1日目 新横浜〜京都(嵐山 辨慶)
 2日目 祇園〜金閣寺〜嵐山〜市内(ホテル日航プリンセス京都)
 3日目 太秦〜出雲大神宮(お水取り)〜新横浜

移動

時は西暦2000年7月12日。
W家一同お水取りの旅へ、いざ、出発!めざすは「西方位」京都なり!
この日も相変わらず蒸し暑く、夏のはじまりらしい一日となった。
最寄りのJR新横浜駅に降り立つと、背中をひとすじの汗が流れていった。
ひと息つくと、乗車予定のひかり127号博多行き(14:23発)が、
初夏の日ざしに照らされたボンネットを輝かせて3番ホームに滑り込んで来た。
この列車はJR西日本が誇る「グランドひかり」という、ダブルデッカー(二階層車両)を
4両列ねた100系(V編成)と呼ばれる列車だ。

指定座席は7号車6番、7番のC 、D。あのダブルデッカーの二階席グリーン(禁煙)だ。
グリーン席への自動ドアを開けデッキの階段をのぼると、ベージュを基調としたやや大柄なシートが左右に
二席づつ並ぶ。
チケットの番号を確認して荷物を棚にあげ、シートに腰をおろす。
座席の感触を確かめていると、ひかり127号は時間通りに新横浜を出発した。
スルスルと加速してゆくひかり号は、相鉄線の上を通過するころ、時速200キロを越える。
揺れはそれほど感じない。二階席ということで、揺れを心配する方もあるだろうが、
これが意外と揺れないのだ。
重心が高いと安定性に欠けるのは事実だが、細かい揺れに関しては、かえっていい影響が出ているようだ。

「たたんだ状態の傘を考えてほしい。
取っ手のところを手のひらに載せ、傘を立たすようにバランスをとってみると、ふらふらと維持しにくいが、
反対に石突きの方を手のひらに載せてバランスをとると・・・。
手のひらを激しく動かしても傘の取っ手はあまり動かない。
これはダブルデッカーにも同じことが言えるのかも知れない。
線路や台車の揺動が車体に与える影響は、傘のバランスと同様で石突きに当たる台車が揺れても、
二階席(取っ手)は揺れにくいのかも知れない。」

進行方向(博多方面)に対して右側になるこの席は、富士山を眺めるのにグッドなシートで、
線路脇の防音壁の上からの眺めはこの100系車両ならではの愉しみだ。
軽いお昼を済ませていた僕ら二人は、少々小腹がすいてきた。
この100系V編成には食堂車(二階席)が連結されているのだが、すでに営業は終了している(事実上廃業だ)ので、1階の売店に買い物に出かけた。
サンドイッチからタコ焼き、お菓子、おつまみ、お酒、ビール、コーヒー、ジュース、アイス他が並び、
ちょっとお腹がすいた人にはオアシスのような場所だ。
ここでタコ焼きアイスコーヒーアイスクリームをゲットして席に戻る。
このタコ焼きとアイスがなかなかイケル!
特に新幹線で販売されているアイスはコクがあって甘さ控えめで旨い!

腹が落ち着いてひと息つくと、小田原手前の酒匂川(さかわがわ)を渡りはじめた。
すると、あれ?
見えない?!明神ガ岳越しに見えるはずの富士山が見えない!!
もっとも初夏のこの時期、不安定な大気のせいで富士はめったに見えないのがふつうだったっけ。
まぁそれはそれで残念だが、視点を手前に移すと、初夏の新緑とお茶の畑が視界一杯に飛び込んでくる。
二階グリーン席からの車窓は、新幹線という高速移動体独特の視点を見せてくれる。
やや高い出費とはなるものの、たまにしか出かけない者にとっては、この風景は格別なものとなるのだ。

浜名湖が見えてくるころ、後ろの席でいびきをかいていた両親も、トイレに立つために目をさます。
今回の車内はエアコンの効きが控えめで、過ごしやすい。
通路にやってくる「見学者」も夏休み前のためか非常に少なく静かで結構だ。
名古屋で満席になった。ちょっと一眠りしよう。

ATCの160信号による減速指令で速度が落ち、目が覚めた。
そろそろ京都だ。途中雨に降られることもあったが、天気は薄日がさす程度のくもり。
アナウンスが始まり、京都駅のビルが視界に入る。
さながら屏風のようだ。

あれは映画「ガメラ3イリス覚醒」で破壊された有名な建物だ。(笑)

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定刻(16:46)どおり、ひかり127号が到着した京都駅は横浜にも増して蒸し暑く、
思わず「うっ!」となるほどだった。
京都駅からはレンタカーを借りるべく北口側へ抜け、京都タワーを見ながら左へ。
郵便局の隣にある駐車場ビルに駅レンタカーの営業所がある。
ここでクーポン券を渡し、車を受け取る。今回お借りした車種は、三菱の「ギャランVX/2WD(AT)」
ハミルトンシルバー。
キーを受け取り、車の傷を確認する。(これを怠ると後からクレームを食らう!)
その間に荷物を収納し、出発!今日は、このまま宿へ直行するだけ。
家族4人を乗せたレンタカーは、一路「嵐山」を目指した。

京都駅を出たら国道1号線を北上し、四条堀川を左折、後院通りを上がる。
夕方の通勤時間帯となるが、それほどの渋滞はなくスムーズに進む。
二条駅のガードをくぐり京福嵐山線(路面電車)の軌道敷内を走る。
路面電車の軌道敷はかなりでこぼこしており、振動や騒音が車内に入り込んでくる。
路面電車の駅は安全地帯となるが、これが結構な障害物で、慣れないとどこを走っていいのか分からなくなるのだ。
すると後方から警笛を鳴らしながら茶色の路面電車が迫ってきた!
軌道敷を避けて左によける。
うっ、駐車車両があって路肩に余裕がない!
慣れないレンタカーの車幅感覚を総動員して電車を避ける。右のミラーをかすめるように路面電車が追いこしてゆく。
ふー・・・、こりゃけっこうスリリングだな。
蚕ノ社駅の手前で軌道敷きから離れると、道幅がぐっと狭くなり、商店の軒先きがせまってくる。

もうすぐ太秦駅だ。
この近くにある「東映太秦映画村」にはまた後で立ち寄るので、リポートはその時に。
前方に京都バスが走っている。ディーゼルの黒々とした排気ガスが視界をおおう。
「東京じゃそのうち追い出される車だな」、などと言っているうちにバスは営業所へ入った。
視界が開けてほっとしたところで車のペースをあげると、前方に川が見えてきた。桂川(保津川)だ。
信号を二つ過ぎると左手に木製の橋が桂川にかかっている。
これが渡月橋(とげつきょう)だ。
前回ここを訪れた時も渡月橋を渡ったが、横からの姿を見たのは初めてと言ってもいいだろう。
(中学の修学旅行で来たことなんてもう覚えてない)
渡月橋のたもとに人力車が停まって観光客を誘っている。
浅黒く日に焼けたナイスバディの(笑)20代前半と思しき青年が、若い女性客に声をかけていた。
それを横目に200メートルほど桂川沿いを走ると、本日の宿、「嵐山 辧慶(benkei)」到着。
家族3人を玄関前で降ろすと、宿の裏手の駐車場にクルマをまわした。

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次はお楽しみの御夕飯だ!