*ベリーベリーコロシアム*
〜血塗られた歴史〜

「うそ…。」

ガナッシュの言葉に驚きを隠せないシードル。
キルシュも目を見開いている。
カシスは、知っていたようだった。

「オレも…聞いた事、あるな。」
「え?カシスも?」

カシスの言葉に更に驚くシードル。

「オレをなめんじゃねぇよ。
だれに裏の世界に足突っ込んでるわけじゃねぇ。」
「不良だもんね。」
「るせぇ。」

シードルの頭を軽く小突くと、話し出す。

「確か…6,7年前だったか…
おっさんが教えてくれた。
古のプレーン…そこはその時、最も技術が発展していた。古のプレーンは、二つの国に別れていた。
一つの国、そこの王は、欲が深かった。
もう一つの国、そこの王もまた、欲が深かった。
そして…あとの五人も、同じだった。
そして、七人の王は、相手の国を手に入れるため、戦った。」
「何だか、おとぎ話みたいな話しだね…。」
「黙って聞け。
そして…ある日、しびれ切らしたどちらかの王が、少年を雇った。
それが…ガーナだった。」
「ガーナは…」
「一晩の内に、七つの国、全てを破壊した。」
「「「「ミ、ミント?!」」」」

突然、会話に入ってきた人物に、驚く四人。
ミント———ミント=ライトベール。ラズの双子の弟。———は、片手を上げて挨拶すると、更に話を続けた。

「残ったのは、土と曇った空。人は居ない。人骨もない。血の後もない。
そう…すべてが“無”だった。」
「…死体が転がってるよりも、酷い話だな。」
「あぁ。精霊も、そこには寄りつかない。例え、ニルヴァでも。」

キルシュの呟きに、律儀に返すミント。

「そして…ガーナは、こう、名付けられた。
“無の死神”…と。」





“忘れないでよ”
その言葉が何度もラズの頭によぎる。
ガーナはいったい何が目的なのだろうか?
自分の命だろうか?
自分への信頼だろうか?
それとも……
そんな事を考えている内に、学校に着いた様だった。

「来る途中に…ガーナは居なかったわね…。」
「えぇ…。この中に居るようだわ。」
「じゃぁ、早く入るに!」
「ホワイトの言う通り!はやく入いりましょう!!」

ブラックの言葉と共に、駆け出した。だが、その中でラズだけが、浮かない顔をしていた。




「なぁ、さっきから、すげぇ、魔力感じんだけど。」
「えっカシスもなの!?」
「俺も感じるな…。」
「オレも……。」
「…これは…。」
「?ミント、知ってるの?」
「あぁ。この魔力は…」
「ガーナよ。」

ミントが言おうとした言葉を言ったのは、ラズだった。
後ろには、ブラックとカカオ、ホワイトが居る。

「…ガーナが…来たのか…。」

ガナッシュは、静かに、溜息をつくように言った。
シードルは、突然現れたラズ達に驚きを隠せないようで、固まっている。
そんな彼等をしりめに、ラズとミントは話す。

「なぁ、姉ちゃん。ガーナは…あいつはいったい、何しに来たんだ?」
「知らないわ。そんな事。」
「…そっか。」

ミントはラズの言葉を聞き、そこを離れる。
ラズは、ミントが離れた後、右腕をまた、ぎゅっと掴む。

「…本当に…こっちが聞きたいわよ…っ」

そう呟き、唇を強く噛みしめた。



人は…


一度体験した


恐怖や


悲しみや


忘れる事が


できないのだろうか?


例え、


永遠は無理だとしても


一時でも、


癒す事は


できないのだろうか?


半身である…


俺でも……。

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登録日 :   2002年08月24日 15時32分38秒
更新日 :   

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