『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート4〜わがままな市民〜


 市民はわがままである。
 SIMCITYをやったプレイヤーならばそう感じることも多いだろう。画面に向かって「おまえ達の為にやってることなんだぞ!」とか叫んでいる人もいるかもしれません。プレイヤー(市長)は出来るだけいい都市にしようと色々しているのに、市民は文句を言う。これ、まさしく現実のことですね。いくら頑張って市政を施(ほどこ)しても、文句を言う市民は必ずいる、ということはよくあります。そのまた逆に、よい市政じゃなくても文句を言わない人もいます。
 では、なぜ文句を言うのでしょう?簡単にいうと自分にとって利益・関心がある/なしで、市民は市政の評価をすることが多いからです。誰だってそうなのでこれはしょうがないことなのです。市民は自分たちが幸せに暮らせることがまず、第一条件なのです。

 現実の話、市民一人一人の満足を満たすことは100%無理です。でもよく考えてください、なぜ、市民の欲望を満たすことをしなければならないのでしょうか?本当の市政とは、市民の欲望を満たすのではなく、市民が生活しやすい(健康面、精神面、経済面など多面的な)環境の都市を作る(運営する)のが本来あるべき姿なのです。だから、一個人の私的な意見が正しいことのようにうけとると、また他の所から反発が起きることになってしまうのです。
 しかし、市民の声を無駄にしてはいけません。なぜなら、それをいう権利が市民にはあり、それが市政に対しての評価であることにはかわりはないからです(文句は出るけど少ない、程度が低いなど)。そしてこの評価をどう活かすかによって、誰も住まない都市になるか、市民が幸せに暮らすことが出来る都市が出来るのか決まるのです。

 では、SIMCITYの中ではどう市民が文句を言ってるかを見てみましょう


 SIMCITY内の市民の声(請願)の大別
  告訴・・・商業取引や条例などに反発する人たちがする行動。却下すると捨てゼリフを言う。
  文句・・・市長に対して不満をぶつける。それだけ。無視するか気にするかは性格による。
  提案・・・商業取引や条例などの施行を求めたり、新しい建物を建てるように進めたりする。
 だいたいこの3種に分類されるが、これに当てはまらないタイプのものもある。

 SIMCITYの世界の市民はコンピューターピープルなので、いうことがいつも同じですが、やはり文句を言うからには原因がある。原因が分かるものには対処しやすいが、そうでないものはなかなか扱い方が難しい。しかし、前述したように市民の言葉を理解した者が市政を制するのでその努力を怠ってはいけません。
 【市民の声を聞け】
 とりあえず、市民の声について真意を探ること(ゲームなのにと、なめてかからない!)。
 例えばなぜ、空気清浄運動をしなくてはいけないのか。市民の立場になって考えてみよう。そうすると、空気の汚なさが耐えれる限度を超えたから、と考えられる。そうすれば条例施行することに納得がいく。しかし、そんな予算はないし、工業の発展が鈍ってしまうこともある(そういう条例なんです)
 条例を施行しないならば、他の対処法を考える。工業地区の分散化や樹木、池、公園などを置いて汚染の平均値を下げるという方法もそうでしょう。そうすれば市民は満足するかもしれない。が、条例を施行するとゲームとしては簡単だけどそれで解決する問題じゃぁないのよね。それで安心する市民もいるけど、未来を見据えるとまた、問題が発生する可能性もある。条例施行と共に、問題点の解決をすれば将来的にその問題に悩まされることも少なくなる。SIMCITYの市長は永遠にその都市を見守らなければならないので、俺の任期の間は・・・という刹那的な考え方はできませんよ、市長。

 【採算を考える】
 これが一番難しい。「お金にこだわるケチ市長」と文句を言う人はどこの世界にもいるのだが、現実的なお話、お金がなくちゃ都市が潰れてしまうのだ。「そんなおおげさな」というかもしれないが、SIMCITYをプレイしてわかるように、公共施設(公園など)、公共機関(下水道など)、市がお金を出さないといけないものが多いのだ。
 そう、きれごとだけではやっていけないのが事実なのだ。一度、ゲームの最初からすべての「市民にとってよい」と思われる条例を施行してみましょう(公共サービスでもいいです)。すぐに破産します。破産するということは市民活動の息を止めてしまうことにもつながるのです。ということは、必要なだけの公共サービスを提供することが望ましいのです。その為にも市民やアドバイザーの声を聞きながら、何が今すべきことなのか考えましょう。
 しかし、市民はわかっちゃくれない。けど、気にすることはない(いや、それいいすぎか)。一番多いのは税率への文句だけど、よく考えれば、税率は低い方がいいでしょ?誰だって。

 次回ではわがままの種類について述べましょう


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