泊まる

宿泊したのは「嵐山 味と宿 嵐山辨慶(べんけい)」
上記地図では、緑色の「洛西(らくさい)」部分、「渡月橋」のすぐ上流(川に面している)になる。
短い石段を上がって引き戸の玄関に入る。
におい袋のみやびな香り一杯の帳場でチェックインを済ませると、二階の客室へと案内される。
2人ずつ2部屋とっての宿泊だ。建物の一番奥の2部屋、「小倉(おぐら)」「愛宕(あたご)」の間。
旅装を解いて間もなく中居さんがあいさつにやってきた。
2部屋のうち、広い方の「小倉の間」で館内の案内を聞く。
まだ新人さんなのか、案内がちょっとぎこちない(初々しくもあったが(笑))。
お茶を入れてもらいながら、非常口の場所を聞き、夕食、朝食の時間を指定する。
「辨慶」自慢の檜風呂は男女別で一階にあり、24時間入浴可能だが、残念ながら温泉ではない。
とは言うものの、檜の香りはとてもリラックスでき、温泉とかわらない効果があるようだ。
さっそく夕食前に今日の乗り物の疲れを檜風呂で解消しよう。

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さて、いよいよお待ちかねの夕食タイムだ!
辨慶自慢の懐石料理が始まる。
まず、サーモンの寿司、イクラ醤油漬け、うりなどで迎えてくれる。
次は刺身。車海老、鯛、鮪、イカ。
じゅんさい、抹茶とうふ。
ハモのすり身焼き。
鮎の塩焼。
豆腐の鱸(すずき)載せ。
ハモの湯びき、ハモを炊いたものを梅肉ソースで。

そして御飯と赤だしと漬け物。
水菓子(果物メロン、巨峰)。

実に手のこんだ料理に、一同唸る。
母がダイエット中ということを予約時に伝えていたため、揚げ物のような高脂肪の物はなく、
あっさりと、しかし充実した献立に脱帽!
お腹一杯になったところでひと休み。檜風呂を堪能して床に付いた。


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翌日は7時に起床。実に静かな朝だ。さっそく朝風呂を浴びて朝食だ。
朝は個室を用意してくれていた。桂川の見える通り側の部屋に案内された。
朝食の部屋出しを高級旅館の常識と御考えの方もいると思うが、最近はそれは必ずしも正しくはない。
一晩たった部屋は、空気が隠り、汗臭く、窓を開けて風を通さないといけない。
そんなところにふとんをあげに部屋係がやってきてわさわさと布団を上げ、ほこりの舞い上がった部屋で
朝食をとる。
これはあまり気持ちのいいものではない。
また、大広間に通されて、他の団体と同席するのも困りものだ。
特に我が家はたばこを吸わないので、こちらが食事中に喫煙者に喫煙を始められると
不愉快きわまりないのだ。
また、平日の宿泊で、がらーんとした大広間でのひと家族のみの食事も寂しいものになってしまう。
そこで個室の登場である。
食事をしている間に部屋の片づけもすみ、お茶の用意が整っている。
これが最近のスタイルと言えるだろう。

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「旅館の善し悪しは朝食に表れる」というのが我が家の持論。

夕食はたいていの旅館が力を入れている。
だが、その反面朝食がおろそかになることを御存じか?
しかし、辨慶は抜かりがなかった。
まずは、だし巻玉子。くどさがなく、それでいて濃い、玉子の良さが出ていた。
豆腐もそこらのスーパーで買ってくるところも多いが、辨慶はマトモな店から仕入れているようだ。
甘味があり、大豆の味がちゃんとしている。煮物も手を抜いていないようだ。
ただちょっと量が多いのが気になった。
どこの旅館もそうだが、夕食朝食とも量が多すぎる。今の半分でもいいぐらいだと思う。
その減量した分で「質」を向上してほしいものだ!
多いなら残せばいいじゃないか!と、おっしゃる方もいるかもしれないが、
「もったいない世代」と「その子供世代」には、ちと難しい。
朝食後は部屋に戻ってコーヒーブレイク。これは珍しいサービスだった。
大抵はお茶が出る程度だが、辨慶はホットコーヒーの部屋出しだ。
何気ないことだが、気分を変えるにはいいアイディアだ。

チェックアウトタイムは10:00。クルマを駐車場から玄関にまわすと、女将が挨拶に出てきた。
これもいいことだ。
部屋に通されてすぐ女将が挨拶にくるパターンがよく見受けられるが、これは少々煩わしく感じている。
せっかく旅装を解いてほっと足を投げ出している時に、華やかな着物を身にまとい、
かしこまった女将がやってくると、あたふた足を揃え、挨拶に答えなくてはならない。
しかも、旅装を解いて、着替えの最中なんぞに来られたら、大迷惑だ!
ましてやそこで、長い挨拶なんぞ始められたら、サイテ−だ!早く風呂に行かせてくれ(笑)!
どこの旅館が始めたのか、これは迷惑だと感じている方も多いことだろう。
むしろ帰り際にそっと現れてくれた方が、宿の印象や、感想を率直に話せるいいチャンスではないだろうか。
「女将がでしゃばらない旅館」こそが、いい旅館なのだと心得よ!
その点、「辨慶」は好印象だった。
                     

2日目のお楽しみ!次は甘味だ!