さんぽのすすめ

*映画勘*  最新号:2003/10/13


イラン映画道

麻薬・不法滞在・イスラム原理主義過激派・テロ支援国・ならず者国家…
イランに対するマイナスイメージは根強い日本。

「イラン映画」ってなに?って人多いでしょう。
全世界で話題を呼んだ『カンダハール』をはじめ、たくさんの映画がイランでは制作されています。
映画初心者にもにオススメ!なイランの魅力を紹介していきます。

イラン映画情報

『10話』アッバス・キアロスタミ監督

『少女の髪どめ』マジッド・マジディ監督>公式サイト

『セプテンバー11』サミラ・マフマルバフ/11監督

東京フィルメックス 11月22日〜30日 有楽町駅付近3劇場にて開催
特集「イスラム革命以前のイラン映画」7本上映!!>公式サイト

イラン映画入門

!!祝報!!

 
第56回カンヌ国際映画祭 
公式サイト(英・仏)

長編 審査員賞受賞
『At Five in the Afternoon』(サミラ・マフマルバフ)イラン
Jury Prize - "Five in the Afternoon"
Samira Makhmalbaf received the Jury Prize from the French actress Judith Godrehe for her moving tale entitled Five in the Afternoon. She said I don't want to be President of the Republic, George Bush is already, I prefer making films.
Samira Makhmalbaf who won the Grand Jury Prize in 2000, for Blackboard, had this to say; " I wanted to show Afghanistan as it is today and to show that a Rambo type figure can't save Afghanistan." (公式サイトより)

CSN1(CATV)の生中継で受賞式見ちゃいました!
サミラ・マフマルバフの受賞時のコメントによると、この作品は大統領になりたい女性が主人公とのこと。サミラは「この賞を世界中の女性に捧げたい。世界に対して責任を持ちたい、何かをしたいと考えていても出来ない女性たちに。私は別に共和国の大統領にはなりたいとは思わない。私自身外国に住んでいて気づくことだけど、世界で一番有名な大統領はブッシュでしょ。それなら私は映画監督でいる方がいい。」だとか。(CSN同時通訳+かなり個人的意訳有り;)
ちなみに彼女は現在23歳で今回の候補の中で最年少である。
サミラは2000年に『ブラックボード−背負う人』で審査員賞を受賞している。その際も「私は今日のありのままのアフガニスタンを映したかった。そしてRombo型の人物ではアフガニスタンを救えないことを見せたかった」と言っていた、らしい。(訳がおかしいけどどうにかなるさ)

「ある視点」部門
『Crimson Gold』(ジャファル・パナヒ)イラン

批評家週間・監督週間ラインアップ
『Ossama』(セディー・バルマク) アフガニスタン/日本
Special mention Golden Camera カメラドール特別賞- "Osama"
『Two Angels』(ママド・ハギガット) イラン
『Deep Breath』(パルウ゛ィズ・シャバァズィ)イラン

'事前に噂された作品の幾つかを欠くとはいえ、20本のコンペ作品には映画祭好みの映画作家の新作が並んだ。(中略)中近東からは『ブラックボード-背負う人-』で2000年に審査員賞を受賞したサミラ・マフマルバフがアフガニスタン・ロケを敢行した監督第3作『At Five in the Afternoon』、更に『カサバ-町』が東京国際映画祭でも紹介されているトルコの俊英ヌリ・ビルゲ・ジェイランの『Uzak』がコンペに選ばれた。
17本の作品が選ばれたコンペ外部門「ある視点」は、カンヌ映画祭の常連であるフランスの俊英アルノー・デプレッシャンの『In the Company of Men』で幕を開ける。その他の作品は全般的に無名の監督の作品が多いが、中では『チャドルと生きる』でヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞したジャファール・パナヒの新作『Crimson Gold』が入っているのが目を引く。
タリバン政権崩壊後の初のアフガニスタン映画『Ossama』(監督:セディー・バルマク)はモフセン・マフマルバフがプロデュースし、NHKも出資に参加した作品。様々な意味で話題になることは必至。イラン映画『Deep Breath』は『南から来た少年』(1997)で東京国際映画祭ヤングシネマ・ゴールド賞を受賞したパルヴィズ・シャバァズィの監督第3作。イランの青春群像を洗練されたスタイルで描き、2月にテヘランで開催されたファジル映画祭で大きな話題を呼んだ作品だ。'
( T-BASIC Asian Movie Newsより一部抜粋)
 

*イベントレポート*


イラン文化週間 白文字は別ページにレポートを作成中。
'03 5/22 Thu. 〜 28 Wed. in国際基金フォーラム
イベント詳細はこちら

上映作品:13時/15時

22日『運動靴と赤い金魚』 マジッド・マジディ監督
  
『ギャッベ』モフセン・マフマルバフ監督

23日『グレーマンズ・ジャーニー』アミル・シャハブ・ラザヴィアン監督
  
『カンダハール』モフセン・マフマルバフ監督

24日『オリーブの林をぬけて』 アッバス・キアロスタミ監督
  
『桜桃の味』 アッバス・キアロスタミ監督

26日『私はタラネ15才』ラスール・サドレアミリ監督
 
 『父』マジッド・マジディ監督+質問 >うろ覚え全問答レポート

27日『酔っぱらった馬の時間』 バフマン・ゴバディ監督
  
『旅の途中で』中山節夫監督+質問

28日『テヘラン悪がき日記』(10時) カマル・タブリーズィー監督
 
 ※13時からイラン映画についての講演 >講演全容レポート
 
 『バダック』(15時) マジッド・マジディ監督+質問 >半端問答レポート

 

*イラン映画入門*

 

 今、イランの映画監督達が注目されています。世界の映画祭などでのノミネートも多く、素敵な作品が日本へも入ってくるようになりました。

 代表格は、アッバス・キアロスタミ、マジッド・マジディ、モフセン・マフマルバフなど。イラン国内では若い監督がどんどん新しい手法で映画を撮っています。

 では、なぜこんなに良い作品がイランからでてくるのか。それはイランの映画における規制の多さにカギがあるようです。緩和の方向へは向かっていますが、映画以外にもイランでは娯楽・生活全般にまだまだ規制が多いのです。ハリウッドやヨーロッパのように、なんでもかんでも撮れるものではない。規制をかいくぐりながら映画を発表して行くには、普通のやり方では表現ができないのです。その逆境の中だからこそ、ハングリーで新しい発想を持った監督が育つのでしょう。

 日本で公開された作品を中心に、イラン映画のほんの糸口をご案内します。そういう私もまだ、入ったばかりなのです。この先にどんな作品が観られるのかとても楽しみです。

 

 *現在は主な監督の作品リストのみご紹介。
  『〜』は日本で公開されたことのある作品。

【監督紹介】
アッバス・キアロスタミ
マジッド・マジディ
モフセン・マフマルバフ
サミラ・マフマルバフ
アボルファズル・ジャリリ
バフマン・ゴバディ
ジャファル・パナヒ
カマル・タブリーズィー

◎アッバス・キアロスタミ
Abbas Kiarostami1940/6/22、テヘラン生まれ。18歳で家を出て、交番で働きながら映画館に通う。好きな映画にイタリアのネオ・レアリスモ映画、小津映画、特にイランのスフラブ・シャフド・サレスの『単純な出来事』を挙げる。60年代から多数のCF制作やポスターのデザイン、映画のクレジット・タイトルなどの仕事を手がける。68年に児童青少年知育協会に入り、映画製作部を創設し、作品を撮る。『桜桃の味』が97年カンヌ国際映画祭・パルムドール、『風が吹くまま』が第56回ヴェネチア国際映画祭・審査員賞を受賞している。写真家としても有名。
1970『パンと裏通り』
1972『放課後』
1973『経験』
1974『トラベラー』>ユーロスペース
1975
『一つの問題への二つの解決法』
   『できるよ、ボクも』
1976
『結婚式のスーツ 』
   『色』
1977『レポート』
   『休み時間をどう過ごそう?』
   『先生への賛辞』
1978『解決1』
1979『最初のケース、次のケース』
1980『歯科医学』
1982『コーラス』
1983『歯が痛い』
   『市民』
1984『1年生』
1987『友だちのうちはどこ?』>ユーロスペース
1989『ホームワーク』>ユーロスペース
1990『クローズ・アップ』>ユーロスペース
1992『そして人生はつづく』
1994『オリーブの林をぬけて』>ユーロスペース
1997
『光の誕生』(『映画の未来−ロカルノ半世紀−』)
   『桜桃の味』>ユーロスペース
1999『風が吹くまま』>ユーロスペース
2001『ABCアフリカ』
2003『10話』>ユーロスペース

◎マジッド・マジディ
Majid Majidi 1959年テヘラン生まれ。幼い頃から舞台に興味を持ち、モフセン・マフマルバフ監督の映画『The Boycott』に出演したことから映画の世界へ入った。その後イラン映画祭、ファジール映画祭・最優秀賞、モントリオール映画祭グランプリ、アカデミー賞外国映画賞にイラン映画として初ノミネートなど、世界的に評価を得ている。
1991『バダック(The Baduk)』
1995『父(The Father)』
1997『運動靴と赤い金魚(Children of Heaven)』公式サイト
1999『太陽は、ぼくの瞳(Color of Heaven:Rang-e Khoda)』
2002『少女の髪どめ(Baran)』公式サイト

◎モフセン・マフマルバフ
Mohsen Makhmalbah 1957/5/28 テヘランの下町に生まれる。15歳で高校を中退し、政治活動に身を投じる。17歳の時、警官から銃を奪おうとしてナイフで襲うが失敗、逆に撃たれ、逮捕される。79年イスラム革命の成就により釈放されてからは文化活動に転じる。作家、ラジオ・プロデューサー、映画監督として活躍。『サイクリスト』以来、最高の動員力を誇るイラン最高の監督となる。
1982『Nassouh's repentance(ナスーの悔恨)』
1983『Two Sightless Eyes(二つの見えない目)』
1984『Fleeing From Evil To God(悪魔から神への逃亡)』
1985『The Boycott(ボイコット)』
1987『行商人(The Peddler)』
1989『サイクリスト(The Cyclist)』
   『Merriage Of The Blessed(祝福された結婚)』
1991『Time of Love(愛の時間)』
   『Nights On Zayandeh Rud(ザヤンデルードの夜)』
   『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ(Once Upon A Time, Cinema)』
1993『カージャール王朝の様々な映像(A Selection Of Images In Ghajar Dynasty)』
   『The Actor(アクター)』   『Stone & Glass(石と砂)』
   『Ezatolah Entezami(俳優エザドラ・エンテザミ)』
1995『サラーム・シネマ(Salaam Cinema)』
1996『ギャベ』  『パンと植木鉢』
1997『風と共に去った学校(A School Gone With The Wind)』
1998『サイレンス(The Silence)』
1999『キシュ島の物語(The Story Of Kish)』 >公式ページ
2000『Democracy(民主主義)』
2001『カンダハール』
2002『アフガン・アルファベット』

◎サミラ・マフマルバフ
Samira Makhmalbaf 1979年テヘラン生まれ。
巨匠モフセン・マフマルバフの娘であり、幼い頃から映画製作の現場に参加してきた。『りんご』をカンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に出品し、18歳というカンヌ映画祭史上最年少で監督デビューをする。
1998『りんご』
2000『ブラック・ボード』>公式ページ
2002『セプテンバー11』
2003
『At Five in the Afternoon』

◎アボルファズル・ジャリリ
Abolfazl Jalili 1957年、イラン中央部のサヴェーに生まれる。少年時代をテヘランで過ごし、13歳で自分が描いた絵や書を売り生計を立てる。70年代から8ミリの自主製作映画の制作を始める。79年イランテレビに入社し、独自の手法を模索する。その後、彼の作品はヴェネチア映画祭・金のオゼッラ賞、ナント三大陸映画祭・グランプリ、ロカルノ国際映画祭・銀豹賞、サン・セバスチャン国際映画祭・審査員賞などを受賞している。
1975『Jogh(The Owl)』
1976『Pesarek-e Rooznameh(Newsboy)』
1979『Khaneh(Home)』
1979『Gheseyeh Hossein(Hossein's Story)』
1980
『Ba Bacheha-ye Zelzeleh Zadeh Golbagh-e Kerman(With The Child Victims of Earthquake of Golbagh-e Kerman)』
1981
『Mohajeran-e Jang(The War Immigrants) 』
1981『Dokan Daran-e Tehran(Tehran's Stand-Owners)』
1982『Movazeb Bash(Be Carful)』
1983『Milad』
1985『スプリング−春へ(The Spring)』
1987『かさぶた』
1990『Dorna』未完
1994『7本のキャンドル』
1995『トゥルー・ストーリー(A True Story:Yek Dastan-e Vaghei)』
1992-98『ダンス・オブ・ダスト』>公式ページ
1998『ぼくは歩いてゆく(DON)』>公式ページ
1999『キシュ島の物語(The Story Of Kish)』>公式ページ
2001『少年と砂漠のカフェ』>公式ページ



◎バフマン・ゴバディ
Bahman Ghobadi 1970年、クルディスタン生まれ。
1995から1999年の間、10の短編映画を監督した。『Life In Fog』は様々な全国フェスティバルおよび国際的なフェスティバルでの多くの賞を得た。1999年には、『風が吹くまま』(アッバス・キアロスタミ監督)の助監督として働いた。さらに『ブラック・ボード』(サミラ・マフマルバフ監督)で教師役を演じた。『酔っぱらった馬の時間』が長編デビュー作となる。
短編
1995 『That Man Has Arrived』
1995 『Rain Again with A Song』
1996 『Dang』
1996 『The Notebook』
1996 『God's Fish』
1996 『Like Mother』
1996 『The Party』
1998 『Life In Fog』
1998 『Songs of the Steppe Girl』
長編
2000 『酔っぱらった馬の時間(A Time for Drunken Horses)』ユーロスペース

 

 

◎ジャファル・パナヒ
Jafar Panahi 1960年、ミアネ生まれ。
カレッジ・オブ・シネマ&テレビで演出を学び、卒業後、イラン・テレビで短編ドキュメンタリーを手がける。92年に『The Last Examination』で短編映画デビューする一方で、カンブジア・パ−トヴィ監督やアッバス・キアロスタミ監督のもとで助監督として腕を磨いた後、初の長編作『白い風船』を手がけ、カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールほか多くの賞を受賞するなど注目を集める。
1995 『白い風船』
2002 『チャドルと生きる』公式ページ

 

 
 

◎カマル・タブリーズィー
1959年10月27日、テヘラン生まれ。
演劇芸術大学の映画舞台化で映画を学ぶ。撮影と脚本執筆で映画界へ入り、1979年に初めての短編映画を監督する。1988年から長編映画を撮り始め、以来、社会問題や政治問題を独特の感性でユーモラスに風刺した作品で、若者から圧倒的な人気を得ている。1995年『夢がほんとに』がイラン国内で大ヒットし、一躍イラン映画界で注目を浴びる。『テヘラン悪ガキ日記』ではベルリンこども映画祭グランプリ等を受賞し、世界20ヶ国以上で公開されている。最新作『風の絨毯』は日本との合作となる。
1995 『夢がほんとに』
1998 『テヘラン悪ガキ日記』
2002 『風の絨毯』公式ページ

  

 
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2003年にも続々イラン映画上陸予定!!各種最新情報などで随時お知らせします。

もし、興味を持ったなら是非観てみてください♪

*参考*
cinema iran 』 http://cinemairan.com/
イラン映画をみに行こう』ブルース・インターアクションズ 2002年12月発行


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