた少 女 (久保元宏 2000.9) ・ 花火(はなび) 打上花火 仕掛花火 遠花火(とおはなび) 夏の催しとして夏の季題ともされるが、八月残暑の候に、涼味をよぶ景物にふさわしく秋の季題とする。 静 かなる遠い花火の怒りかな (久保元宏 2000.9) ・菊人形(きくにんぎょう) 東京では本郷団子坂、両国国技館等が有名。 最高のを んなに成りし菊人形 (久保元宏 1997.11) ・ 砧(きぬた) 砧打つ 藁(わら)砧 昼砧 夕砧 遠(とお)砧 アサ、コウゾ等で織った衣は、洗うと固くなるので、木や石の盤にのせ木槌で打って柔らげたり、つやを出した。 世阿弥作といわれる能楽作品にも、『砧』がある。成立は室町時代。夫の留守宅を守る妻の悲しみが描かれている。 「藁砧」は藁を打つ砧で、今でもみられる。 リストラ 後漬け物の上へ砧(きぬた)石 (久保元宏 2000.11) ・ 案山子(かかし) 捨案山子(すてかかし) 作物を荒らす鳥獣をおどし防ぐため、田畑に立てる人形。用済みと なって打ち捨てられたのが捨案山子。 捨案山子 ハローワークの前にあり (久保元宏 1998.11) ・ 稲刈(いねかり) 収穫(とりいれ) 秋入り 稲(いな)車 稲架(はざ) 稲扱(いねこき) 刈り取られた稲は稲架にかけて干され、やがて稲扱の作業に入る。 微睡(ま どろみ)や赤きコンバインみぎひだり (久保元宏 1999.11) ▲差出&撮影人 : blue.tree 送信日時 : 2007年9月10日 1:17Pm 宛先 : 久保AB-ST元宏 件名 : ビート畑に黒い影? ビート畑に何か黒い物体が・・ 先日7日に石炭運搬のダンプ が道路脇に転落! ビートに石炭というコントラストが微妙。運転手は頭を打って病院に運ばれました。 ・ 豆引(まめひ)く 大豆(だいず)引く 小豆(あずき)引く 豆類の葉が黄ばみ実が熟してはじけ飛ぶ前に、根ぐるみ土から引き 抜いて収穫するので、「豆引く」という。 ひとり居 の広き茶の間で豆を干す (久保元宏 1999.8) ・ 蘆刈(あしかり) 蘆火 アシは晩秋から初冬にかけて刈り、屋根を葺いたりする。 アシを焚いて暖をとる火が「蘆火」。 蘆刈(あしかり)が左へ進むハイヴィジョン (久保元宏 2000.12) ・鳩吹(はとふき) 両手を合わせ口を当てて吹き、ヤマバトの鳴き声に似た音を出してハトを捕える。 または、シカ狩りの合図。 星条旗鳩吹く人は現れず (久保元宏 2002年9月) ・新米(しんまい) 今年米(ことしごめ) 今年収穫した米。新米の飯はつやもよくうまい。 新米に震える箸と掏 摸(スリ)の指 (久保元宏 2000.11) ・ 盂蘭盆(うらぼん) 盂蘭盆会(え) 盆 新盆(にいぼん) 盆棚 魂祭(たままつり) 茄子(なす)の牛 7月13日から15日または16日まで行なわれる祖先を供養する仏事。 飛ぶ夢の 裏の裏には茄子の牛 (久保元宏 1999.9) ・虫 (むし) 虫の声 虫の音(ね) 虫時雨(しぐれ) 虫の闇 虫籠 虫売 マツムシ、スズムシ、コオロギその他、秋に鳴く虫の総称。 捕虫網青 空の中熔けてゆく (久保元宏 1998.9) 腐爛する時間の世界蟲の聲 (久保元宏 2002年9月) ・きりぎりす 蟷螂(とうろう) いぼむしり 昔、コオロギをキリギリスと呼んでいた時代もあった。 きりぎり す思ひ出すのだ童歌(わらべうた) (久保元宏 1997.11) ・蜻蛉(とんぼ) 蜻蛉(せいれい) あきつ やんま 塩 辛蜻蛉(しおからとんぼ) 秋の日に薄い羽をひらめかせて軽やかに飛びはじめる。 群蜻蛉日の丸の海解き泳げ (久保元宏 1996.11) 突然の蜻蛉の群に雨あがる (久保元宏 1999.9) おにやんま落下してゆく恒星に (久保元宏 1999.11) 蜻蛉来て担(かつ)ぐ俵で小休止 (久保元宏 2000.10)
・赤蜻蛉(あかとんぼ) 秋の日に、ツイツイと流れるように飛ぶ。 「保留」という沈黙にまた赤蜻蛉(とん ぼ) (久保元宏 1998.10) ・秋の蝶(あきのちょう) 華麗と言うよりも、静かな感じ。 秋の蛾や殺されたいと狂い舞 (久保元宏 1999.11) ・邯鄲(かんたん) コオロギ科に属するが、マツムシやスズムシよりも小さく、かすかで、あわれ深い。 CDの曲間に鳴く邯鄲(かんたん)譜 (久保元宏 2000.10) ・はたはた ばった 精霊(しょうりょう)ばった きちきち キチキチという音を立てるのでキチキチバッタの名もある。 小慧(しょうけい)なり狂ひ飛蝗(ばっ た)の園遊会 (久保元宏 1997.8) ↑「小慧」=小ざかしいこと。 ・ 蜩(ひぐらし) 茅蜩(ひぐらし) かなかな 日暮れ、夜明け、雨の降った後など、涼しい空気の中で盛んに鳴く セミ。 かなかなや老いた 太陽ひとりきり (久保元宏 2000.9) ・鮭 初鮭 はららご サケは川の上流で産卵する。卵を「はららご」という。 鮭の眼を口で溶かしつ窓開く (久保元宏 1996.10) 鮭の恋死を覚悟して川上り (久保元宏 1997.12) 真夜中に鮭の首切る妻 の影(久保元宏 2000.3) ・雁(かり) 雁(がん) かりがね 初雁 雁渡る 雁の棹 (さお) 秋、日本に渡ってくる鳥。 雁過ぎし睡眠薬とウイスキー (久保元宏 2000.10) ・唐辛(とうがらし) 蕃椒(とうがらし) なんばん 「青唐辛」は夏の季語。 唐芥子 (とうがらし)咽から宇宙へ突き抜ける (久保元宏 1997.7) ・ 自然薯(じねんじょ) 山芋(やまいも) 山芋(やまのいも) 長芋(ながいも) 白い小花を開く。とろろにしたり、菓子の材料として食べる。 籾殻を払 いて懐(いだ)く自然薯かな (久保元宏 1998.12) ・桃 桃の実 水蜜桃(すいみつとう) 白桃(はくとう) たいていは明治時代に中国から輸入された天津桃や水蜜桃の改良種。 桃の毛を頬にあてし黒衣の子 (久保元宏 1996.10) ↑葬式の式場に、線香の強い香りに混じって桃の甘い香りがただ よう。 本当は、その向こうに寝ている死体の香りも、同じ式場に漂って いるはずである。 普段着の黒い服を喪服代わりに着た子供にとって、そんな臭いの 中で最も興味を引く臭いが、甘い桃の香りだ。 タイクツな式が終わり、大人たちが通夜という名の宴会を開始する。 ずっと桃の香りに惹かれていた子供は、大人の目を盗んでそっと仏壇に歩み寄り、桃を手にし、頬をあててみる。 すると、桃には薄っすらと毛が生えていた! 子供は人生最初のエロティシズムを体験する。桃は、いつしか心臓の音を立て出す。 ・ 梨(なし) 梨子(なし) 8月から10月にかけて成熟する。 梨 の汁東ティモール の初ランナー(久保元 宏 2000.11) 木槿(むくげ) もくげ アオイ科の落葉低木。夏から初秋にかけ、紅紫色の美しいフヨウに似た五弁花を朝開き夕方しぼむ。 コンニチハ木槿(むくげ)の頬を風が指す (久保元宏 2002年9月) ・萩(はぎ) 野萩 山萩 白萩 小萩 秋の七草のひとつ。 小用に迷い込んだら萩の園 (久保元宏 2000.10) ・朝顔(あさがお、あさがほ) 牽牛花(けんぎゅうか) ヒルガオ科の蔓(つる)性一年草で、左巻きに物にからまり伸びる。 朝顔や蔓(つる)は左に蕾(つぼみ)は右に(久保元宏 2000.9) ・煙草の花 花煙草 淡紅紫色の花を総状花序につける。 ヴァンクーヴァー薄荷煙草の友の街(久保元宏 2000.6) ▲2000年5月21日 カナダ、バンクーバーのギリシャ・レストラン『ロミオズ』。 食べたのは、 二人で、ビーフ(小)8.95カナダドル、ラム(小)8.95カナダドル。 と、それぞれで、Mousaka12.95カナダドル。←ギリシャの伝統料理、だってさ。 私はこれらの料理で、ローズマリーを意識的に知ることになる。 ワインは、カナダ産メルローの「Sawmill Creek」。もちろん(?)、ひとりで呑みました♪ ・・・それにしても、私、すげー太ってない? がくっ。 ・西瓜(すいか) 黒い扁平の種子も、中華料理のつまみに用いられる。種無しスイカは日本で改良されたもの。 西瓜喰う瀝青(ペンキ)のついた鎧窗(よろいまど)(久保元宏 2000.9) ・ 瓢箪(ひょうたん) 青瓢(ふくべ) 瓢(ふくべ) ひさご ウリ科の一年草。初秋にヒョウタン形の実を垂れる。 皮が堅いので中身を抜き取り、酒器や花器などに利用する。この容器を「ひさご」とよぶ。 干 し瓢(ふくべ)あ の男もヴァンパイ ア (久保元宏 2000.11) ・七竈(ななかまど) 山地に多い薔薇科の落葉高木。 夕刻の七竈(ななかまど)の木憂国忌 (久保元宏 2000.12) ・ 木犀(もくせい) 金木犀 銀木犀 中国原産の常緑小低木で、秋、黄だいだい色の小花を群がりつける キンモクセイ、花の白いギンモクセイがある。 金木犀 (きんもくせい)今僕は眠りにつくとこ (久保元宏 1998.9) ・ 葡萄(ぶどう) 山葡萄 野葡萄 世界で最も生産量が多いといわれる蔓(つる)性果樹。 赤い糸乙 女の素足葡萄踏み (久保元宏 1996.11) 黒葡萄夷狄
(いてき)の酒に昇天す (久保元宏 2000.11)
↑夷狄(いてき);外国人を軽蔑して言う語。中華思想における漢民族以外の異民族の蔑称から。 ・枝豆(えだまめ) 畦豆(あぜまめ) 大豆を熟しきらない内に枝ごととって、さやのママゆでて食べる。 多くの田の畦に植えるので畦豆の名もある。 枝豆の括 れに指の酌婦かな (久保元宏 1997.9) ・櫨紅葉(はぜもみじ) 櫨紅葉(はじもみじ) ハゼノキはウルシ科の落葉高木。 黄櫨(は ぜ)の実を蝋燭にする古座椅子 (久保元宏 1997.7) ・初紅葉(はつもみじ) 早紅葉(さもみじ) その年はじめて見た紅葉、黄葉をいう。 初紅葉天 の揮毫(きごう)の造型かな (久保元宏 1997.10) ↑「揮毫」=筆で書くこと。 ・柿(かき) 渋柿 甘柿 熟柿(じゅくし) 「木守り」といって来年もよく実るようにと、実をひとつだけ木に取り残す俗習もある。 想像の柿を平らげ素寒貧 (久保元宏 2000.11) ・ レモン 檸檬(れもん) 日本でも瀬戸内で栽培されているが、ほとんどが輸入品。だから、 丸善が似合うのかな? 訪ねれば ゼンマイ仕掛の檸檬あり (久保元宏 1998.11) ・菊 白菊 厚物咲(あつものざき) 菊の宿 菊日和(きくびより) 原産は中国といわれ、菊、竹、蘭とともに四君子として鑑賞されて きた。 大輪のまり状に咲く園芸種を厚物咲という。 「出鱈 目」が我が墓碑銘と菊を踏む (久保元宏 1996.11) ・ 菌(きのこ) 茸(きのこ) 茸(たけ) 茸山(たけやま) 食用になるものを採りに出かける山が「茸山」で、マツタケ狩をさ すばあいが多い。 吾の肉奥 底に棲(す)む菌(きのこ)かな (久保元宏 1998.10)
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Culture Day was Emperor's
birthday.
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■「文化の日」とゆー休日ながら、書き入れ時
のヤミ米屋の私は、ご出勤。
■んでは、「文化の日」らしく、私が10年前に入っていた 北海道で最も古い俳句結社『氷原帯』時代の作品を披露いたしましょ う! 俳句界にデビュー当時から私は「特選」に入ったり、地元新聞に取り 上げられたり、 ビギナーズ・ラックな俳人(→今は、廃人?)でありました。 では、その狂気の天才の短冊を、世界に公開(=後悔?)いたしま しょう! 久しぶりに自分で見ての感想⇒こんな短冊、作るヤツ、ふつー、い ねーよな(がくっ)。 上記の写真、向かって左から、 ・完璧な宗教を生む穀雨かな ・どこまでも仮説の次元流れ雲 ・肉体を持った記憶の鯉幟(こいのぼり) ・レノン忌や伸ばした髪を梳り(くしけずり) ・帝国の記憶を抱いた鳥曇 ・つちぐもり柩としての世界地図 ・海に降る雪になりたし露天風呂 ・桃の毛を頬にあてし黒衣の子 |
「文
化の日」とは、国民の祝日の一つで、1948年に制定された。 その敗戦直後に制定された・っーのが、ミソ。 以前、この日は「明治節」と呼ばれる明治天皇の誕生日であったの よ。 今じゃぁー、文化の日は明治節(=明治天皇)とは関係ナイ、のか な? でもね、ほら、この「文化の日」に文化勲章が授与され、 さらに文化功労者および各種褒章の伝達式などが行われるじゃんか。 だいたい、クンショーを欲しがるって気持ち自体が、王権主義だよ ね。 文化勲章は昭和12年(1937年)に制定され、 紀元節(=神武天皇即位の日、2月11日=現在 は「建国記念日」)、 天長節(=天皇の誕生日、4月29日=「昭和の日」笑)などに 表彰式が行われてきたんだけど、 敗戦後は、11月3日の「文化の日」に贈られることになったのさ。 いやー、ニッポンって、ほんと、文化大国だねぇ〜♪
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冬(11月8 日〜2月4日) | |||||||||||||||||||||||||||||
・冬
玄冬(げんとう) 冬帝 三冬 玄帝 星座晴れ酔狂な吾冬花火 (久保元宏 1996.12) 渓谷に一瞬の海そこも冬 (久保元宏 1996.12.4) 成熟を拒 む勇気の冬キャベツ (久保元宏 1997.2) 寂寞 (じゃくまく)の冬を終わらす締め太鼓 (久保元宏 1997.3) 白き首病室の母と冬苺 (久 保元宏 1998.2) 機嫌気褄(きづま)哀しき性慾冬の犬 (久保元宏 1999.2) 如雨露(じょうろ)から漏れる空気に冬宿る(久保 元宏 2001年12月)
冬に入ってからの暖かい日。 冬暖(とうだん)の恋 もテロルも奪い去 る(久保元宏 2001年12月) ・冬の朝 冬暁(ふゆあかつき) 冬曙(ふゆあけぼの) 寒暁(かんぎょう) 寒の朝 「文学」と呟いてみた寒の朝 (久保元宏 1996.11.8) ・冬の夜(ふゆのよ) 夜半(よわ)の冬 寒夜 「夜半の冬」は、冬の夜もふけた感じ。 夜半(よわ)の冬ジュリアン・ソレルのDNA (久保元宏 2001.12) ・霜夜(しもよ) 晴れあがった風のない夜は霜が降りて、しんしんと冷え込む。 キャラ メルの角で指切る霜夜哉 (久保元宏 2000.2) 長靴の左右の会話聞く霜夜(しもよ) (久保元宏 2001年12月) ・短日(たんじつ) 日短(ひみじか) 暮早し 冬の日は短く、12月になるとますます日暮れが駆け足でやってくる。 暮早しハリスンの灰ガンジスへ (久保元宏 2001年12月) ・冬ざれ 冬の風物の荒涼としたありさま。 冬ざれのブルカの涙カンダハール (久保元宏 2001年12月) ・冷(つめ)たし 冷えきる 底冷え 膚にしみる寒さ。「底冷え」は、しんしんと底の方から冷えてくる感じ。 底冷の地雷で飛んだ足が泣く (久保元宏 2001年12月) ・寒さ 寒き人、寒き貨車など、主観を含めた表現にも用いる。 寒便座女の長き毛が一本 (久保元宏 1998.12) 少しづつ寒くなってゆく国 に住む (久 保元宏 2000.11) ・冴(さ)ゆ 寒さのきわまった、澄徹した感じ。月冴ゆ、風冴ゆる、影冴ゆるなどと用いる。 五輪冴(さ)ゆ仁輪加(にわか)ナショナ リストになる (久保元宏 1998.3) 帯(おび)選びいくつも拡(ひろ)げ畳冴 (さ)ゆ (久保元宏 2000.2) ・凍(こお)る 凍(い)てる 冱(い)てる 凍(し)む しばれる 寒気にあって物の凍ることをあらわす季語。 韜晦(とうかい)が生活の術凍る都市 (久保元宏 2002年2月) ・三寒四温(さんかんしおん) 三寒 四温 寒暖が交互に来ること。 鼻に棲む三寒四温の落胤 (らくいん) (久保元宏 2002年2月) ・冬日(ふゆひ) 冬の日 冬日向(ひなた) 冬の太陽、あるいは冬の一日。「冬日向」は、冬のなつかしく暖い日のあたるところ。 冬日向(ひなた)こ いつは夢か告白か (久保元宏 2002年2月) ・冬麗(ふゆうらら) 冬麗(とうれい) 冬晴 冬日和(びより) 春を思わせるうららかな冬晴。 冬麗(ふゆうらら)喇叭(らっぱ)はどぅ わっぱらったった (久保元宏 1999.12)
・冬夕焼(ふゆゆうやけ) 冬夕焼(ふゆゆや け) 寒夕焼(かんゆうやけ) 寒入日 襤褸(ぼろ)靴を気にして見過ごす冬 夕焼 (久 保元宏 2002年2月) ・冬の空 寒天(かんてん) からりと晴れた冬空でも、雲の垂れ込めた灰色の空でも、実景に即して用いられる。 逝く人を俎上(そ じょう)に抛(はな)ち冬の空 (久保元宏 2002年2月) ・冬の雲 寒雲(かんうん) 凍雲(いてぐも) 多く灰色に垂れ込めて心もふさぐが、美しく輝く晴天に浮かぶ雲もある。「凍雲」は氷りついたように動かぬ雲。 言霊(ことだま)を一気に敷衍(ふえん)冬の雲 (久保元宏 2002年2月) ▲『氷原帯』、巻頭句 (笑)。 ・冬の霧(きり) 冬の靄(もや) 寒靄(かんあい) 寒靄(かんあい)にヘッドライトも40km/h(久 保元宏 2000.2) ・冬の月 寒月(かんげつ) 冬三日月 寒三日 月 濃き影を冬の満月染めあげぬ (久保元宏 1998.2) 寒月や乾いた飯が服にある (久保元宏 1998.12) ・虎落笛(もがりぶえ) 冬の烈風が垣根や柵、電線などに吹きつけ、笛のような鋭い音を立てるのをいう。 「もがり」とは竹を組んだ柵や垣のこと。 空徳利(からとっくり)暖簾(のれん)の 向こうは虎落笛(もがりぶえ) (久保元宏 1997.12) 旋律はほとんどひとつ虎落笛(もがりぶ え) (久保元宏 2000.2) ▲ちょうど2年前、叔 父の死体が、愛車ベンツの中で発見されたのは、右の路肩。 pic by 久保AB-ST元宏(2008年1月12日) ・冬の雨 冬の雨天には、雪よりも寒さはやわらぐが、暗く冷たいイメージ。 鬱鬱と雪に刺りし冬の雨 (久保元宏 1998.12) ・霜(しも) 大霜 強(つよ)霜 霜の花 霜晴 霜解(どけ) 霜の声 快晴無風の冬の夜の地上に多く生じる。霜夜にしんしんと声があるかのように感じるのが「霜の声」。 通夜明けて便所の窓 に霜咲けり (久保元宏 2000.2) ・霰(あられ) 玉霰 夕霰 初霰 雪や雨が天空の冷たい層にぶつかって、氷粒または固い雪粒になって降るもの。 はしご酒降ってみやがれ雨霰(あられ) (久保元宏 1997.12) ・枯野(かれの) 枯原 枯野道 枯野人 冬野 冬の原 満目枯れ果てて、ただ天上に日と月がわたるのみの野面。 枯野には脊(せい)のすらりとしたをんな (久保元宏 1997.12) ・時雨(しぐれ) 小夜(さよ)時雨 村時雨 片時雨 横時雨 初冬、急にはらはらと降り出して通り過ぎてゆく雨。「片時雨」は一ところに降り、「横時雨」は横殴りに降る時雨。 ビル 朽ちて時雨(しぐ れ)は支那の文字 になる (久保元宏 2000.12) ・年越(としこし) 年うつる むかしは、歳初を迎えるために元朝にかけて物忌して起き明かした。
・初雪(はつゆき) その冬はじめての雪。北国では、稲刈りのころ、もう高嶺に初雪を見る。 初雪や頭垂れたる笹景色 (久保元宏 1998.12) ・日脚伸(ひあしの)ぶ 冬至が過ぎ、日が長くなってゆくことで、冬も終わりのころになると、日暮れの遅くなったのに気付く。 ・雪 粉雪(こなゆき) 小雪 細雪(ささめゆき) 深雪(みゆき) 飛雪(ひせつ) 吹雪 綿雪 根雪 新雪 雪の声 「雪の声」は、積雪のずり落ちる音。 霏霏(ひ ひ)と舞う水母(くらげ)の雪に溶ける月 (久保元宏 1996.12) こぼれ米雀が雪をかきわける (久保元宏 1998.2) 降り積もる汗牛充棟(かんぎゅうじゅうと う)雪の文字 (久保元宏 1996.12) ↑「汗牛充棟」とは、蔵書が大変に多いこと。 新雪に磔刑の跡初滑り (久 保元宏 1997.2) 寒昴(か んすばる)雪に蕾があるのなら (久保元宏 1997.2) 雪が降るニジッセイキの黄昏に (久保元宏 1998.11) 海に降る雪になりたし露天風呂 (久保元宏 1998.12) 失われるべき恋文雪葎(むぐら) (久保元宏 1999.1) ▲葎(むぐら)=野原や荒れた庭などに繁茂する雑草の総称。ヤエムグラ・カナムグラなど。うぐら。もぐら。 万
葉集 4270 「葎(むぐら)延(は)ふ賎(いや)しき宿も大君の座さむと知らば玉敷かましを 」
肉体の天窓を開け雪を喰う (久保元宏 1999.12)剛造の詩集で指切る雪の島 (久保元宏 1999.2)
脳が死にスローモーションで雪が降る (久保元宏 1999.3) 雪に首埋(うず)めて米を喰う雀 (久保元宏 1999.12) ・雪女郎(ゆきじょろう) 雪女(おんな) 雪の精 雪中に現われるという女性。雪に閉じこめられた山国の、炉辺夜話を通して育てられて行った伝説。 275ナビゲーターは雪女 (久保元宏 2001年2月) ・風花(かざはな) 空は晴れていながら、風にちらつく雪。 風花(かざはな) やここにいながら旅人に (久保元宏 1999.12) ▲2007年11月15日、北海道沼田 町の初雪。 ・氷(こおり、こほり) 厚(あつ)氷 氷面鏡(ひもかがみ) 「氷面鏡」は、氷面が鏡のようになめらかなさま。 ふぞろいのでこぼこ 氷金盥(かなだらい) (久保元宏 2000.2) ・節分(せつぶん) 立春の前日(2月3日ごろ)で、冬から春への変わり目の時という意味。家庭では、豆まきをする。 節分の翌日に踏む落花生 (久保元宏 1999.2) ・狩(かり) 狩猟(しゅりょう) 狩の宿 猟犬 狩場(かりくら) ジビエ ジビエとは、野生の動物を料理のために狩猟すること。解禁日は水鳥は7月1日から、その他は9月1から、2月末まで。 ジビエ奢侈(しゃし)野生の力香(にほ い)立つ (久保元宏 1997.3) 猟犬の自由は何ぞ誇り吠え (久保元宏 1997.11) ・七五三(しちごさん) 帯解(おびとき) 袴着(はかまぎ) 髪 置(かみおき) 千歳飴(ちとせあめ) 11月15日、三歳と五歳の男児、三歳と七歳の女児を神社へ連れ て参拝させる風習。 昔は七歳の女児を「帯解」、五歳の男児は「袴着」、三歳の男女は 「髪置」といった。 七五三虎 視眈々と歯を磨く (久保元宏 1996.11) ・柚子湯(ゆずゆ) 冬至風呂(とうじぶろ) 冬至の日にユズの実を入れた湯をたてる。これに入ると無病息災の効があると言われている。 柚子湯(ゆずゆ)と柚子湯の間にある 人生 (久保元宏 2001.2) ・年用意(としようい) 春支度 新年を迎えるための、さまざまな用意。 ガリ版の鉄筆出でし春支度 (久保元宏 1997.3) ・日記買う 古日記(ふるにっき) 新しい日記には、幸せが隠されてでもいるかのように見える。 さらば虚無5年連用日記買う (久保元宏 1999.1) ・寒紅(かんべに) 丑紅(うしべに) 寒中に製した口紅で、良質のものができるとされた。 寒紅やグアム土産のシャネルかな (久保元宏 1998.2) ・探梅(たんばい) 探梅行(こう) 早咲きの梅を山野に探しもとめて行くこと。「梅見」、「観梅」は春の季題。 探梅(たんばい)や白いシーツに脂粉の香 (久保元宏 2001年2月) ・息白(いきしろ)し 白息 息白し敗者はいつも上野発 (久保元宏 1997.12) ・嚏(くさめ) 嚏(くしゃみ) はなひり くさめも鼻風邪などにつきもので、冬の季題。 帰路遠し口数よりも嚏(くさめ)かな (久保元宏 1998.2) ・火の番 夜番(よばん) 夜廻(よまわり) 寒柝(かんたく) 寒柝は冬の夜寒の拍子木の音。 男ども尻を掻きつつ夜番(よばん)小屋 (久保元宏 1998.2) ・炭(すみ) 木炭(もくたん) 堅炭(かたすみ) 佐倉炭 消炭(けしずみ) 炭俵(すみだわら) いちど火をおこした炭を火消し壺に密閉して消しておくと、再び火のおきやすい「消炭」ができる。 消炭を零(こぼ)して我に帰る鬼 (久保元宏 1999.12) ・蒲団(ふとん) 羽蒲団 夜着(よぎ) 布団干す 衾(ふすま) 「衾」は昔の夜具の称で、蒲団の意に使う。 媾曳(あひびき)の約束交(かは)す蒲団部 屋 (久保元宏 1997.2) ・コート 東(あずま)コート 本来は上着のことだが、日本では女性が和服の上に着る外套をさし、毛織物で丈長の「東コート」が流行。 新聞部コートの中に文庫本 (久保元宏 1997.2) ・雑炊(ぞうすい) おじや 野菜に魚鳥の肉などを加えた汁に冷や飯を入れ、粥より少し固めに煮た保温食。 雑炊とパラリンピック流し込む (久保元宏 1998.4) ・湯豆腐(ゆどうふ) 湯奴(やっこ) だしコンブを敷いた鍋の湯で豆腐を煮て、カツオぶし、ショウガ、ネギなどを加えた醤油で食べる。 湯豆腐が頭の中で出来上がる (久保元宏 2000.12) ・焼藷(やきいも) 石焼芋 かつては、サツマイモの丸焼、切焼、ゴマをつけた西京焼、壺焼などがあった。今は石焼芋の呼売りが多い。 石焼藷くるまれている世界地図 (久保元宏 1999.11) ・酉の市(とりのいち) 酉の町 一の酉 二の酉 三の酉 熊手 11月中の酉の日の祭。浅草の鷲(おおとり)神社で行われる祭礼が最も盛ん。 その月初めの酉の日が一の酉で、三の酉まである年は火事が多いと言い伝えがある。 境内では、縁起ものの熊手を売る露天が立ち並んでにぎわう。 「今ごろは酉の市だ」と蝦夷商人 (久保元宏 2000.12) ・追儺(ついな) 鬼やらい 豆撒(まめまき) 年の豆 年男 立春の前日、すなわち節分に、全国の社寺で行われる災厄除の行 事。 豆礫(つ ぶて)我が身に刺さる「鬼は外」 (久保元宏 1997.2) 突然の追 儺(ついな)に書斎豆地獄 (久保元宏 2001年2月) ・クリスマス 降誕祭 クリスマスツリー 聖歌 12月25日、キリストの生誕を祝してのキリスト者の聖祭日。 リセットの装置としてのクリス マス (久保元宏 2001.12.25) クリスマス小島信夫の『馬』を 読む (久保元宏 2001.12.25) ↑キリストは馬小屋でウマれたらしい。2002年はウマ年。小島信 夫の小説『馬』の馬小屋は、かなりシュール。 ふぞろいの聖歌が響くクリスマ ス (久保元宏 2001.12.25) ・ ザッパ忌 1993年12月4日、死ぬまで前衛であり続けたロック・ミュー ジシャン、フ ランク・ザッパが死んだ。 レノン忌 にザッパ忌重ね遺句師走 (久保元宏 1996.12.4) ↑「行く師走」と「遺句師走」をかけてみたのさ。 ・レノン忌 元ビートルズのジョン・レノンは、 1980年12月8日にニューヨークのダコタ・アパート前で射殺された。 レノン忌や伸ばした髪を梳り(くしけず り) (久保元宏 1996.12.8) レノン忌にラジオは知らぬ「スカンバッ ク」 (久保元宏 1998.12.8) ・ 梟(ふくろう) ふくろ 野ネズミや昆虫を捕えて喰う。 梟よ銀の しずくもダムの波 (久保元宏 1997.7) ↑「聖 地は水の底に」 ◎北海道沙流郡平取町二風谷——緑に囲まれたこのアイヌ民族の聖地に、1996(平成8)年4月、巨大な人造湖は忽然と姿を現した。 ・ 鰰(はたはた) 雷魚(はたはた) 雷魚(かみなりうお) 北日本の海でとれる。秋田料理の「しょっつる鍋」に欠かせない 魚。 鰰(はた はた)の背骨のごとき日本列島 (久保元宏 1998.10) ・鰤(ぶり) 寒鰤(かんぶり) 体長1メートル前後。マグロに似た回遊魚。ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと成長によって名前が変わる出世魚。 脂粉(し ふん)の香(か)太めの女鰤(ぶり)大根 (久保元宏 2000.12) ・ 海鼠(なまこ) 体長、約30センチ。腸は塩辛にして「このわた」となる。 この秘密海鼠(なまこ)にだけは教えまい (久保元宏 2000.12) ・牡蠣 (かき) 牡蠣田(だ) 海中に垣を立てたカキ田などで養殖が盛んである。 隠れ家に艶 (なまめ)かしきは牡蠣の肌 (久保元宏 1999.12) 彼女の牡 蠣下品な音も味のうち (久保元宏 2001.2) ・冬の蝿(ふゆのはえ) わずかに生き残っているという感じの冬のハエ。 冬の蝿白 き内臓指で出す (久保元宏 1996.11.8) ・落葉(おちば) 朴落葉(ほおおちば) 銀杏落葉(いちょうおち ば) 落葉焚(おちばたき) 落葉籠(おちばかご) 「木の葉(このは)」は散ろうとする葉。落葉は、地に落ち散って いる葉。 落葉映え 吾もこの世の一員と (久保元宏 1996.11.8) ・葱(ねぎ) 根深(ねぶか) 葉葱 筒状の葉は緑だが、土中の部分は白い。そこを主に育てたので「根深」ともいう。 味噌汁の葱の主張やけさの秋 (久保元宏 1997.10) ・ 大根 だいこ 昔「おおね」と読んだが、のち漢字を音読してダイコンとなった。 大根のそ の舌触り冬を待つ (久保元宏 1996.12) 枯れ畑痩せ大根の青き肩 (久保元宏 1999.11) ▲差出&撮影人 : blue.tree 送信日時 : 2007年9月12日 8:37Pm 宛先 : 久保AB-ST元宏 件名 : ハロウィンにむけて 10月のハロウィンにむけて、おもちゃカボチャを箱詰め中。 今から商材として出荷し、ハロウィン祭りを徐々にあおる作 戦です。 結構磨きと並べに時間がかかります。 市場価格で1個55円くらい、小売まで行くと100円以上?! ・ 水仙(すいせん) 水仙花(か) 直立した花茎の先に、冬、白い六弁花をつける。 水仙や妊婦の足の爪を切 る (久保元宏 2001年2月)
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新年(お正月) | |||||
・新年
(しんねん) 年(とし)立つ 年明く 新玉(あらたま) 「新玉」は年の枕詞「あらたまの」にもとづき、新年の意に転じたもの。 新 年やブルカは何を隠すのか (久保元宏 2002年1 月1日) ・初春(はつはる) 今朝(けさ)の春 明(あけ)の春 四方(よも)の春 陽暦の正月は立春前だが、新年の意に用いる。 初春や肩まで延(の)びた髪を切る (久保元宏 1998.1) ▲2008年12月30日 札幌市の『花・ 永易』さんから正月飾りが今年も届く♪ 沼田町を代表するトロンボーン農家の稲穂を、使っていま〜す♪ ・正月(しょうがつ) 心もあらたまる新年の意をこめていう。 正月や薄いテレビに薄い意味 (久保元宏 2002年1月1日) 2011年1月7日 金曜日 午後9時10分 気温-10.2℃ ↑■地デジ対応テレビ、設置!(買ったのは去年の11月21日だから、配達の順番なのか、ずいぶん待ったんだけどね。) ・去年今年(こぞことし) 去年(こぞ) 今年(ことし) 年去り年来るあわただしさのこと。 去年今年(こぞことし)貫く花火大空に (久保元宏 1998.1)
カフ カに はカフカの 意味が去年今年(こぞことし) (久保元宏 1999.1) 2000年昨年の髭を今年剃る(久保元宏 2000.1) ・元朝(がんちょう) 元旦 歳旦(さいたん) 大旦(おおあした) 元日の朝。 元朝(がんちょうや)金属疲労の感嘆符 (久保元宏 2002年1月1日) ・初日(はつひ) 初日の出 初日影 元朝、のぼる太陽、またその光をいう。 初日を拝み、一年の幸いを願う風習がある。 淫水やとろりと流れ初日の出 (久保元宏 1997.1) 初日(はつひ)すら世界同時に見られない (久保元宏 2002年1月1日) ▲2011年1月24日、お嬢メリッサ 御一行様が2年連続で焼肉『沼田大門』に来日! ・初茜(はつあかね) 初明り(はつあかり) 今しも初日がさし上ろうとする東天のあけぼ暁紅、またほのぼのさして来る元旦の曙光。 初茜(はつあかね)老いたる人の貴(とう と)き皺(しわ) (久保元宏 1998.1) ・初凪(はつなぎ) 元日の海のおだやかに凪ぎわたるさま。 初凪やあそこあたりが蝋燭岩 (久保元宏 1998.1) ・御降(おさがり) 元日、もしくは三が日の間に降る雨、または雪。その年の豊年の徴ともいわれる。 御降(おさがり)や雪が白くて良かったな (久保元宏 1999.1) ・若水(わかみず)、若井、井華水(せいかすい)、初手水(はつちょう ず) 古くは宮中で、立春の日に天皇に奉る水を「若水」といった。 のち一般に、元旦に汲む水。一年の邪気を除くとされる。 「初手水」は、若水で手や顔を洗い清めること。 初手水(はつちょうず)赤子あやせど拭え ぬ血 (久保元宏 1999.1) 黙契(もっけい) を若水(わかみず)の中解き放つ (久 保元宏 2000.1) ▲2007年12月30日、今年もまた 札幌の花屋さん花 永易さんから、しめ飾りが届いた。 陶芸家の黒 羽じゅん嬢の紹介で数年前に知り合ったんだけど、 いつも稲刈りの時期に沼田町に「稲穂」をもらいに来て、 それでオリジナルの「しめ飾り」を作るのよ♪ 元旦、初めて竈を焚くことが「初竈」。「焚初」は新年初めて飯をたくこと。正月用の薪を「年木」といって神聖視する。 十代はク ルスの時代初竈(はつかまど) (久保元宏 2000.1) ・年賀(ねんが) 年始 年礼 礼者 賀客 賀状 新年に、親戚、恩師、先輩、友人などを訪問し、または賀状を送って年頭の祝詞を述べる。 年 ごとに喪中葉書の数増える (久保元宏 2000.1) 初メール接続ノイズの賑や かさ (久保元宏 2001.1) ・注連飾(しめかざり) 輪飾 門(かど)飾 飾り 新年の門口や神棚、床の間などに、不浄を払う意味で飾る注連縄(しめなわ)。 門 (かど)飾る根引き松には錆びた釘 (久保元宏 2001.1) ・大服(おおぶく) 福茶 元日、若水でいれた煎茶に、小梅、昆布などを入れたもの。一家そろって飲み、賀客にも供する。 大 服(おおぶく)と気付かずに飲む遅い朝 (久保元宏 2001.1) ・雑煮(ぞうに) 雑煮祝う 雑煮餅 雑煮膳(ぜん) 正月、家族で食べ、新年を祝う。 何 かしら会話を選び雑煮待つ (久保元宏 2001.1) ・数の子(かずのこ) ニシンの卵を素干しまたは塩漬けにしたもの。子孫繁栄の縁起物として正月のお節料理に用いる 数 の子はダイヤモンド博士の国 (久保元宏 2000.1) ・書初(かきぞめ) 試筆 筆始(ふではじめ) 吉書(きっしょ) 初硯(すずり) 新年、初めて書や絵を書くこと。ふつう二日に行う。 書初めや今朝の硯(すず り)の重たさかな (久保元宏 1998.1) ・七草(ななくさ) 七種(くさ) 七種粥(がゆ) 若菜摘(つみ) 薺 (なずな)打つ 春の七草で、セリ、ナズナ、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベ、ホトケノザ(タビラコ)、スズナ、スズシロ(ダイコン)。 モ ルヒネの淡い誘いと芹薺(なずな) (久保元宏 2001.1) ・初商(はつあきない) 初売 売初(ぞめ) 買初 「買初」は客が、新年になって初めて買物をすること。 買初に変らぬ匂いの古書店哉 (久保元宏 2000.1) ・舞初(まいぞめ) 踊初(おどりぞめ) 宮中で正月五日、恒例の舞楽を演じること。 舞初や猩猩踊るクラブかな (久保元宏 1999.1)
・歌留多(かるた) 歌留多会 いろは歌留多 トランプ 正月の遊びに主に小倉百人一首歌留多を競いとること。 蝦夷歌留多つんと酸っぱい新木札 (久保元宏 2001.1) ・独楽(こま) 正月の男の子の玩具として歴史も古く、ひねり独楽、ばい独楽、鉄胴独楽など、色んな種類がある。 独楽(どくらく)に鄙語(ひご)を使いし 炬燵(こたつ)かな (久保元宏 1997.1) 独楽転び時の雫の堕ちる音 (久保元宏 2001.1) 暮れ帰郷 使い古しの急須ひとつ (久保元宏 1996.1) ・初鴉(はつがらす) 元旦にはじめて聞き、見るカラス。めずらしくないカラスだが、元日はさすが心新たにカラスにも対する。 初鴉二羽並んで後と 先 (久保元宏 2000.1) |
無季(ある意味「前衛」俳句) |
句をせがみ何度も指を折る祖
父よ
(久保元宏 1986.5.1) 気が付けば黒衣の列に吾もいる (久保元宏 1986.5.1) 祖父が逝き我が罪想ひLOVEと 言ふ (久保元宏 1986.5.1) 存在が意味に会う為一升瓶 (久保元宏 1996.10) 今、人を殺したばかり会者定離 (久保 元宏 1996.10) 米磨げば血が溢れ出る米の渦 (久保元宏 1996.11.8) 恋人の尻を愛でつつもう一冊 (久保元宏 1996.11.8) 錆た鎌レーニン全集二百圓 (久保元宏 1996.12) ↑米の産地巡りで士別へ行ったとき、国道沿いの古本屋に入った。 すると、そこにレーニン全集が売られていて、なんと1冊=200 円! それでも売れないであろう。 農家の不景気に呼応して、ソヴィエトの旗の鎌とハンマーが、錆びて いる。 諡(おくりな)は汚穢(おえ)に まつわる罪の翳(かげ) (久保元宏 1996.12) 恋人の忘れた下着穿いてみる (久保元宏 1996.12) 呪詛(じゅそ)が解け今ひとたび の餓狼の地 (久保元宏 1996.12) LONELYと書ける水滴持つグ ラス (久保元宏 1996.8.8) 「こうふく」とルビを振りたし能 天気 (久保元宏 1997.4) 古画集葡萄酒の染みさくら色 (久保元宏 1997.4) ムックリや青空すべて我が腕 に (久保元宏 1997.7) 1・2・3幼き腕が空を蹴る (久保元宏 1997.7) 投げる☆なら奪ってしまえバル トーク (久保元宏 1997.7) 雑俳を吐き棄てながら永らえる (久保元宏 1997.8) 全身に『フィネガンズ・ウェイ ク』の芳一かな (久保元宏 1997.9) 「愛してる」君に恋人できるまで (久保元宏 1997.9) 死ぬ時はただの女にダイアナ嬢 (久保元宏 1997.9) 巍巍(ぎぎ)たるや本卦帰りの笑 い皺 (久保元宏 1997.9) ↑「巍巍」とは、「大きくて高い」という意味で、本来は山などにか かる言葉。「本卦帰り」とは、「還暦=60歳」のこと。 アフリカに似た水溜り踏み分ける (久保元宏 1997.10) 模型のみ増える雀羅の賤の家 (久保元宏 1997.10) 百日の娘を抱いてチークダンス (久保元宏 1998.1) 解き放て納豆の糸トロツキー (久保元宏 1998.2) 山陰の香住町というところまで (久保元宏 1998.4) 俳句とは五七五でできて いる (久保元宏 1998.7) きぬぎぬやケイタイ変 えし日々の泡 (久保元宏 1998.9) 幸せは鍋焼きうどん蓋の 中 (久保元宏 1998.11) 永遠が指からにゅるり言葉落つ (久保元宏 1998.11) Who are you ? You are who. (久保元宏 1998.12) ジョン・レノン『GOD』を十回 聴いた夜 (久保元宏 1999.2) ジャイアント馬場といふ存在の謎 (久保元宏 1999.3) 投げ出したギターがベッドに沈み込む (久保元宏 1999.3)
尾を立てて栗鼠(りす)が山路を流 れゆく (久保元宏 1999.8) その文字を讀ませまいぞと暖簾揺 れ (久保元宏 1999.8) 抽象の海に具象の船を出せ (久保元宏 1999.9) ▲2000年5月21日 12:30Pm カナダ、ポートハーディ ネ イティブ・カナディアンの聖なる館『ビッグハウス』。 私は、右から4人目。ネイティブ・カナディアンのドラムを演奏中。 その左で(実は「ソーラン節」を・笑)歌っているヒ デンコ(=日本人)は、 2008年7月17日、再び同じところへ旅行中♪ 青い 音黄色い水と赤い 本 (久保元宏 2000.7) 母の肉引き裂く野火が命産む (久 保元宏 2001年2月21日) |
今日の一句
長寿の母うんこのようにわれを産
みぬ
金子兜太 (句集『日常』ふらんす堂、2009年) ▲ 2018年2月21日(水) 6:35Am、テレビのニュース。 俳人、金子兜太(かねこ・とうた、1919年9月23日〜2018年2月20日)が死んだ。 享年98歳。 1943年に東京帝国大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。 大日本帝国海軍主計中尉に任官し、ト ラック島で200人の部下を率いる。 餓死者が相次ぎ、米軍機の襲撃もあり、部下200人中、 5〜60人が死ぬ。 1946年、捕虜として春島の(現・モエン)アメリカ航空基地建 設に従事したのち、 11月に最終復員船で帰国。1947年2月1日、27歳で日本銀行に復職。 復職した日が、日本初の「2・ 1ゼネスト」。しかし、マッカーサーの命令で中止。 父・金子元春(1889年〜1977年)は 開業医で、俳人。 俳号は「伊昔紅(いせ きこう)」。代表句は、「元日や餅で押し出す去年糞」。 母・金子はるは、17歳で長男の兜太を産み、104歳まで生きた。 私が金子兜太の死を知った2018年2月21日、次女・は るは、17歳の誕生日。 一子・眞土(まつち)の孫・金子アツタケは、ヨシュアカムバックのギタリスト。 |
歴史から飛び出
せ! ★たとえば→2月25日の歴史★
If you say "Heil!" And raise your right hand ,
You can become spellbound a new style magic " Would you like the News of Nuremberg? It is a news of my idol who is Mr.Adolf . " In stamped newspaper, Wall Street crash Jewish scream in Auschwitz I don't want to hear sad prophecies. Because, tonight I have a promise of movies. Tonight, I wear a tweed jacket and shake my body with the latestjazz Rhythm of army shoes on dance floor Last brand is the Hakenkreuz You are The Last Modern boy You are The Last Modern girl |