世界貿易センター崩壊と世界のニューヨーク その17

     六日目〜ハイウェイで職務質問〜
最終更新日
2004/4/3
 (前回までのあらすじ)
 米同時多発テロ発生四日後のニューヨーク、マンハッタンの国際連合本部ビルの真下を通るハイウェイを、旅人気分で歩いていた主人公に白バイ警官に寄ってきて・・・

 何やってんだオマエ!

 と恫喝(どうかつ)されて、このまま白バイの後ろに乗っけられて連行されちゃうのか?と想像していたところまで。



脳内のイケナイ(というかあり得ない)想像。
白バイの形は結構記憶に定かでない。
なぜかノーヘルなのがポイント。しかもノリノリ

現在地。国連のマジ下


 さて、「え〜」と声にも出せず、「旅人っぽく川岸を歩いていたんですよ」とも言うわけにも行かず、どう対応しようか困っていたら・・・

 「何やってんだと聞いてんだよ!
 オマエは何モンだよ!」


 とさらに激しい口調で聞いてきます(無論英語)。とりあえず何か言わないと・・・ということで、例の

 「I'm tourist.(観光客です)」を繰り出す。

 「観光客!?IDを見せてみろ!」
 (ホントに怒鳴るように聞いているので”!”を使用しています)

 ID?・・・ああ、パスポートか、ということでパスポートを差し出す。


 「ジャパニーズ?」
 と言って怪訝そうな顔でにらむ警官。文句あるのか?
 「イエス」と答えると、
 「何やってたんだ?」というので、「写真撮ってたんだ、ほら、あの橋、こっからだと綺麗に見えるから」ちっとも悪びれずに言いながら、デジカメで撮った写真(下)を見せて身の潔白を証明する(※)。開き直った不信人物(私)にちょっと驚きながら、デジカメのディスプレイをのぞき込む警官。
 こんな時、デジカメは便利だ(こんな時がそうそうあるとは思えないが)
 
※:テロリストとかなじゃいよ、ということである。
もちろん、本人には道交法みたいなのを犯しているなどという意識は全くない。

結果的に私の警察連行を防いでくれた写真
イースト川とクイーンズ・ボロ橋(※2)
※2:ボロいからではない。正確な意味は知らないが、BOROなので、borough(区)の略だと思われる。クイーンズ区に架かる橋という意味かな

 「ちょっとカバン開けてみろ」
 と言われたのでカバンを開けて見せてみる。

 カバンに入っていたのは、一眼レフカメラと、巨大なチュッパチャップス(!)その15参照)。しかし、直径15cmほどもあるチュッパチャップスを見ても何のリアクションもない!

 ・・・・おかしい、ここは笑うところだぞ!
 よほどピリピリしているようだ。やはりテロで悲惨なことになっているニューヨーク市警では、ここ数日笑うことさえないのだろう(※3)。なんてったってまだ行方不明者多数だしな。その中に彼の同僚とかもいるかもしれない。

 そんな心の悲しみに押しつぶされないように「ニューヨークの安全を守るんだ!」と心に誓い、一生懸命仕事をしているのに(勝手に想像)、見つけた不信人物(私)はハイウェイに進入しているのに悪びれもせず「景色が綺麗だから写真を撮っていました」という謎の日本人。心の中では情けなくて泣いていたかもしれない。そりゃ怖い顔と厳しい口調にもなるわ。
 まぁ、元々そういう人っぽかったけど。


 とりあえず、事態を整理した警察官はなにやら罪に問わないというようなことを言う(※4)。私はホッとしながらも、内心、「警察署に連行されたら話のネタとしては最高なのになぁ」とか思っていたが、それは内緒だ。


 最後に、そのまま歩いて帰ろうとする私を捕まえ、
 「どっから歩いてきたんだ?」と聞いてきた警官。
 「あそこ」と降りてきた国連横のランプを指差す不信者。
 納得した顔で、「あそこから戻れよ」と言う警官。
 納得しない顔で、「向こうじゃダメ?」と言う不信者(※5)。
 にらみつけながら「ダメダメ」としかりつける警官。
 しょげながら「オーケー」と答える不信者。一体何様なのだろう?

 オマエ、犯罪犯してることに気付けよ


 まぁ、日本人だって事もあるし(※6)、写真見せたから、ホントに「バカな観光客」と思ったのだろう。一眼レフカメラも持っていたので、旅行好きの写真マニアだと思ったのかもしれない。写真マニア・カメラマンは、写真のためならば時に無茶をするからだ。


 なんにしろ、自分がちっとも悪くないと本気で思っていたので、堂々と対応できたのが良かったのだろう。「国連の下がどうなってるか知りたかった」などと言ったらどうなっていたかわからないが、その目的は果たされ(※7)、気持ちがイースト川撮影モードになっていたのもプラスに働いた。

 思いこんだら一直線の性格がこんなところで役にたつとは思わなかった。二度とこんな都合良くいかないだろうが



 ふぃ〜、助かった助かった。あやうく連行されて、新聞で「非常識な日本人観光客」としてどっかの新聞の社説を飾る羽目でしたよ。

 書き始めはこんな感じかな
  











※3:バカなことばかりやっているので忘れている諸兄もおられるかもしれないが、米同時多発テロがあった当時のニューヨークなのである。警察と消防、救急は史上最大級に大変なのである。





※4:この当時の私の英語力では難しい






※5:私が来たのは国連の南側のランプ。北側にもランプがあり、そこから出たいなー、と思っていたわけ。位置的にはその中間ぐらいにいたからさ。





※6:日本人は誰もテロなんてしないと思っているようでもある。
同時期の同じNYでは、アラブ系の人は、何もやっていなくても疑われて暴行を受けた事件があったが。

※7:国連の下に高速が走っているというのはセキュリティ的にどうなのか、という好奇心。前回の時点で終了していた。
 また、だ。
 何がまたかというと、海外での日本人観光客による非常識な行動である。それも今回は、米同時多発テロのあった喧噪冷めやらぬニューヨークの、国連本部ビルの真下でだ。
 (中略)
 なぜ、そんなところに行く必要があったのか、そもそも理解できない。

でも、こんな時だからこそ、国連本部とかの安全対策とか見てみたいんじゃない?(それが迷惑なんだが)
 
 ・・・とかね。
 
 
 ・・・・・・NY市警のおっちゃん、ゴメンナサイ!
《参考》今回使用したお金($1=120円で計算)
 保釈金とかいらなかったよ〜、良かった2

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