『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート17〜緑地とは?〜


 世間一般に受け止められる「緑地」というのは自然を主とした公園のことというイメージをうけるのではないだろうか?都市計画で扱う緑地とは開発されずに使われない空地(くうち)のことである(簡単に言うと計画的にあけられた土地とでも言うのか)。その大別は、普通緑地、生産緑地、その他緑地に分けられる。また、森林・原野・農地・河川・湖沼・海浜・河岸などを自然緑地と独自に分けることもある(特に農地だけを生産緑地と独立させる分類もある)。これは前項で述べた都市公園の種類を内包する広義の緑地である(その分類はこちら)。また、緑地公園を緑地として取り扱うかということに対しては微妙なところであるが、おおむね表の3までを公共緑地、それ以降を緑地、と分類するようである。

 このように公園や緑地という物は定義がしづらく、そして多種多様であるということが特徴であるが、人間が生活することにおいて重要な役割を持つことに代わりはない。今回は緑地(公園も含む)のもつ効能を調べてみよう。 
心理的効果 審美的効果
自然感享受効果
精神的リラックス効果
環境保全効果 都市形態規制誘導効果
地域生態系保全効果
微気候調整効果
公害防止緩衝効果
視線誘導、遮へい効果
防災効果 災害防災効果
避難効果
利用効果 レクリエーション効果
教育効果

 大体このような効果があるが、これらは植物による影響だけでなく、オープンスペース(※)としての広がりによってもたらされる効果に大別できる。通常この二つの効果が関連して相乗効果を生みだす為、緑地の機能を最大限活かす配置計画が望まれる。その前に取りあえず、表の説明をSIMCITYと関連させながら説明していこう。

【心理的効果】
 ・審美的効果・・・見た目。
 ・自然感享受効果・・・自然を感じることによる爽快感。
 ・精神的リラックス効果・・・森林効果もそれ。あるよね?
⇒これはもう、説明不要でしょう。SIMCITYでは「オーラ」をあげる効能を持つことと思われる

【環境保全効果】
 ・都市形態規制、誘導効果・・・都市の無秩序な開発を抑えるために「グリーンベルト」となる緑地帯を設け、それ以上の発展を防ぐ、というものです(規制)。また、その逆に、開発不適地を公園緑地として整備して開発を進める(誘導)という利用法がある。SIMCITYでは規制についてはあまり効果がないけど(自分で発展させるから)、誘導の方は結構有効です。緑地帯にして地価、環境をよくして発展しやすくさせる、ということが出来ます。
 ・地域生態系保全効果・・・緑地のある/なしで自然生態系に及ぼす影響がだいぶ違う
 ・微気候調整効果・・・都市を覆うコンクリート、アスファルトは温度をすぐに発散し、市街地の温度を郊外よりも上げる「ヒートアイランド現象」が発生するので、その抑制をはかる為に緑地(木も)をおいて輻射熱の減少、日照の緩和などを計り、気温変化を少なくするようにする効果(Simにはありませんな、温度の概念)
 ・公害防止緩衝効果・・・主に分けて大気汚染浄化と騒音震動の緩衝の二つ。前者は言わずとしれた効果ですが、酸素供給以外にも汚染物質吸着や粉塵沈降効果もあります。一説によると1haの常緑広葉樹林は約 80人の酸素必要量を放出しているらしい。また、騒音は苦情数が一番多い公害であるが、その対策として樹木を道路との間におくことを実施している。詳しい説明は省くが、植栽幅が広く、樹高が高く、かつ枝葉が密であるほど効果があり、騒音源近くに密植させることが一番の解決策だという。大気汚染浄化はSIMCITYでも再現できるが、音・震動に対する公害は再現されていない(もしくは最初からその対策がなされた道路なのかもしれない)。
 ・視線誘導、遮蔽効果・・・家の周りに生け垣をおく、また、ちょっとした区分けを緑化で行う。

【防災効果】
 ・災害防止効果・・・オープンスペース緑地は火災、特に関東大震災のような大地震による火災での被害の広がりを抑える効果がある。また、植林地の水害防止、がけ崩れ防止、暴風・防雪・防砂にも有効な手段である。
 ・非難効果・・・災害時においても避難地として使用されるというのは周知の事実であろう。中小火災ならば児童公園などでも十分にその機能を果たすことが出来る。

【利用効果】
 ・レクリエーション効果・・・経済社会発展と余暇・所得の増大に伴い、精神的リラックスや肉体的な健康をもたらすものとして、緑地が都市生活には欠かせない。
 ・教育効果・・・運動神経の発達、社会への順応、自然に関する知識など、遊びの中から人間は育っていくのでのでこういった場所は欠かせない
⇒SIMCITYでは「オーラ」に相当・・・するのか?


 緑地(公園含む)はこういった効能があるために、周辺住民からも憩いの場、安らぎの場として必要とされる。それが地価を高め、オーラを高める効果としてゲーム上で再現されている、というわけである。これの影響については機会があったら調べることとする(需要があったら?)

 SIMCITYをやっているとわかるが、住みやすそうな都市にしようと思うとかなりの公園を配置しなければならない。それがちょっと多すぎるかな?と思っても、欧米ではそれが普通なのである。日本では公園というものの歴史も浅く、文化的に違うこともあるので一概に比べるわけには行かないが、都市に置ける公園の重要度がかなり違う。アメリカの公園面積が多いのは、アメリカ都市計画職員協会が、市域の 10%、一人当たり約 50m2(千人の住民につき10エーカー=SIMCITYの10タイル)の公園を確保するように勧告がなされているという理由もあるという。また、近年(?)はポケットパークなど市民の側から非常に小さな規模の公園を作る所も多く見られるようになった。SIMCITYでも、住宅地や工業地を区画したのに公園が出来ることってあるよね?あれはポケットパークとまでは行かないけど、企業・自治会の側から公園を作ろうという行動なのだ(恐らく。コンピューターピープルの考えてることはわからんが)。日本では、大きな工場をもつ企業ぐらいしか作らないけどね、公園なんてめったに。

※建築物のない一定の地域的な広がりで、その非建ぺい性、植生・水面などにより、環境の質の向上を図り、あるいは住民のレクリエーション需要にこたえるものである。

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