『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート9〜発電所の種類と特徴(1)〜


 SIMCITY3000の発電所は9種類。SIMCITY2000も9種類(ゴミ焼却がなくて水力がある)、SIMCITYクラシックは火力と原子力の2種類。それぞれ発電所の能力を考えてみよう。
 発電所の仕組みの基本はほとんど同じで、タービンを何かのエネルギーでまわすという方法である。

 【火力発電】
 2000と3000では石炭、石油、ガスの3種類を用意。クラシックでは「火力」というだけの扱いだった(右図)が、ハードウェアの進歩(リアリティー追求、環境汚染の大衆化に伴い個性の違う3種類に分けられたと思われる。SIMCITYが開発されたのは1980年代後半に比べ、SIMCITY2000が出た1900年代前半には消費者レベルにも大気汚染問題が世間的に認知されてきたことも要因となっているだろう(それはゲーム中の条例を見ればわかるでしょう)。とはいっても昔のほうが大気汚染はひどいのですが。
 実際の火力発電所は原料(石炭、石油、天然ガスetc.)の輸送の手間を省くために(日本では)港の近くに設置される(あと、タービンをまわす水蒸気となる水も必要。これはリサイクルされる)。あまり知られていないが、ベース発電を原子力に依存し、必要となったとき(昼から夕方にかけて)に石油発電所を起動させたりして環境対策(コスト対策も)なされている。

石炭発電所 石油発電所 ガス発電所
SIMCITY2000
SIMCITY3000



 【原子力発電】
 SIMCITYシリーズを語るのにはかかせない発電所。強力なNIMBYを持ち、メルトダウンするという危険性はエネルギーを得るというリスクの象徴とも言える。(1900年代に)都市を発展させたい場合にはどうしても原子力発電所を使わないといけないことになる。その為、設置する場合は遠距離に配置するなどの対応策をねらなければいけない(災害なしにする事が一番多いが)。設置しない場合は、原子力に反対するという意味でプレイヤーは非核都市宣言(条例、2000と3000に登場)をする事が出来る。
 現実の原子力発電所もSIMCITYと同じようにメルトダウンなどの危険性に備えて、出来るだけ人の住んでいないところに設置されることが多いが、膨大な量の冷却水が必要なため(火力同様原料を海外に頼っている理由も含めて)海岸線に建てられることが多い。が、狭い日本では誰も住んでいないところに作ることは難しく、できても働き手がいないという状況になるので、どうしても廃れた地域に誘致されることも少なくない。現在、日本では電力の3〜4割を原子力でまかなっているとされている。
 SIMCITY SIMCITY2000 SIMCITY3000

 チェルノブイリ事故以来、原子力問題は加熱の一途をたどることになるが、現実的な問題として原子力なしでは我々の生活は成り立つことがないこともまた、事実である。このゲームで存在しないが、核廃棄物の処理(保管)の問題も含めて、原子力問題は解決していない。


 【水力発電】
 2000のみに登場。得られる電力は低いものの、半永久的に使える施設として登場。しかし、ダムの概念の再現が難しく、勾配のあるタイルに水をひいた(滝となる図1)上に水力発電を設置するという形となった(図2)。しかし、滝さえあれば水力発電が出来るという理由から図3のように山を造成して、全面に水を配置し、その上に水力発電を設置するといった現実離れのテクニックを使うプレイヤーが多くなった。
図1  図2図3

 現実の水力発電を作るには貯水湖がいる。その為に沈む村もあるぐらいの巨大な面積である。水力発電は貯水湖から川に流すときに、高さ(位置エネルギー)と重量を利用してタービンをまわし発電するという仕組み。ダムは水の貯水機能の役割を果たすために造られることが多いがSIMCITYではそこまで再現されていなかった。
 発電所としては、自流式の水力発電(色々なのです)以外は需要が高まらない限り(昼から夕方にかけて)使うことはあまりない。とのこと。揚水式といわれるエネルギー補完型のダム建設が最近は多いらしいが、反対運動も少なくはない。水についてはまた今度やるとしよう。

 


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