国際福祉機器展H.C.R.2008は、9月24日〜26日に東京ビックサイトで開催されました。BSLからも毎年、都合付く者は見学に参加しております。展示品は、施設利用者、施設関係者、車椅子を利用しているなど介護対象となっている方の為のものが中心になっていました。
今回はBSLが公開講座を行っている「安心ころばん塾」の内容充実目的もあり皆で、転倒予防に限らず、気になった福祉用具、機器の紹介、今後の活動に役立ちそうな情報をレポートにし検討し合いました。
Hさん
転倒防止の為の目新しい情報は見つからなかった。夫が 1月に腰の手術をし、介護要支援1の認定を受け、介護保険を利用し、住宅改修で浴室と階段の手すりを取り付けた。夫の為の手すりだったが、私も重宝している。手すりぐらいでと思っていた認識が変わった。
Sさん
福祉機器展は2度目。此の産業は、高齢化社会により大きな経済効果をもたらしているのかと思いきや、伸び率は頭打ちとどこかに書いてあった。日本は海外に進出していないことが問題とか・・・。優れものは沢山ありました。メーカー側は、研究費が相当かかっているわけで、価格が高くつく。介護保険では、ささやかな改善しか出来ない。住まいの改修等は、身体機能が変化する場合もあるので慎重に行うべきだと思った。用具類はメーカーによって価格にかなり差があるので、購入の際は数社の物を比較することを勧めたい。
Aさん
以前から通販で取り扱う介護用品が気になっていた。なかなか外出できない高齢者にとっての通販は、便利な反面、車椅子やシルバーカーなどを、安全面からはたして通販で買って大丈夫なのがろうか?通販以外にホームセンターでも介護用品を見かけることが多くなった。デパートや介護専門店などの対面で購入するなどの法規制が必要と思ったり、気軽に購入できるのが良いのか一長一短な面があると感じている。
世話をしている高齢者が家中に傘をおいて杖代わりに使っているという話から、通販で杖にも傘にもなる商品を見つけた。しかし杖を突くような人が傘をさしたら危ないわけで、これを作っているメーカーに聞いて見たいものである。
Ⅰさん
私達が身近な人達から聞いた転倒情報は、毎日過ごしている居間や寝室、トイレや浴室、玄関等の出入り口でおきている。それを出来る限り防ぐ為の福祉用具類を検証し、相談活動に役に立つよう一部分まとめて見た。最新のカタログ「わかりやすく選びやすい福祉用具総合カタログベストケア」(株式会社ウイズ発行)から、転倒が起こりやすい場所別・動作別に安全対策と福祉用具を拾ってみた。
<寝室> ベットや床布団からの立ち上がりサポート
・ バデイーⅡ(布団からの立ち上がりは・\39,900、ベットからの立ち上がりは\50,400)
・ たちあっぷ(固定せずにおくだけで使用できる手すり)・・¥50,610、\58,590)
<食堂や居間> 椅子から立ち上がったり座ったりの動作が危ない。
・ 電動式アップリフト(使用中の肘掛椅子やソファーの上に置くことで簡単に電動チェアーになる・・\36,750)
・起立木工株式会社の「起立楽々倶楽部」アップリフトチェアR型・・\102,900
<玄関などの出入り口> 玄関の上がりかまち
・ ステップアップチェア・・・¥178,500
・ 上がりかまち用手すり・・・\30,450、 \19,950
浴室やトイレについては、TOTOの「住まいのバリアフリー商品カタログ」が詳しい。
<浴室>
浴室の出入り・・・引き戸、シャワーキャリーや手すり
浴槽の出入り・・・浴槽手すりや入浴台、移乗台
<トイレ>
トイレの出入り・・・引き戸、手すり
トイレ内の動作・・・トイレリフト、補高便座、手すり
また、杖や歩行器、シルバーカーなどもある。最近シルバーカー用傘キャッチ(\3,570)を使って重宝している方がいる。坂道や歩道の段差などもラクラク安心の走行性能を追求したシルバーカーが出回っている。良い物を選んでファイルを作り、対象者に話してあげられるようになりたい。
Aさん
初めての見学だが両親のことを思い浮かべながら回った。
出版物のコーナーで目に付いたのは、濱田幸一著 「高齢者住宅の課題と未来」・藤本眞美子、小川美智恵著「お年寄りが喜ぶかんたんおいしい手作りおやつ」・東山紘久著「プロカウンセラーの聞く技術」。興味の持った機器では、DIPPERホクメイの「空間てすりシステム」。 立ち上がりや移動を補助するため、身体の状況の変化に合わせて、どこにでも突っ張り棒のように、工事なしで取り付けられるのが魅力。ほかに注目した製品は(株)キンタローの「どこでも手すり」(15,750円より)、「多段手すり」(25,250円より)、
TOTOの「たためるベンチ」、起立木工(株)の「アップリフトチェア」(81,900円より)など。衣類では、日常着が少なく特に男性用はまだまだ。下着では、転倒時の衝撃を吸収するというパットつきのものが多く見られたが、実効性はあるのか疑問に思った。
Hさん
今回のHCR展で、転倒予防お役立ち情報として、下地などの工事不要の「空間手すりシステム」のホクメイ社を見学した。
室内移動補助、立ち上がり補助、入浴補助など手すりだが、利用者の生活動線に合わせて最短距離に設置できる。和室の竿天井の取り付け例で、家具の転倒防止に使う突っ張り棒のような物があり、天井を強く突っ張るのではなく、弱い力で突っ張っても必要強度を得られる構造になっていると、説明を受けた。取り付けは、女性でも可能ということだが、取り付け場所によっては不安を感じる。
気になる価格であるが、この基本タイプが47,500円。それにアームやベースなどのオプションつけていく。介護保険対応なので、1割負担と考えると、平均1万円前後で設置が可能になる。国際福祉機器展を回りながら、ますます機械化され、高価なものになっていく福祉機器をみて、これら最前線の物を利用するのは誰だろうと思った。介護予防の必要を強く感じた。
Mさん
3年振りに見学した。転倒防止の観点から下記の機器を取り上げてみた。
①階段昇降機
コンパクトになっているが、硬質レールに抵抗あり。家族の階段昇降に不便では。まずは部屋のレイアウトを変えるなどで対応し、それでもだめなときに導入を検討するのがよいのと思う。
②電気のいらない自動ドア
マットにかかる体重でドアを引く動作に置き換え引き戸を開く機構。メーカーの視点がエネルギーレスになっている。
③軽量後付け引き戸クローザー
現在使っている引き戸に取り付けるだけで自動に閉まる。水平調整が難しいのでは。
④光る手すり『光林棒』
FRPでできた手すりにLEDを組み込まれ光る。
⑤便器取付アームレス
補助手すりがシンプルだが、新設時にのみ取り付け可。
⑥転倒予防トレーニングスリッパ『てんとうむし』
つま先を上げる力をトレーニングするスリッパ。
⑦物を運べる歩行車
竹虎ヒュウマンケアのデザインがすっきりしていた。
⑧杖ホルダー『つえつえほ〜』
外出したとき、杖の置き場に困るので重宝すると思う。移動型のホルダーは粘着部分を貼ったり、はがしたり出来る。
Tさん
「耳寄りな話」に掲載した内容と同じ。
以上レポート中心に、各々検証したことを簡単にまとめました。
(10月定例会担当)
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