『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート21〜都市と都市計画〜


 これから本格的に都市計画に入っていくわけだが、まず都市とはいったい何なのか?都市計画とは何なのか?を考えていこう。

 都市には人が集まってくる。いや、集まっているからこそ「都市」が形成されるわけなのだが、この話はきりがないので、都市とは上記のようなものだと言うことを理解しておこう(もちろん、ある程度の定義はあるけど、きちんとしていないのが事実です)。詳しく知りたい人はその手の本を探してみてください。
 

 我が国にとってもヨーロッパ・アメリカの先進諸国においても、今日ほど都市に人が集まり、表面的に繁栄し、同時に問題を抱えている時代はかつて無かった。また、それは社会体制の異なった旧東欧の諸国や中国、またはアフリカや中近東の諸国でも、都市に人口が集まり多くの社会問題を抱えるという現象が(内容は違うにしろ)同じように起きている。現在では都市を離れては生活できない人がほとんどであり、都市に求めるモノもより高度で複雑なものとなっている。
 都市には問題がたくさんあるのになぜ人が集まってくるのでしょうか?そこには様々な理由があります。一般的に言われているのは仕事が多く、所得が大きいというようなものですが、他にも住みよい住環境や都市の文化であったり、高度な教育・医療と福祉サービス、人工美を放つ都市空間などなど様々なものを求めて人は都市に集まります。人がたくさん集まるということはその間に発生する問題も多くなり、複雑化します。この問題を解決する為の学問が都市学なのですが、それはそれとしておいときましょう。

 こんないい加減な説明でお困りでしょうが、それでは都市計画というのは何なのでしょう?色々専門的な説明もありますが、確実に「これ!」というようなものもない気がするので、簡単に言うと都市の空間(時間も含む)・施設・開発行為・環境問題・・・のような分野の思想と技術と制度を取り扱う分野であり、人の幸せ・安全を守るものである。いいかえれば都市を住みよい場所にすることが都市計画なのです(問題がなければ都市計画なぞいらない)。また、前述したような人々が都市に期待するモノを提供することもまた、都市計画の一部です。
 その為程度は違えど、どこの国にも都市計画(それに付随する物も含む)が存在している。アメリカでは City Planning、イギリスでは Town Planning、フランスではurbanisme・・・・と。前にちょこっとだけ紹介した公園緑地計画などは都市計画の中に含むものであるとされるのが一般的である。


 では、SIMCITYの作られたアメリカの都市計画をちょっと見てみましょう。
 アメリカという国自体歴史が新しいので、都市の形成もヨーロッパなどとはまったくといっていいほど異なる。アメリカ以外の国々は防衛上・交通上・行政上・宗教上・・・などの理由から都市が現在まで(移り変わりしながらも)引き続いているためにその形を残した都市が多い。以上のことを踏まえてアメリカの都市の特徴を少しまとめてみよう。
  1.すべて近世以降に作られた都市(=城郭がない都市。現代型のサイズ、大きな区割り
  2.自動車の普及と平行して成長(=現代型の経済・都市基盤の確立。幅の広い道路
  3.都市膨張が急激(=自由をウリに開発が自由に進んだ。高層ビル群
  4.自動車に依存した都市交通(=前項参照。)
  5.都市の中に造園技術を導入(=広大な公園、計画的な都市緑地、)
 大体以上の5つに分類されるのだが、他にも前項で説明したように鉄道などの公共輸送機関があまり整備されていなかったり、道路に頼っているため都心部には駐車場が山ほどあったり、その為に都市の空洞化が進んだりという特徴もある。また、それによる影響で都心部が拡散したり、都心外縁部の旧市街がスラム化するなどSIMCITY的なところがたくさんあるので急遽次回にやることにしたので、アメリカの都市計画についてもう少し詳しく次回にやることにしよう、こうご期待。


 今回は短かったけど、「誰(た)がために都市計画はあるのか?」という点を覚えておいて欲しいです。市民のためでなかったら、例えそれが将来的に市民のためになるものだとしても意味がないのです。近年はそうした実際の住む市民の声が軽んじられてきたことが今まで(ほんの少しかもしれないが)あったので、自治体主導・市民参加のまちづくりという運動が盛んになってきています。そう、自分の住むところは自分で住み良いところにする、ってことですね。
 
参考文献「都市計画概論」

背景は都市計画の第一人者?イギリスのロンドンです


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