『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート10〜発電所の種類と特徴(2)〜


 【風力発電】
 古来から風車として使われてきた風力発電だが、近年、環境配慮の風潮と実用性が高まりブーム化している(風なだけに)。SIMCITYでは2000から登場し、電線の代わりに使うというゲームならではのテクニックが多用される。ちなみに2000から3000になるにつれて供給できる電力が(相対的に)アップしていいて、実際の実用度がアップしていることを裏付けしている。
 風力発電所は風の多いところに設置すると効果が上昇することも一般的に認知されているが、SIMCITYでもそれを再現するために勾配の上に建てると発電量が上がるようになっているが、海岸線での発電効果上昇までは再現されていない。クリーンで住民受けがいいのでNIMBYも低い。しかし、天候によって発電量が左右される(安定性に欠ける。SIMCITYでも再現されている)ことや面積の割に発電量が少ないという欠点がある。コスト高はそれほど気にならなくなってきたとも言える(でも高いが)。しかし、長く使える施設であり、他の発電施設と比べ、少ないスペースで作れるという利点があり、風力と他を組み合わせることによって効果は倍増する。
 最近は風力発電で得た電気を電力会社に売る企業が出てきたり、風力で得た電力を蓄電したりと風力を有効利用する手段が多様化している。

SIMCITY2000 SIMCITY3000
2000の方はいかにも風車っぽいが、3000のは実際に多く導入されているプロペラ型のデザイン。日本でも所々で見られるようになった。
 このようなタイプを水平軸風車といって、垂直軸風車という変わった形のも存在する。


 【ソーラー発電】
 SIMCITYに出てくるソーラー発電はタワー集光方式の太陽熱発電方式と思われる(未確認)。太陽熱発電施設では太陽光を反射して中央の塔に熱エネルギーとして集める。そのエネルギーを利用して水を蒸発させ、タービンをまわして発電する。面積の割に得られるエネルギーが少なく、かつ発電量が天気に左右されるためコストの割に信頼性に欠けるという欠点がある。SIMCITYでもご丁寧にそれは再現されているので、太陽光だけで都市を運営するのは厳しい(人口が多いと、面積も足りなくなる)。しかし、公害を(ほとんど)ださない発電施設であり、NIMBYも低いという点では優秀な発電施設といえる。また、大気汚染の影響や都市のオーラ(住みやすさ)を考えるならば必要な手段といえる。
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 最近家庭でもソーラー発電して電力会社に売る、というのが多くなっているが、その太陽光発電とは異なる(ハズ)。太陽光発電は(あの紫の板のやつです)太陽光を利用した化学反応で電気を発生させる仕組み。近年やっと実用化が進み、空いているスペース(屋上や坂、駐車場の上とか)に設置したりと置き方も工夫され、他のクリーンエネルギーとの組み合わせて利用されることが多くなった。


 【マイクロ波発電】
 大気圏外に太陽パネルを取り付けた専用衛生を打ち上げ、その収得した電気エネルギーをマイクロ波として地上に送るという仕組みの発電方式で、普通のソーラー発電に比べ(宇宙にあるから)スペースをとらずに多くの電力を得ることが出来る。2000ではマイクロ波の受け損ないによる火災発生などの災害があったが3000ではなくなっている。しかし、大がかりな技術なのでコスト高という点は否めないが、原子力発電と同程度の発電量とわりとクリーンであることからも実現されることが望まれ、研究開発が進んでいる。実際に導入されたらもっとコストがかかるのではないかという気もする(ロケットがいるから)。
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 【核融合発電】
 SIMCITYで人口をたくさん増やしたいときには必ず使用される発電施設。核融合反応という太陽エネルギー発生の原理と同じ、原子核の衝突・融合を利用した科学反応を発電エネルギーに変えるという仕組みを取るため、メルトダウンの危険性もなく、汚染も少ない。核(ウラン235)を使うわけではないのだが、発生するエネルギーが膨大な量(温度にして一億度を超える)なので得られるエネルギーも凄いが、その分設備としての危険性(原子炉ほどでないにしろ)も考えられる(事故が起きないという保証はどこにもない)。また、人口太陽を作り出して、人口農園を作り出すという計画もあるといわれている。多くの人が期待しているエネルギー。
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 核融合に期待を寄せる人は多いが、まだ現実的な運用には時間がかかり、エネルギー消費を見直すということから目を背けられる理由にはならないと思う。得られるエネルギーは使い切れないほど出来るという話ではあるが、それが膨大なエネルギー消費に繋がることは容易に想像できる。エネルギーはなにかを利用して得るものなので(核融合には水素以外に重水素を作るためにリチウムやヘリウムがいる)、エネルギーを増やせばなにかの代償エネルギーがいることも忘れてはならない。技術だけで問題が解決するほど世の中簡単ではないということも言えるだろう。


 【エネルギー焼却炉】
 ゲームでは西暦2000年からしか作ることは出来ないので、今までそういうのがなかったみたいだが、昔からゴミ処理発電はあった。とはいっても発電能力が全然違うので、発電施設として考えられる能力を備えたのは最近になってから。昔はゴミ焼却の熱を利用して温水プールにしたということもあった(今もあるけど)。このように最近では発生するエネルギーの再利用が有効なエネルギー対策として考えられている(そうすれば環境負荷も低くなる)。ちなみにこのゲームでは3×3タイルのスペースの為、結構便利に使われる。


 SIMCITYでは電気は都市を支えるエネルギーというのが根本のゲームシステムのため、電気がないと都市が発展しないというのを見事に再現されている。電気の供給がなければ建物は廃墟になり、発電所の能力が落ちれば停電が頻発し、住民から怒りの声が集中したりする。このゲームには変電というものがなく、送電もリアリティに欠けるが、バージョンを新しくするごとに使いやすい電力伝搬(でんぱん)システムを導入して、電線がなくても都市が造れるようになった(クラシックや2000では電線そのものだったが、3000から鉄塔に変わっている)。これは電力供給が地下ケーブルになったりと複雑化した理由も考えられる。
 また、SIMCITYでは(2000と3000で)発電施設の老朽化による発電効率の低下というのも再現されている。ずーっと建てっぱなしにはいかないというのもリアリティの追求の結果であろう。

 


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