や〜よ

やりて/遣り手 吉原芸者 (続々追加予定です)

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やりて/遣り手




吉原風俗図巻(部分) 菱川師宣
吉原風俗図巻(部分) 菱川師宣
吉原風俗図巻(部分) 菱川師宣
延宝〜天和(1673〜1684)頃  萬野美術館蔵
遊女屋さんの寮母さんとフロアマネージャーを兼任し、心理カウンセラーやコンサルタントもこなす、キャリアウーマン。『意地悪婆さん』だと思っている人は、ちょっと考え直した方がいいです(笑)。

見世の格や広さによっては、実質店長ってのもあるし、逆にサブマネージャー格だったりもするのですが、見世(経営者側)と遊女(労働者)の利害調整も仕事の範囲ですから、労務部長でもあるんですよね。

「バカ言ってんじゃねぇよ。昔から遣り手ババァは強欲でスットコドッコイの嫌な奴って相場は決まってんだい、べらぼうめ!」

って声が聞こえてきそうなんですが、ちょっと落ち着いて考えてみていただければ、遣り手への認識も変わると思いますよ。

遣り手ババァのイメージの元は、川柳や各種草子本なんですよね。内容の信憑性や、その事項に対しての知識は、もちろん全部ではないのですが、ある意味、現在の匿名掲示板の専門板以外の書き込みとそんなに変わるわけじゃありません(笑)よくも悪くも興味本位。受け狙いと世情の流れに合わせた内容が多いのは当然だし、そうじゃなくちゃ本としては売れません。人気ブログになるには有名ブログにトラックバックかけて、一般に受けそうな極論を書くのが早道ってのと同じっすか?<=おいっ!

実際の仕事の内容を考えてみると、「憎まれ役」こそ、この仕事の真骨頂です。

無理難題を遊女さんに押し付ける見世の主人の顔色を見ながら、自身の長い経験の中から、遊女さんも納得できるギリギリの落とし所を見つけて見世を廻す。
短気で野暮なお客さんの勝手な言い分をうんうんと聞ききながら、時としては自分が悪者になって、場を納める。
契約があるからちゃんと働かなくちゃ何時までたっても年季が明けないのに、ずっと市井が恋しくてグズグズしている遊女さんが、ちゃんと仕事をして、将来一人で立てるように、説得する。

でもきっと、主人からは甘っちょろいなんて罵倒され、遊女さんからはウゼェよなんて嫌がられ、お客さんからはこのババァと罵倒され、たまにはほんとに足蹴にされたりもする。でも「悪いのは自分」ってことでひっかぶちゃえば、仕事は上手く回ることを知っている。

当事者じゃなく、見世の仕組みも、遊女の仕事も、そして様々なお客さんを見、身体で知っているからこそ、それぞれの落としどころが判るんですよね。

そこの、新興企業の社長さん、遣り手みたいな腹心、一人いると心強いっすよね!

ちょっと脱線すると、最近ソープをはじめとする風俗でも、上がったおねぇさん達を講習員として雇うケースが増えています。インターネットが一般的になり、現在の風俗はお店の情報がかなり公開されているので、女の子達が働きやすく、しかもお店が流行っていないとやっていけない時代になってきています。NO1や部屋持ちさんたちのノウハウをお店に生かすのって、何か吉原の遣り手に似ていますよね。

実際、殆どの遣り手は職を張った遊女さんか、数多い番頭新造の中で抜群の働きを見せた人しかなれません。

遣り手=仕事の出来る人

って視点で、もう一度遣り手を見直してみませんか?
吉原芸者 獅子・大万度 青楼二和嘉女芸者部 歌麿
獅子・大万度 青楼二和嘉女芸者部
歌麿  天明(1781-1789)頃 大英博物館蔵
「吉原芸者は色を売らなかった」って、これもパクリ本の常套句です。

吉原芸者の存在は、大きく三つの時期に分けることができます。
1.元吉原から新吉原初期
2.1779年の廓(見世)抱え芸者の終焉前後
3.1830年からの見番芸者二人制以降

それぞれの時期、吉原芸者は違う側面を持ち、遊郭、見世、遊女、そしてお客さん達と、違う形で結びついています。これは、吉原という形を考える時に、見逃してならない大きな項目なんですよね。

←クリックしていただくと詳細なページがあります。
ビジュアルで贈る、新吉原!  なんて、大したもんじゃないのですが<=おい!、
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また白黒の資料は「複写・転載自由自在 江戸時代風俗さしえ集」国書刊行会(ISBN4-336-03344-7)を使用しております。

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