*ベリーベリーコロシアム*
〜新たなる味方〜

「ガーナ!!
それは…それは、どう言う意味!?」
「わからない?わからないんだったら、なんどでも言ってあげるよ?」
「そうじゃなくて…っ」
「じゃあ、なに?」

煮え切らないクランに、ガーナは溜息をつく。

「ボクはそんなに暇じゃないんだ。
失礼するよ。」
「な…っ」

ガーナの言葉に勢い良く顔を上げるが、
ガーナの姿は何処にもなかった。
そう、空間移転…つまり、ワープしたのだった。





フワァ……
「ん…?なんだ?この香り…。」
「随分と、甘い香りだな…。」
どさっ

何かが倒れる音がし、後ろを全員が見ると、そこにはカカオが倒れていた。
直ぐさまラズが近寄り、カカオの様子を見る。

「まさか…これ…
みんな!!!息を止めてっ」
「え…?ど…ぅ」
どさっ
「シードル!!
くっ…な、んだよ…これ…っ!」

膝をつくカシス。
ガナッシュは手すりにもたれ、何とか立っている。
ブラックとホワイトは、すでに倒れている。

「これは、強力な眠(みん)魔術よ!
この香りを嗅いだ者は、眠ってしまうの!!」
「な…っそれじゃあ、これは…ガーナが…?」
「多分…」
「も、限界…かもし、んね…、オレ…」
「ちょ、眠っちゃ駄目よ…!!」

カシスは、何とか耐えているもの、気を抜けば直ぐに眠ってしまいそうだ。
ガナッシュもミントも、自分同じのようだった。

「すごいね…。
ボクの魔法に耐えるなんて。」
「ガー、ナっ」
「コイツが…!?く…」
「早く眠りなよ。その方が楽だよ?」
「っるさ…ぃわ、よ…!」

頭では起きていなくては、と思うが、体はそれを拒否し、眠ろうとしている。
その証拠に、全員が体が動かない。
動くとしても、ガクガクと震えてしまう。
ガーナの言うとおり、眠ってしまった方が楽なのかもしれない。
だが、眠ってしまえば、どうなるかわからない…。

「ふぅ…眠ってくれない、か…。
じゃあ…これで、眠ってくれるかな?」

フワッ…

更に甘い香りが強くなる。
眠気が強くなり、目がかすんできている。
とうとう睡魔に勝てなくなったガナッシュとカシスが眠ってしまう。

「ごめ…ねえちゃ…ん…」

ミントも眠ってしまった。
ラズは、起き上がろうと必死になる。
今、眠ってしまえばどうなるかわからないから。
仲間がどうなるかわからない…。
そんな不安が、眠りを妨げる。

「くぅ…」
「おやおや…まだ眠らないのかい?
しぶといね…。まぁ、それでこそ…」
「黙れ…っそれ以上…喋る、な…!!」
「仕方ないな…」

前がぼやけて見えなかった。
コツリ、コツリ、と靴を慣らしながらガーナが近づいて来るのがわかった。

「ラズちゃんから離れろ!
『鎌鼬!!(かまいたち)』」
「!?」

無数の風の刃が、ガーナに向かって飛んでくる。
だが、ガーナは素早く跳躍して、避ける。

「…飛んだ邪魔が入ったな…。
今度、また来るよ…。ラズ。」

ガーナはそう呟くと、闇に包まれ、消えた。

「ラズちゃん!大丈夫かい!?」

慌てて入ってきたのは、スピンだった。
スピン=サークル。それに、後ろにギストとシュラも居た。
ギスト=クリスタルは、水のプレーン出身者。
シュラ=ファイヤーボールは、火のプレーン出身者。
スピンは風のプレーン出身者。
それぞれ特殊な属性を持っている。

「ラズ、大丈夫かい?」
「えぇ…取り合えず…みんなを起こして、カエルグミを食べさせてあげて…。」
「わかったよ。」

頭を押さえながらラズはシュラに言う。
シュラ素直にそれに従うと、ほかの者達の方に駆け寄った。

「…(また来るって…どう言う事…?
また、同じように、みんなを巻き込んで…)」
「姉ちゃん?」

ラズがハッとして、背後を振り返ると、回復したミントの姿があった。

「…どうか、したか?顔色悪いし…」
「なんでもないわ…。」
「嘘。姉ちゃん、嘘付く時、髪を指に絡ませる癖がある。」
「…………。」

真っ直ぐなエメラルドグリーンに見つめられ、何もかも言いたい気持ちなる。
だが、言えない。無駄な心配をかける事になる。
何も言えなくて、ラズが黙っていると、ミントがふわりと笑い、言った。

「…無理して、言わなくて良いよ。」
でも…俺が居るって事くらい…覚えていて欲しいんだ。
なにもできないかもしれない、癒せないかもしれない。
けど、話だけは聞けるから…」
「ミント…。」

キュッと唇を噛みしめ、涙が流れないようにすると、ミントに抱きついた。

「ね、姉ちゃん!?」
「ありがとう…ありがとう…
ミント………。ありがとう…。」
「私の…側に居てくれて…。」
「姉ちゃん…。」

ミントは、ラズを優しく抱きしめた。


一人で居るのが


いつも


怖かった。


闇に心が…


持って


行かれそうで。


だけど…本当は、


一人じゃない。


本当は、ずっと、


ミントが側に


居てくれた。


昔の私だったら…


恥ずかしくて、


言えないかもしれない


だけど、


今なら言える。


ありがとう。


と………。







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登録日 :   2002年08月24日 15時32分38秒
更新日 :   

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