霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその40

     十四日目〜完結 中国旅行お疲れさん〜
最終更新日
2004/10/15
 
 朝、なかなか天候に恵まれずお目にかかれなかった(中には寝坊もあるが)船上での朝日(※)を見るため、(珍しく)日の出前に起きた。船旅のメリットは完全な水平線から登る/沈む太陽を見ることができることだ。これは普通に生活していてはなかなかできない経験だ。

 しかし、何かヘンだ。太陽光は見えるのだが、太陽が見えない。ひょっとして雲か?

 どうも今日も水平線からの朝日は拝めないらしい。


※とある調査によると、朝日をみたことがない小学生がたくさんいるらしい。まぁ、見るとこねーもんな。当然の結果かな。

でも、水面(みなも)に映る太陽光も捨てたもんじゃないぞ
 つーか・・・・よく見ると陸地じゃんか!


 なんてこった。船だから水平線からの朝日が拝めると思ったのは間違いだった。太平洋ルートを通るハズからこんなことないと思っていたのも間違いだった。太平洋ルート通っても、大阪港に着くまでに、紀伊半島という巨大な陸地横を通るのだ。なんてこった!

 夢、はかなく破れふてくされて寝ることにする。
 
 いつか・・・必ず、と誓うが当分無理そうだ



 朝、何時だったか忘れてしまったが、たぶん9時ぐらいには着いただろう。やっと日本に着いたね。だからといって、何を感じるわけでもないが。その後、入国審査を受けるが、この入国審査、カバンの中まで開けられて見られるのだが、北京ダックは問題ないようだ。
 でも、北京ダックの中に麻薬入っていたら簡単に密輸できるような・・・(しませんが)。


 行きは神戸港ポートターミナルだったのに、帰りは大阪港国際フェリーターミナルという、神戸→大阪間の移動費分が安くなるといううれしい誤算(どうも曜日によって大阪港発のも、神戸港着のもあるらしい※2)。

 ここ、大阪港の国際フェリーターミナルは、「国際」と名が付いているように、2008年の「大阪オリンピック(※3)」誘致のためのアピールする格好の場所でもある。しかし、デカい建物に、大阪オリンピックを誘致しようなどと書いてある程度で、北京でのあのオリンピック誘致準備をみているだけに、とても北京での国をあげての五輪誘致ムードにはかなわないと思える。
 というか、「ホントに誘致する気があるのか?」とさえ思ってしまうぐらいの雰囲気。

 実際、市民は特にそんなこと目指していないが、産業界だけがそれに躍起になっているというのがありありしている。まるでどこかの万博誘致(※4)みたいだ(産業界のプッシュの違いが結果として表れたような恰好だ)。ここの港以外、大阪オリンピック誘致を大々的に行っているところはこれ以降見ていないところからもあきらかだろう。
 結果として、北京にオリンピックが決まったのは周知の事実である。



 さて、ここから大阪の市街地に行くためには、大阪南港国際フェリーターミナルから、新交通システムのあるコスモスクエア駅までけっこう(20分ぐらいかな)歩いていかなくてはならない(※5)、という不便な造りだが、バスしかない名古屋の金城埠頭よりはいいか、と思うことにする。

 やはり、今の時代、よほどの港湾都市でないかぎり、港というのは都市において「必要だけど、厄介なもの(NIMBY※6)」なのだろう。シムシティでもそうだったしな。もちろん、効率的・経済的・環境的・治安的にこうした方がいいっていうことなんだけど。
 これが船旅というものをますます減じさせているようにも思う。
 「荷物にとって便利だが、旅行者にとっては便利ではない」という所か。

 そういう点で見れば、上海など、港が都市の中に組み込まれていて(交通の便はいいとはいえないが)、港湾都市らしさを醸し出していた。高層ビル街(その21参照)の眼下に港が見えるような上海はやはり、港湾都市として発達した、という歴史を感じさせる。現在はそうではないのだが、それについては後述することにしよう。



 さて、コスモスクエア駅に移動したはものの、この駅の案内でまず困惑する。
 ・・・どうやったら大阪市街地に行けるのかわからないのだ。

 タカちんは(名古屋の手前、岐阜羽島で降りるため)新幹線で帰り、マスターは名古屋へ安く着ければいいから、近鉄で帰ることにする(新幹線は高い)。
 そうなると、途中でタカちんとお別れすることになる。というのも、新幹線はJR新大阪駅、近鉄は近鉄難波駅(※7)、というように、発着駅自体が異なる。これはすべての電鉄が集中する名古屋駅とはエライ違うので新鮮なのだが、そうなっているのだから仕方ない。


 それはいいのだが、このコスモスクエア駅には、二つの謎の路線がある。
 ひとつは「テクノポート線」。もうひとつは、「OTSニュートラムテクノポート線(以下OTS線)」だ。すでに頭が爆発しそうだが、その次がさらに問題だ。なんと、そのOTS線を辿っていくと、2駅超したらその路線の名前が「南港ポートタウン線」と名前が変わるのである。

 ・・・・乗り換え?

 まさか一路線しかないのに乗り換えなきゃいけないのか、とか思ったりして大変違和感を覚えたが、路線を指で辿っていくと、一本線で地下鉄なんば駅に繋がっているので、これに乗ることにした。我々は市営地下鉄なんば駅で降りて近鉄難波駅へ、タカちんは、なんば駅で乗り換えて新大阪駅へ、というルートだ。
 あとで調べたところ、テクノポート線というのは地下鉄と相互直通運転している、名前だけの線で、こっちを選択して、コスモスクエア→本町→新大阪・なんば、というルートで行った方が安く、早く、新大阪駅やなんば駅に着けるそうだ

 ・・・・そんなんわかるか!
 

 乗っていてわかったが、新交通システム(自動運転のなんちゃって鉄道)であるこのOTS線に乗っていれば、南港ポートタウン線の路線もそのまま走るようだ。相互直通運転というやつだが、OTS線は3駅しかないのにこんなややこしい形式にしているのかさっぱりわからないが、どうやら事業主体者の違いのようだ(※8)。まったくまぎらわしい仕組みである。

 (記憶が定かではないが)南港ポートタウン線の終着駅の住之江公園から地下鉄に乗り換え、一路なんば駅へ。・・・えらい時間かかるなぁ・・・。
 なんば駅到着。ここで地下鉄線をさらに乗り換えるタカちんと別れ、マスターは近鉄難波駅へ移動。



 近鉄。近鉄と言えば(合併)大阪・近鉄難波⇔近鉄名古屋を2時間ちょっとでむすぶアーバンライナーというノンストップ直通特急列車がある(※9)。これを使えばJRよりも安いですよ、しかも他に止まらないから気楽ですよ、と宣伝しているあれだ。え、なに?知らない?そりゃそうだろうなぁ、大阪と名古屋でしか宣伝してないんじゃないか?


 ま、そんなこんなで、学割が効いたので、けっこう安く帰れることができる。学生様々である(卒業間近に学割のありがたみを知る馬鹿者※10)。

 アーバンライナーはマスターを乗せ、一路(ホントに一路)名古屋へ。我々の旅も終わりだ。思えばあっという間だったなぁ(旅日記が完成するまでは長かったけど)・・・とノートに旅日記を書こうとするも、日本へ着いた安堵からか寝てしまう

 そうして、旅日記が完成するのに3年以上の歳月を必要とした・・・
 























※2:くわしくはこちら

※3:知らない人もけっこういるかもしれないが、候補地選定で北京に破れた。





※4:「環境(破壊)万博」と揶揄されている、愛知万博(愛・地球博)のこと。
こっちは誘致に成功したが、万博の割に全国的には「興味ない」人が多い。時代的にナンセンス、と関係者すら思ってるのが不安感を倍増させている。2005年開幕。


※5:コスモスクエア駅からバス5分、という手もある。その方がめんどくさそうだが。


※6:Not In My BackYard.
の略。「俺の裏には来ないでくれや」という、総論賛成各論反対のこと。原発なんかがいい例。日本では(意味が少し違うが)地域エゴという語の方が一般的か。










※7:JRローカル線は大阪駅。難波(なんば)駅は南海電鉄の終着駅でもある。近鉄の難波駅は少し離れている。JR難波駅、地下鉄なんば駅などもあるが、いずれも離れている。




















※8:OTSニュートラムテクノポート線線は、「大阪トランスポートシステム」という第三セクターが運営する交通システム。ちなみに、テクノポート線もOTSの管轄だそうだ。
で、南港ポートタウン線は大阪市交通局が運営。
でも、利用者がめんどくさいので相互直通しているらしい。そりゃそうだ。


※9:近鉄21000系の愛称。2003年にはアーバンライナーnextが出たが、当時(2001年)はなかった。実は最初の方で二駅止まる。
ちなみに新幹線だとお値段は1.5倍ぐらいするが30分ほど早く着く。

※10:学割は長距離鉄道とか映画とか・・・いいね。列車は普通2割引。
【旅行期間】

 2001/2/27〜3/12の9泊14日(船中泊含まない)。

 ちなみに制作期間は3年4ヶ月(汗)(※11)
 がんばった!(遅すぎて)感動した!


【旅行費用】

 正確な数字は不明だが、旅行にかかる全費用(パスポート代除く)は...

 93,646円+α円!(※12)
 内、日本と船内で使った分(つまり日本円で使った分)、61,454円!

 つまり

 中国で使用したお金(移動費・宿泊費込み)は...

 32,192+α円!

 中国にはだいたい9日間いたのに、32,192+α円!
 上海⇔北京の寝台列車に乗ったのに32,192+α円!

 ・・・安すぎ・・・船代とビザ代で37,000円するのが高く感じてしまう(※13)。やりようによっては、まだまだ安くできるのが凄いな・・・

 というわけで、持っていった全財産(約5万円)で足りた。よかったよかった。





※11:諦めず書きました。
2001/6/15〜2004/10/12
未出版の個人の旅行記にこれだけ時間をかける人はいるだろうか?






※12:+αはあっても千円ぐらいか。そんなん覚えてねーよ、って部分。









※13:保険4920円も高すぎたかも・・・飛行機代はもっとするよ、もちろん。

《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました)
  朝食:タダ
  トラム:440円
  大阪市営地下鉄:270円
  昼食:400円ぐらい
  近鉄切符:4150-2割(学割)=3320円
  名古屋市営地下鉄:230円
 
 
 
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