【お松と共に】


 「そこ右、次…左にしよか」と、お松の指示通りハンドルを切る。何処へ向かっているのやら 定かではないが、確実に人気の無い所へ向かっていた。

 「軽ーく、おかっぱりでもしよか、そこ左」と曲がった先に、溜池が見えてきた。良くもまあ これだけの池を覚えてられるものだと感心する。堰堤に立つと、変哲の無い中規模な農業用貯水池である。周囲は木々に囲まれ、 堰堤以外からのオカッパリはできそうになかった。

 「この池は、向こう岸ギリギリに落とせたら100%ヒットするで」と、お松に言われたが、 対岸までだと実質30〜35m程はありそうだ。

 少し重量があり、空気抵抗の少ない垂直ペンシル…と、手持ちのBOXを探り、手にしたのが 「ラドスケール」であった。昨年買ってから、未だバスを獲れていないプラグだ。 こういう遠投が必要な場所でこそ威力を発揮するはずだ。

 早速フルキャスト大会となったのだが、良いと思われるポイントに落とせても、バスからの反応は無かった。 「おかしいな、今日は渋いな…」と、お松も首を傾げながら左脇の岸際に点在する シェードを探り始めた。

 それなら右脇の岸を攻めようと堰堤を移動。良い按配に木が半分水没したポイントが目に入ったので、サイドキャストで 大枝にかからない軌道で、シェードの奥を狙ってみた。

 「カサッ、ジャボッ!」と、枝をかすめて狙っていたポイントへプラグが勢いよく シェードへ飛び込んだ。

 「おお〜っ、怖いとこ放り込むな〜。」と、お松が感心してくれいる。 しかし、着水後にプラグが水面で小バウンドし、勢い余って枝にフッキングしてしまった。

 「あかんわ、際どいこと攻めすぎたみたい。」と、プラグを回収しようと試みたが、 どうやら枝に絡まっている捨てラインにかかっているようで、とても回収できそうにない。

 止むを得ずラインを切り、次は「オリザラ」を結んだ。今荒らしてしまったポイントを 休める為に、違うポイントを探っていたら、「来たッ」と、お松の声!と同時に 「ガボガボッ!」とバスが暴れる音が聞こえてきた。

O-matsu in KASAI
お松ますます絶好調!(キミは「三匹が行く」のテッ○イか?!)

 お松の「バードマン」(Toy’sのペンシル) にシェードから2匹のバスが襲いかかってきたそうだ。嬉しそうに説明してくれた。

 先のポイントに戻り、再び枝の下を狙った…が、今度は枝を直撃し、2本目のプラグをロスト! これではたまらないと渋々フローターを出し、引っかかったプラグを回収した。

 フローターで調べてみると、かなりの数のバス、ギルが浮いていた。これだけ居たのに何で釣れなかったのだろう? おかっぱりでは攻められないポイントを「レザボアドッグ」で攻めてみた。

 決してキャストしたポイントが悪い訳ではないと思うのだが、完全に反応無しであった。強いて言えば、 ラインが太かった(20ポンド)ので、キャスト後、ラインの糸ヨレの反動だけで、 ポイントから離れてしまったり、不慣れなロッドでのアクションがぎこちなかったことは認める…。 しかし、そこを差し引いたとしても、ノーバイトという結果は悲しいものであった。

 少しメゲながら、次の池へ向かった。