霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその27

     八日目〜これが元祖北京ダックだ〜
最終更新日
2003/5/6

 まぁ、ほとほどに天安門を楽しんだらいよいよ今日の(というかこの旅行の)大目的である「本場の北京ダック」を食べに行く。まだちょっと早い時間だが、気にせずGoだ。

 我々が北京ダックを食べに行くと決めたのは「元祖北京ダックの店」とガイドブックに載っていた「全聚徳」というお店。私のもっているガイドブック「個人旅行 北京・上海(※1)」には「高級レストラン」の項目の2番目に載っていたお店だ。生まれてこのかた、中級レストランでも行った記憶がない私は清水の舞台(※2)どころか金茂ビル(その21参照)の展望台からガラスを突き破って飛び降りるぐらいの覚悟が必要ですが、そこは中国。物価が日本に比べて激安なので、こんな貧乏な私でもジャッキー・チェンのような飛び降りアクションをせずともハリウッドスターになれるわけです(わかりにくいたとえだ)。


 全員ジーンズなのでドレスコード大丈夫か?という不安がなきにしもあらずだが、ガイドブックにそんなことは書いていないのでそのまま入る。そもそもガイドブックに書いてあるような所は日本人がよく来るのだろう、普通に案内される。英語もOKのようだ。
 席に案内され、メニューを見て、相変わらずマハに頼って頼む物を決める。北京ダックは(4人という事もあり)一匹丸さら頼み、他にスープやら何やらを頼む。さぁ、いったいどんなのが来るのでしょう、北京ダックって言うのは。
 ・・・・・鴨だろ等とは言わないように。


 この店は(元祖なだけあって)そんなに新しくないが、落ち着いた雰囲気で観光客らしき人もちらほらいる。まだ昼前だからかあまりいない。しかし、落ち着いた雰囲気に似合わないエンターテイメント性(※3)を持つお店だと言うことが徐々に判明する。

 まず、飲み物にお茶があるのだが、お茶っ葉(烏龍茶)の入った器に店員がお湯を入れるわけだが、このお茶のつぎ方がとんでもない!もう、「筆舌に尽くしがたい」とはこのことで、とりあえず見てもらおう。






※1:昭文社の出す海外旅行ガイドブック。北京・上海に絞っていたのと、市街地の地図がきれいで見やすいから購入。「歩き方」は見にくいので私は好きではない。ただ、やや「金のある人向け」の紙面作りな点は嗜好に合わない。女性が良くもっているのを見かけるのはその点からか。

※2:高さは13mあるらしい。実際に飛び降りた人が古来から結構いたらしいが、結構助かるらしい。








※3:エンターテイメントの原語であるエンターテイン(entertain)は「もてなす」「楽しませる」という意味がある。最近のプロレスは忘れてしまっているのではないか、という懸念がちらほらあるもの。
 


もうお茶の注ぎ方じゃない!!

 なんと、対面の席側から先の長いやかんを使って熱湯をお茶の器にダイレクトで入れるのです。熱湯はおよそ40cm空中で弧を描いてます。この尋常じゃない長さの注ぎ口を持つ金のやかんも強烈ですが、この注ぎ方はそれ以上に強烈です。しかも、こぼさずにお湯を入れるのです。半端な技術ではありません。職人芸です。

 さすが雑伎団の国。お茶の注ぎ方一つとっても魅せてくれます(たまにこぼすけど、皿があるから大丈夫)。効率化ばかり考える日本人には明らかにこの動作は無駄に見えますが、きっと中国では大事なことなんでしょう(ホンマか?)
 


 北京ダックという物がそもそも、鴨を焼いた料理と言うことだけしか知らない私は、一匹の丸焼きした鴨をみんなでむさぼり食うのかと思っていた。が、そんな予想は見事外れ、料理人がまな板の上に頭付きの北京ダックを載せた台車をゴロゴロと押して現れた。・・・・え、まな板?包丁もあるぞ。なるほど、ここでさばいてくれるのか。さすが高級レストランだ(いかにもな日本人的発想)。


プリプリのダックをさばいていく
 料理人は見事な手さばきで皮をこそいで行きます。これも一種のエンターテイメント(おもてなし)というやつだな。まぁ、こうでないと皮だけ見ても本当に一匹使っているのか怪しまれるかも知れないからな。しかし、肉を切らず、ほとんど皮だけだ。北京ダックって鳥の照り焼きと違うの?と思っていると、


 ダンッ!ダンッ!

 は?
 頭を首から切り落とし、さらに頭を真っ二つにしています。そして皿に盛られテーブルの上に置かれるのですが、さっき真っ二つにされた頭もあるんですが!

 なんとびっくり、北京ダックというのは、皮(そして頭)を食べる料理だったのです!知らなかった・・・・・(大目的なら調べてこいよ※4)。蒸籠(せいろ)に入った蒸した丸い餃子の皮みたいの(春餅)で、味噌や砂糖などをお好みでつけた白ネギやキュウリと北京ダックの皮(たまに肉付き)を巻いて食べる料理なのだ。なるほど、鳥の照り焼きと全然違うじゃないか(誰も一緒だとは言ってませんが)。

※4:アメを塗って焼いたアヒルの皮を白ネギと味噌ベースのタレを一緒に巻いて食べるのが基本のようだ。
フルコースを頼むととんでもないことになるようだ。

スープの左下に位置するのが頭などの食べにくい部分。
頭は誰も食べないので私が食べた。(くちばしはない)


巻いて食べるとこんな感じ。
一応、砂糖とキュウリ、味噌とネギという組み合わせのようだ。
やや脂っこさがあるのだが、ネギで消される。

 ん〜、想像していたのと全然違う料理だったが、激ウマので満足。楽しめたし。さすが元祖北京ダックの店。来て良かったばい。本当はもっと食べたい気もしたが、ちょと躊躇。ただ、鳥の骨に付いていた肉をくれなかったのが残念きわまりないが(これはスープなどになるらしい)。

 さて、食べ終わって一息ついてからカウンターで精算するのだが、レシートを見るとお茶で一人40元取られている・・・・・まぁ席料も込みってことだろうけど(北京ダック一匹108元なのにね)、あのエンターテイメントは玉子チャーハンが10皿食べられる料金から来ていたのか。・・・・そらやかんが金色だわ。そらあんな大げさなパフォーマンスだわ。高級レストランは怖いよう。
 実際は、鉄観音の良質栽培厳選物という高級な烏龍茶だから高かったようだ。


 お店を出たところに小さなブースがあって、お持ち帰り用の北京ダック(※4)が売っていた。皮は一袋8元、(温めるだけの)北京ダックは一匹84元だ(たしか)。

 こんなの土産に買う人がいるんだなぁ・・・・
 と思っていたら無性に日本でも食べたくなり気がついたら買っていた(笑)

 タカちんのお茶を買っている間に、北京ダックをまじまじと見ていたら、大学の先生にも買っていこう、ということでマハと共同で(同じ研究室なので)もう一匹買う。大出費だが、きっとウケるだろう。

 この先北京ダックを持ち歩きながら故宮博物院を回ることになるが(笑)。










※4:完全密閉パックなので3ヶ月持つとか書いてあるので安心だと思って買った。ただし、皮の方は普通の袋だったので、もって帰ったときにはカビだらけだった。日本では明治屋などで手に入る。検閲で引っかかるかもしれなかったが、船のチェックは通過した。

余談だが、故宮行った後、マハ個人でも北京ダックを買っていくことになる。
《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました)
 昼食(北京ダック等):100元(1400円)ぐらい?
 おみやげ(北京ダック):84元+8元+42元+4元(1932円)ぐらい?
 
 
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