【第1次バス釣り大戦】(2/2)


 日が完全に昇った途端バスの活性は下がり、プラグ、ワームのいずれを 試しても反応が無くなってしまった。ケンちゃんが愛用の「ピーナッツⅡ」をロスト したのをきっかけにフィールドを変更することにした。

 生野銀山湖から加古川市まで移動中に、ケンちゃんが「ピーナッツⅡ」を補充 したいと言ったので、釣り具屋を3〜4件ほど「はしご」したが、残念ながら お目当てのブツは見つからなかった。昼食に吉野屋の 「焼き鳥丼」(絶版)を食べ たり、色々と寄り道していたので次のフィールドである 「権現(ごんげん)ダム」 に到着したのは、13時過ぎであった。

 「権現ダム」はなかなか雰囲気の良いフィールドであったので、結構期待 してキャストを開始したのだが、期待とは裏腹に誰にもヒットしない。

※私はこの時、まだ「ラパラのロングポース作戦」 を敢行していた。時間帯もフィールドも変わっているのに…。時間帯に合わせた 攻め方が存在し、それが釣果を大きく左右することを当時は理解できて いなかったのだ。


 一人で湖周辺の遊歩道に沿ってラパラを打ち込んで行ったが、全くダメな のでクサっていたら、ケンちゃんにヒット!ハゼ型ワームに食いついたのは 30cm後半の良型バスであった。(羨ましい!) この1匹で全員がワームにチェンジし、頑張ってみたが、残念ながらこの後は 誰にもヒットがなかった。15時頃、フィールドを変更することに決定。

 第3のフィールドは「権現池」という溜め池で、 結構マッディーな水質であったが、今までのフィールドと比較すると、生物反応が 全然違った。至るところでカエルが鳴いていたり、魚が跳ねたりしている。 「さあ、始めよか!」と言い終わらない内にお松に ヒット!「BHバイブレーションをアシ際に沿って引いたら 食ってきた」というバスはこれまた30cm後半。ようやく1匹獲れて胸を なで下ろしている。

 ふと見ると、30m程離れた水門付近で、ものすごい音をたててベイトフィッシュ を追っているバスがいた。波紋や音から判断すると相当の大物のようだ! さっそく狙ってみたが、2、3回ルアーを落としただけで沈黙…。

 お松に笑われる。「そんなでっかいの投げたらどんな バスやって逃げて行くわ!」私のロッドの先に結ばれていたプラグは 「クレイジークロウラー」のオリジナルサイズであった。アピール重視で選択したの だが…。(※大マジ)

 結局、この「見えざるデカバス」に気を取ら れている内に時間だけが過ぎて行き、とてもマズい雰囲気になってきた。2日も要して 20cmの小バス1匹ではあまりにも情けなさ過ぎる! 「どっかエエとこ無いんか?」沈黙したフィールドを 前にお松に泣き付くと、最後のシークレットポイントへ行くと言う。なんだ、そういう 所があるのならさっさと行かなきゃ。もうすぐ日暮れだ!

 「ここで釣れんかったら、バス釣りやめなあかんで」 と、お松が断言する通称「稲荷池」(単に池の裏に 祠があるだけでの命名)は、1周およそ1km弱のなんの変哲の無い溜め池であった。 こんなところでウハウハ状態になるなんて想像も出来ない。しかしそう考えている間も 日は刻々と沈んでいく。急かされるように「メタリックバスハンターⅡ」をキャスト、 キャスト…マシンガンキャ〜スト!!

 しかし、釣れない。どうしたと言うのだ?もはや私にバス釣りをする資格は 無いとでも言うのか?そういえば、この池に到着した時、 「ありゃ、なんか浅くなっとるな。水でも抜いたんとちゃうやろな?」 というお松のなんとも無責任でかつ無慈悲な呟きが妙に気に掛かる…。

「ズン!」

 とロッドに重みが…。おおっ、朝の1匹めから約10時間ぶりのアタリだ! 「グイッ」とアワセた。感触は…結構重い。 「やっとでたわ!」と、お松に叫ぶ。お松は ゆっくりとこちらを見る。魚はなかなか上がってこない。底へ底へと逃げようと している。「もしかして…」とお松。 ズ〜ナマ とちゃうやろな?」

「ズ、ズ〜ナマってか!?」 それはマズイ!今回の釣行のローカルルールを決める時にズ〜ナマ (要は「ナマズ」のことです) を釣った者にはペナルティとして、 マイナス50000ポイント が課せられることにしていたのだ。 (ちなみにバスは2ポイント、ブルーギルは1ポイント) まさかそんな…と反論したいところだが、実際に魚を見た訳では無いので、 なんとも言えない。数秒後、濁った池に「ギラリ」と魚の腹が鈍く光るのが 見えた。

そして水面まで上がって来た魚は…まさしく「ズ〜ナマ」であった。

Oh My God!
やってもうた、マイナス50000ポイントなり〜!!

 この1匹で私の最下位が決定した…。首位争いの方は、お松、ケンちゃん が共に、この池で小型のバスを1匹づつ獲り、両者ともトータル2匹となったが、 「同じ数の場合、大きな魚を釣った者が上位となる」 というローカルルールに従い、お松の優勝となった。私は最後の意地で完全に日が 落ちてから、小さいのを1匹追加したけど、すでに優勝戦線から完全に脱落していた ので、誰からも注目されることはなかった。

 しかし、初めてのフィールドとはいえ、2日間通して2匹や3匹しか釣れない のは考え物である。もっと精進しなければ…と痛感させられた釣行であった。

 19時過ぎに納竿し、ケンちゃん、お松を送り終えたら、20時過ぎになってしま った。これから明石〜茨木まで帰らねばならない。 「明日からの仕事はキツいだろうな〜」と考えながら 運転していたら、異様に長い渋滞に巻き込まれた。

 当時の兵庫県周辺は「阪神淡路大震災」の爪痕がまだ色濃く残っており、阪神高速 は使用不可能であった為、西宮の名神高速道路入り口まで延々と渋滞していたので あった。

 帰宅したのは24時を過ぎていた。翌日、仕事場で睡魔と闘うハメになったことは 語るまでも無かろう。 (しかし、バス釣り地獄はまだまだ序章だったりする…)
【最終結果】

メンバー名 ポイント 順位 備考
お松 1位 バス2匹(※サイズ差で優勝!)
ケンちゃん 2位 バス2匹
タク −49996 3位 バス2匹、ナマズ1匹

※バス:2ポイント、ブルーギル:1ポイント、ナマズ:−50000ポイント、その他:審議