深紫’S ROOM 1 



繰り返す悲しみ

投稿日:12月24日(日)19時11分44秒

哀しみは繰り返す
救われる事もなく

一巡して又一巡
哀しみは飽きる事なく

叶えられない望みを持つと
その反対の場所が
見えてくる

だから他の人の望みが
叶いますようにと
自分のかわりに

哀しみは繰り返して
飽きる事なく
一巡して又一巡
傷を深くしていく


軒下の折り鶴

投稿日:12月16日(土)19時21分59秒

「逢いたい」という想いを軒下に吊るす夕暮れ
夜半の冷たい雨が濡らしていく

「逢わなくても」いいなんて朝が連れてくる
夜に泣いたのは私じゃない

無碍に切り取られる夜の片隅
落ちて来た言葉に泣いていたのは

私じゃない
私じゃない


宛先不明の手紙

投稿日:12月16日(土)19時15分07秒

心配しないで、とだけの置き手紙

風が便せんの端を揺らしている

心配しないで、とだけの置き手紙

冬の日射しが便せんを薄ら焦がしていく

たった一行のみの置き手紙
たった一行だけの置き手紙

宛先不明を良い事に
冬の日射しの下で独り思いを巡らす

開く度に焦がれていく置き手紙
宛先不明を良い事に
冬の日射しの下で君に思いを巡らす


何時かの言葉で

投稿日:12月16日(土)19時03分18秒

新しい世紀を迎える朝
君は何処かの空の下

何時かの言葉が蘇る

その場に居ないという事
それだけで解るから

何時かの言葉が教える
それだけで解る事がある


清しい空色

投稿日:12月16日(土)18時58分02秒

君の為にこの身体を燃やそう
君が寒さに震えないように

君の為にこの心を切り捨てよう
君が重さに喘がないように

程よい暖かさと軽さ
それだけを紙飛行機に乗せて
遠い空へと飛ばそう

見えない君に出来る事
それだけが君に贈れるもの

君が暖かいならば
君が清しい空を見れるなら
それだけで
それだけで


見知らぬ街角で

投稿日:12月16日(土)18時48分09秒

呼びかけても答えない頁を横目に
見なれない街角の鋪道に立つ
信号は黄色に点滅のままで
右へ行こうか左へ曲がろうか

風が頁を捲っていく
冷たい冬が残していく足跡
辿る事も許されないまま
見知らぬ街角で待ってみる

信号は相変わらずの黄点滅

空を横切ったのは鳩か烏か
見下ろされている影だけが
静かに伸びていく

揺ら揺らと右に左に
見下ろされている影だけが
静かに伸びていく


線引きされた明日

投稿日:12月16日(土)06時11分00秒

近寄ってもいけない
離れてもいけない
僅かな距離を保つ難しさ

線引きされた明日

近付けば離される想い
足枷にならぬ様にと
思う端から重くなっている

近寄る事も出来ず
まして離れる事は望まず
僅かな距離を保つ難しさ

近付けば明日はなく
離れれば今日すらない
僅かな距離を保つ難しさ


君だけには

投稿日:12月16日(土)06時01分40秒

君の事を思えば口閉じる夜

後戻りも出来ず
されど先も見えず

君の事思えば消え行く事も有りと
心密かに悩みゆきて

後戻りも出来ず
されど先も見えぬまま

君の行き着く先に光が有るよう
ただ願うのみ


幾夜の壁

投稿日:12月16日(土)05時45分58秒

思い悩むも一興患うも一興
たかが知れてる蟻一匹の思い

道のこちらとあちら
見えない溝にはまるも一夜
見える壁に阻まれるも幾夜

たかがの蟻一匹の思い
君知るや幾夜の蟻地獄
もがく程にはまり行く蟻地獄

君知るか幾夜の蟻地獄


天秤棒

投稿日:12月16日(土)05時31分46秒

天秤棒を担ぐ婆ひとり道
昨日に傾き今日に傾く
行き過ぎた重さに我一人ごち
昨日に揺れ今日に揺れ

足下に影創らず只
天秤棒担ぐ婆ひとり道
足下に影創らぬ様只
あるのみ