さんぽのすすめ

*映画勘*  最新号:2003/05/28


イラン映画道 蛇足歩行

マジディ監督
うろ覚え全
?問答

 

その1

2003. May. 26 14:30〜 in Iran cultual week 通訳:?

この日はマジッド・マジディ監督の「父(pedar)」の上映後の質疑応答でした。
レコーダも何もなく、その場の走り書きからの原稿なので細かな点が実際と違うことを先にお詫びします。

*はじめに。監督はこの日の12時に成田空港に着いたばかり。会場にそのまま来た様子。パワフル!

マジディ監督(以下:監督)
「こちらにおいでになっている皆さんに感謝致します。先ほど言ったとおり、二時間前に来たばかりですが、こちらに来て疲れも取れました。
まず、イラン文化週間に尽力したマジェリ在日イラン大使に感謝致します。
この『父』は長編の2作目になります。1995年に完成し、1996年に福岡映画祭で上映されました。1作目の『バダック(Baduk)』は1992年に東京の映画祭で紹介されています。
『父』ではプロとアマチュアの俳優が混ざって映画を作りました。若い俳優はこれで初めてカメラの前に立ちました。12歳の若い俳優(主人公の親友ラティフ役のホセイン・アベディニ)が最新作『少女の髪どめ(baran)』にも出演しています。もちろん彼は18・9歳になっていますが、映画界でも非常に注目すべき俳優になっています。『運動靴と赤い金魚()』と『太陽は、ぼくの瞳()』は東京で一般上映されたが、『父』と『バダック』は映画祭でしか上映していません。イラン映画は日本で良い評価を得ています。映画界でも国民にも知られ、日本ではイラン映画がよく紹介されています。この場を借りて佐藤先生に感謝致します。佐藤先生は福岡映画祭の会長でイラン映画の紹介に尽力した方です。
それでは、質問があればお受けます。

1人目:イラン映画好きと見られる40代くらいの男性
「『運動靴と赤い金魚』『太陽は、ぼくの瞳』そして『父』をこの日初めて観た。3作品を観て比較的に色の使い方がカラフルだと感じた。『父』は砂漠が舞台だが、家の中がカラフルだったりする。実際もそういった色遣いなのか、意図的にそうしたのか教えて欲しい。」

監督
「私はどんなロケーションをキャラクターとして使います。カラフルであるということもキャラクターとして捉える。『運動靴と赤い金魚』と『太陽は僕の瞳』でもそう使った。砂漠では乾いているので、独りであることを感じる。父と息子の2人がどれほどそこで距離を縮めるのか。静かで乾いた場所で、独りである2人がどうなるのか見せたかった。
また衣装の色は砂漠で良い役目をする。沙漠では色はないが、そこで生活している人たちは生活を潤すためにカラフルな色を使う。」

2人目:大学生女子(私)
「舞台が地方ということで映画がどれほど普及しているのかわからないが、そういった点で苦労などはあったか?」

監督
「基本的に映画を作るのは難しい。沙漠では特にそうだ。50度以上の暑さや乾いているからだ。しかし、集団で動くことで疲れも減ってくる。また協力という場面が生まれる。結局、2ヶ月半で予定したところが1ヶ月延びて3ヶ月半になってしまった。」

3人目:はじめの説明を受けての質問
「素人を使うのは難しくなかったのか?」

監督
「私は芝居から映画界に入った。舞台の経験があったので、上手に映画でも使いたかった。芝居をやっていた時、よく子供たちと一緒にやっていたので、子供たちとのいい関係作るのに活かされた。しかし、キャラクターを選ぶのが難しい。正しく選ぶと50%は既にもう進んでいる(作られている?)。この50%があれば、撮影の始まる前に(そのキャラクターと?)付き合うことが出来る。それをもとにどうやっていくか指導する。キャラクターというのは才能でもある。」

4人目:20代くらいの女性
「美しい情景が多かった。‘泣く’のと‘水’のシーンが特に印象的。そこで、どうやって(子役などを)泣かせたのかと、水に対するこだわりを教えて欲しい。」

監督
「泣かせるには雰囲気を感じさせるために準備する。芝居は始まってしまったら終わるまでがセンス(戦争?)。俳優自身のセンスになる。しかし、映画ではまず雰囲気を作らなければならない。感動的、ドラマティックなシーンでは、プロの俳優は自分で雰囲気を作れる。そうじゃない人には、スタッフも含めて雰囲気作りをする。まず、カメラマンにも元気なさそうにさせる。そういう彼らから俳優に雰囲気を与える。
‘沙漠’と‘水’の組み合わせはほとんどどの国でも同じ。沙漠=死、亡くなる場面。水=生活、自然が生きることが出来るからだ。この映画では最終的に父と息子の2人が、生きることを感じさせる場面である。」

5人目:なかなか辛辣な男性
「主人公の父と息子の絆がテーマのようだが、彼の親友もまた再婚家庭である。それをどう考えているのか。また沙漠のシーンは、そういう問題は極限状態でしか解決できないと表現したかったのか。」

監督
「沙漠というのはひとつのキャラクター。母、息子、父+沙漠というもうひとりの登場人物である。沙漠は絆を作るための場面であり、キャラクターとなっている。
再婚する時には離婚が合った上での再婚だ。互いに子供の残っている家庭を想定する。初めは新しい父や母を受け入れるのは難しい。しかし、父や母という存在が欲しいと思う子もいる。子の立場からこの映画を作り、子から少しずつ(物語を)進めていった。私は子供たちの刑務所を研究したことがある。その時ある子供が犯罪の道に導かれた。その子の母親は警察官と結婚した。
母が金が欲しいのだと思って、警察から拳銃を盗み宝石屋で発砲した。母にも警察官の父にも子にも権利がある。その三者を結びつけるために、この映画を作った。」

「ありがとうございました。」

 
 
その2

 

2003. May. 28 16:30〜 in Iran cultual week 通訳:ショーレ・ゴルパリアン

この日はマジッド・マジディ監督の「バダック(Baduk)」の上映後の質疑応答でした。
レコーダから起こしておりますが、音声が悪いのと途中からの録音のため不完全です。

*はじめに。質疑の途中からの起こしになります。ご容赦下さい。

1人目(私):

マジディ監督(以下:監督)

2人目

監督

3人目

監督

4人目

監督

5人目

監督




イラン文化週間
'03 5/22 Thu. 〜 28 Wed. in国際基金フォーラム
イベント詳細はこちら

上映作品:13時/15時

22日『運動靴と赤い金魚』 マジッド・マジディ監督
  
『ギャッベ』モフセン・マフマルバフ監督

23日『グレーマンズ・ジャーニー』アミル・シャハブ・ラザヴィアン監督
  
『カンダハール』モフセン・マフマルバフ監督

24日『オリーブの林をぬけて』 アッバス・キアロスタミ監督
  
『桜桃の味』 アッバス・キアロスタミ監督

26日『私はタラネ15才』ラスール・サドレアミリ監督
  
『父』マジッド・マジディ監督+質問

27日『酔っぱらった馬の時間』 バフマン・ゴバディ監督
  
『旅の途中で』中山節夫監督+質問

28日『テヘラン悪がき日記』(10時) カマル・タブリーズィー監督
  ※13時からイラン映画についての講演もあり
  『バダック』(15時) マジッド・マジディ監督+質問


◎マジッド・マジディ
Majid Majidi 1959年テヘラン生まれ。幼い頃から舞台に興味を持ち、モフセン・マフマルバフ監督の映画『The Boycott』に出演したことから映画の世界へ入った。その後イラン映画祭、ファジール映画祭・最優秀賞、モントリオール映画祭グランプリ、アカデミー賞外国映画賞にイラン映画として初ノミネートなど、世界的に評価を得ている。
1991『バダック(The Baduk)』
1995『父(The Father)』
1997『運動靴と赤い金魚(Children of Heaven)』公式サイト
1999『太陽は、ぼくの瞳(Color of Heaven:Rang-e Khoda)』
2002『少女の髪どめ(Baran)』公式サイト

*参考*
cinema iran 』 http://cinemairan.com/
イラン映画をみに行こう』ブルース・インターアクションズ 2002年12月発行

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