教 育 原 理


大学生のみなさんへ
私は教育系大学在学中、「教育原理」「教育心理」という授業にほとんど出席しませんでした。単位はいただけたものの、知識としては全くと言ってよいほど修得せずじまいでした。教員を目指し始めての勉強で様々な疑問・問題がわき起こりました。教育原理とひとまとめにされる項目の関連性も全く見いだせない状態で勉強を続けました。みなさんは、しっかりと在学中に勉強しておいてくださいね。

教育原理は教育の目的・理論から学習指導要領、はたまた同和教育、生涯教育と広範囲に及びます。教職教養全体を総括する重要な位置にあると考えてください。また、あらゆる学校教育を行う上での背景と言っても過言ではありません。それだけに、教員を目指す人には必ず修得べき知識だと思います。

ここでは、それぞれの項目の要点というか、さわりだけを紹介しますので、あらためてテキスト類にあたられることをおすすめします。

 


教育の目的   

教育基本法 前文

「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」

同法 第1条

「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」

教育基本法、学校教育法の重要条文はおぼえてしまいましょう。  教育法規のページへGO

道徳教育

目標  「道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うこととする。」

最近、青少年犯罪の低年齢化が目立ち、対応が急がれていますが、今後、道徳教育のもつ重要性が更に増すと考えられます。

同和教育

同和対策審議会の答申(昭和40年)  「いわゆる同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である。」

同和対策事業特別措置法(昭和44年公布)  昭和54年までの10年間の時限立法、昭和53年に継続手続きが行なわれ、57年まで延長された。

「この法律は、すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域(以下「対象地域」という。)について国及び地方公共団体が協力して行なう同和対策事業の目標を明らかにするとともに、この目標を達成するために必要な特別の措置を講ずることにより、対象地域における経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与することを目的とする。」(第1条)

地域改善対策特別措置法(昭和57年公布、昭和62年までの5年間の時限立法

「すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域について生活環境の改善、産業の振興、職業の安定、教育の充実、人権擁護活動の強化、社会福祉の増進等に関する政令で定める事業の円滑な実施を図るために必要な特別の措置を講ずることにより、対象地域における経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与することを目的とする。」(第1条)

社会教育・生涯教育

社会教育とは、学校教育に深くかかわっている教育活動をさし社会において行われる教育である。教育基本法では「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」(第7条)、と社会教育を定めている。

中央教育審議会答申「生涯教育について」

生涯教育の意義 「人間が生涯を通じて、資質・能力を伸ばし、主体的な成長・発達を続けていく上で、教育は重要な役割を担っている。今日、人々が自己の充実や生活の向上のため、その自発的意志に基づき、必要に応じ自己に適した手段・方法を自ら選んで行う学習が生涯学習であり、この生涯学習のために社会の様々な教育機能を相互の関連性を考慮しつつ、総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方である。

「生涯教育の考え方は、近年国際的に見ても大きな流れとなっているが、特に、我が国においては、過度の受験競争などをもたらしている学歴偏重の社会的風潮を改め、広く社会全体が生涯教育の考え方に立って、各人の生涯を通じる自己向上の努力を尊び、それを正当に評価する学習社会を目指すことが望まれる。」

 

  Key Words

  • 社会教育法・図書館法・博物館法・スポーツ振興法
  • 公民館・図書館・博物館
  • ユネスコ第3回成人教育推進国際委員会
  • リカレント教育

 

学習指導要領

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カリキュラムの類型

カリキュラム=教育課程 学校教育の目標を達成するために教育内容を選択し、配列した学校全体としての教育計画。学習指導要領の項目からなる目標として具体化される。

教科カリキュラム 教科中心の伝統的な教育課程。体系的な知識の伝達に適している。構成が簡潔で評価も容易。児童・生徒の興味から離れ、外から構成されたものになるので、暗記中心となったり、知識偏重主義に陥りやすい。
経験カリキュラム 生活カリキュラム、活動カリキュラムとも呼ばれる。学習者中心で、児童・生徒が体験する種々の実際的で具体的な経験によって組み立てられる教育課程。児童・生徒の興味・関心、欲求から出発し、生活や環境を重視する。教育内容の系統化が難しく、評価も容易ではない。
統合的なカリキュラム 教科カリキュラムと経験カリキュラムとの中間的な教育課程。全人的な人間形成をめざし、学習内容の統合を図る。過渡的に、相関カリキュラム、融合カリキュラム、広領域カリキュラム、コア・カリキュラムがある。

学習指導

ドルトン・プラン

パーカストによって、アメリカ、マサチューセッツ州ドルトンのハイスクールで試みられた授業方式。数学、歴史等の主要教科について、ラボラトリー(実験室)が設けられ、割当表にしたがって、個別に自学自習を行う。

モリソン・プラン

アメリカでモリソンが考案した指導法。教育内容を単元化して教授する一方で、教授の型を科学型、鑑賞型、実用技術型、言語技術型、実践型に分け、固有の教授段階を考えた。

ウィネトカ・プラン

ウォッシュバーンを中心に始められた指導法。自学自習、学習の個別化をめざした。教育課程は、全児童・生徒が学習する共通の必修教科とその他の社会的・集団的活動から成るとした。

イエナ・プラン

ペーターゼンによって、ドイツのイエナ大学附属学校で実施された学校教育計画。学校を共同体ととらえ、父母と教師による自主的な経営を実施した。

プロジェクト・メソッド

キルパトリックが体系づけた学習方式。構案法ともいう。児童・生徒の自主的な経験学習を重視した。

 

 

 

現代の学習指導

発見学習 ブルーナーによって提唱され、問題解決学習と系統学習の欠点を補うことをめざした。教科の構造を解明し、知識や技術の原理を発見させ、学習の深化を図ろうとする。
範例教授法 西ドイツのチュービンゲンで開かれた中等教育改革の会議で決議された教育内容の精選の考え方。固定的な既成の知識の伝達ではなく、範例的な精選された教材を対象に深く追求することが必要だとした。
ティーム・ティーチング アメリカのケッペルによって提唱された。教師がティームを作り、その協力で一定の責任分担をして学習指導する方法。
プログラム学習 学習目標に到達するまでの課程をスモール・ステップに分け、そのプログラムにそって児童・生徒が自分のペースで進んでいく学習方式。「目標値」「スモール・ステップ」「フィードバック」の3要素が含まれる。

 

    Try Your Best!

 


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