霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその36 おまけ〜スグカエレ、チチヨリ〜 |
最終更新日 2004/3/19 |
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上海最後の夜、ここには、もう一つの物語があった・・・・(田口トモロヲ風※) 「tkiyoto君、君の父さんから電話があって、緊急のことがあったからすぐ家に電話をかけてくれってさ」 外灘から帰ってきた我々を迎えたししょうが、私にそう告げる─ ・・・・あれ?前回、 |
※:言わずとしれたプロジェクトXのナレーター。俳優でありミュージシャンだが、この番組のインパクトが強すぎか。 |
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と書いたが、なぜししょうがいる?記憶違いか? ・・・・気のせいだ(汗)。そういうことにしておこう(たぶん、その前の日の話※)。 続き続き 「え?父さんが?」 「そう、寮のフロント(※2)に電話があってね。」 「でも、僕はウチに電話番号教えてないですけど・・・」 「え?」 その時、私はまさに狐につままれた感覚を受けた。そう、僕は実際、親には「どっかの大学の留学生寮に泊まる」としか言っておらず、ここの連絡先を教えるどころか、電話すらかけていない─。(※3それも問題だ) 「でも、あったんだよね。」 「どういう電話だったんです?」 「うーんとねー・・・ ししょうは、ことのいきさつを事細かに話してくれた。 僕の父と名乗る男がフロントに電話をしてきたものの、中国語で「ウェイウェイ(※4)」と応対されたので二の句が告げられなくなり、日本人だとわかったフロントのお兄さんがたまたま通りがかった日本人女性を捕まえて、電話に出てもらったそうなのだ。 その人が僕の父と名乗る男から、緊急事態が起きたので、今すぐ自宅に電話をかけて欲しいと言われて、僕の部屋まで来たものの、留守だったために困っているところに、ししょうが声をかけたわけだ(注:ナンパではない・・・ハズ)─と、ししょうはことの事情を、微に入り細に入り説明してくれた。 これはいったいどういうことなのか─? 父が、あらゆるつてをたどってまで電話してきたほどの緊急事態があったというのだろうか?あの、父が!(※5)。 人違いかもしれないが、とりあえずかけてみたら?とししょうにうながされ、僕は家に電話をかけてみることにする。しかし、僕は国際電話のかけ方など知らない。というわけでついたその日に家に連絡先を教えていた正しい旅人タカちんの手ほどきを受け、タカちんの残った電話カードを借り(というかもらい)、家に電話をかけることに。 とはいえ、僕の家族の帰宅時間は、遅い。8時すぎとはいえ、まだ、誰も帰っていない時間だ。今、電話しても誰もいない。 「すぐ電話してくれ」という電話だったのに、僕はいつものクセで、家族のいつも通りの生活スタイルをトレースしてわかった気になっていた─。(注:余裕こきすぎである) そろそろ帰っている時間だ。とりあえずかけてみることにしよう。 「─どうしたの?今そっち?」 「そうだけど、なんか電話があったらしいんだけど」 「どこに?」 「ここに?」 「誰が?」 「父さんから」 「でも、父さんも電話番号知らないよ」 「だよねー」 なんということだろう。とはいえ、父が父単独で電話してきたかもしれないので(あり得ないが)、父に確認を取ってもらうが、電話の向こうで「電話した?」と母が聞き、「しとらんよ」で会話は終了していた。 一応、説明のため父が電話に出てくる。 「電話なんてしとらんよ」 「やっぱりねぇ。じゃぁなんかねぇ。」 「さ〜。まぁ気をつけて帰って来なさい」 ガチャン もう切るのかよ!(僕調で統一してみました) ・・・・・ということで、人違いであると判明した。 まぁ、よく考えればそうなのだが、人違いと言うことになると、なぜその電話で話した日本人は私の部屋に来たのだろうか?私と同じ名字を探したら私のところになったらしいが、他にもいるからこうなるのではなかろうか? というのも、何といっても私の名字は恐ろしく平凡な名字。私は今まで同じ名字の人と同じクラスになったことはないが、全国でも五指に入る平凡な名字だけに、同じ名字を持つ者は全国には山ほどいるハズだ。そんな名字の人間が16階建てだかの外国人寮にいないとは言い切れない。 皆はほっとけばいいというが、「チチキトク スグカエレ」並の事態が起きている同じ名字の誰かさんにこのことを伝えなければ、と思ってしまう。なんせこちらはする予定もなかった国際電話までしたのだ。このままでは収まりがつかない。 解決方法はひとつ。フロントへ行って、同じ名字の人のルームナンバーを聞き出し、その人のところにその事を伝えに行くのだ。同じ名字というだけでこんな苦労をしなければならないとは・・・・とも思うが、それよりもこのモヤモヤ感を晴らしたい(というか、伝えないと私が悪いみたいじゃないか)。 しかし、フロントの人は、先ほども書いたように日本語が出来ない。話によると英語は出来るそうだが、私は英語がマジで出来ない。大学受験を推薦入試で決めるような楽な手を使ったために、英語の勉強はからっきしなのだ(その推薦入試の試験は英語だったが※6)。 そこで、中国語の出来る人を誘うが、誰も乗ってくれない。なんてこった。ほっとけばいいだと?このままで眠れるか! というわけで仕方なく、一人でチャレンジする。言葉の通じない相手に、他人の個人情報を聞き出すという、「はじめてのおつかい」にも無いような高度なミッションがスタートする。 私にある武器は、小学生レベルの英語能力と、紙とペンだ。それで何が出来る? |
※2:寮の入り口にはホテルのような受付がある。いるのは兄ちゃんとは限らないが。結構頭良さそうである。 ※3:タカちんはついたその日に電話を入れていた。海外では何が起こるかわからないからだ。 ※4:「もしもし」の意。ウェイだけでも通じるんだったけ。 ※5:私の父はサバイバルな環境でも生きていけるそうとうな強者であり、子供が海外旅行へ行こうが心配もせず「移動のひとつ」としてしか見ていない親である。 |
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※6:正確には英語+小論文。選択式だったので「ここはなんとなく for だな」という、フィーリング英語で何とか乗り切った。 |
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と、書いたメモを無言で渡す。 しかも微妙な笑顔。 |
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寮の受付の兄ちゃん、メモを読み、パソコンで検索してくれる。あやしまないところがナイスだ。たぶん、手ぶらで、エレベーターから降りてきたから寮の人間だと信用しているのだろう(それもどうかと)。 で、この名字は二人いるが、どっちだ?という意味の二本指を出す。私は中国語読みで自分の名前を言えないので、ペンで書いてくれと言うジェスチャーをしながら、「Write!」とプリーズもつけない無礼極まりない命令形でお願いする。 すると、私の名前を簡体字(※7)にしたらしき名前と、もう一つの名前、それとルームナンバーを書いてくれる。言葉が通じなくても簡単に個人情報をゲットできた!(※8) 受付の兄ちゃんに礼を言い、書かれたルームナンバーの部屋に行く。しかし留守。とりあえず戻ってこのことを皆に報告すると、 「ほんとに行ってきたの!?」 と驚かれるが、前にもあったが(その31参照)、私は行くと言ったら行くのだ。行くと言って購買行くほどお茶目ではない。 も一度時間をずらして行ってみるが、どうも留守のようだ。仕方がないから、またメモ大作戦で、ことを済ます(書き置きのこと)。これ以上は、もう知らん。親不孝だった、運が悪かった、としか言えないだろう。 私もこういうことがないように、家に連絡先を教えておかねばなぁ、とか一瞬思ったが、これ以降の旅行で、連絡先を教えたことはない。・・・・・・・・・人の振り見て我が振り直さないのね。 そんなこんなで上海最後の夜(だからその前の夜)は終わりを告げようとしていた・・・・。 ・・・あんまオモロくないなぁ・・・・ |
※7:中国語の表記は、簡体字と繁体字の二種類があるとされる。前者は、現在上海などでも使っている、漢字を簡略化して書く中国の方法。昔の人や台湾は繁体字を使うらしい。 Excite翻訳で自分の名前を簡体字にしてみましょう。人によってはビビります。 ※8:個人情報は簡単にゲットされます。されてもいいや、と思っていると鬱陶しいことに時間を割くことにもなるので注意。 |
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《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました) 電話カード:若干のお礼金を払う |
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