『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート16〜公園計画〜

ここからはかなり都市計画が入ってくるので長くなりますよぉ

 現代都市には緑地や公園が欠かせないものである。その歴史は古く、ヨーロッパでは様々な技術が公園に用いられてきた。詳しい話は省くが、人間が快適な生活をする上で必要となる心地よさ・レクリエーションを提供するのが緑地や公園であり、産業発達によりゆとりの少なくなった近代以降、都市には欠かせない絶対不可欠なものとして今まで以上に重要視されることになった。日本では文化・歴史体系が欧米と異なるので公園というものは単なる「子供・ファミリーの遊び場程度」としか認識されないことも少なくない。

 まずここでは、日常生活にうるおいのある空間やレクリエーションをもたらす公園について考えてみよう。公園には自然公園と都市公園の2種類があり、前者は自然公園法により国や府県が指定をした公園で、後者は都市計画の一環として設置される物である。自然公園は景色や雰囲気を味わうという目的を持った自然を利用した公園であり、都市公園は都市の公園配置計画により設置する公園である。そう、SIMCITYで公園を設置することがこういうことなのだ。ではSIMCITYに自然公園がないのか?いや、そうではない。プレゼントの間欠泉公園がそれに当たるのだ。

  それでは、SIMCITYの公園を考えてみよう。
 SIMCITYには当初から公園は存在した。もちろん、シリーズを追うごとに種類が増えていくのだが、それは単にハードウェアの進歩による選択支の増加というレベルの話ではなく、実際の都市公園には様々な種類があり、それを再現するのにやっと3000で追いついてきたという方が正しいと思う。それではどのような公園が都市計画でアメリカの資料がないのでとりあえず、日本の都市公園計画を見てみよう。
種類 種別 整備目標 代表的な公園の例
標準対象人口 標準規模 誘致距離
基幹
公園
住区基
幹公園
街区公園 2500人 0.25ha 250m 児童公園
近隣公園 10000人 2.0ha 500m 羽成公園(茨城)
地区公園 40000人 4.0ha 1000m 一本杉公園(東京)
都市基
幹公園
総合公園 100000人 10〜50 到達時間
1時間以内
代々木公園(東京)
運動公園 15〜75 笠松運動公園(茨城)
特殊公園 風致公園 10ha 適地 台の原森林公園(宮城)
動植物公園 1/10万以上 平川動物公園(鹿児島)
その他 全国で1500ha 大阪城公園(大阪)
公害災害
対策緑地
緩衝緑地など 全国で5000ha 市原緩衝緑地(千葉)
大規模公園 広域公園 適宜 全国で200箇所 井頭公園(栃木)
レクリエーション都市 1000ha? 全国で10箇所 南予(愛媛)
 ※誘致距離・・・公園利用者の居住地分布域を示し、公園利用者の約80%の限界をもって計られる

 大体このよになっています。あなたの都市はどうですか?(市のHPなどにも載っていますよ)
 では今度はSIMCITYに出てくる公園について調べてみよう
名前 英語版 価格 サイズ 想定面積
小公園 SmallPark §100 1x1 0.41ha
噴水 Fountain
Pond §500 2x2 1.64ha
運動場 Playground
大公園 LargePark §1000 3x3 3.69ha
野球場 BallPark §2500 4x4 6.56ha
動物園 Zoo §5000

※ちなみに前項でも話したが、SIMCITY3000に登場する「公園の総面積」は、動物園やマリーナを除く公園の総タイル数(総エーカー)である。英語のAcres Systemwide を何を間違ったか平方メートルと翻訳したようである。もうちょっと調べて欲しかった。これではせっかくのシミュレーション性が台無しである。参考までに名古屋の総公園面積は1426 ha(3478 エーカー)である。



 【小公園】
 面積からいっても標準規模0.25haの街区公園と同じ程度の公園である。どれぐらいの大きさかというと、1学区に一つはあるような、小学生がよく遊ぶ児童公園などが当てはまる。私の住む名古屋のデータで悪いが、中区の橘公園や矢場公園、古沢公園など、学区や旧地域名のついた公園が当てはまる。トイレをおいているレベルの公園だということである。

 【噴水】
 実際のゲーム内の画像のように噴水だけでなく(30m近くもある噴水はそうないでしょう)、噴水を中心とした公園で、前述の小公園が子供達の遊ぶ公園なのに対して、こちらはゆとりをもって空間を楽しむという公園となっている。栄の光の広場、希望の泉がそれにあたるだろう。

 【池・運動場】
 これはサイズ的には標準規模2.0haの近隣公園に相当するものであるが、SIMCITYでは池のまわりにベンチなどを配置した池(左図)と運動場(遊び場、プレイグラウンド)の二つが存在する。名古屋では隼人池公園がこの、池と同じサイズとなる。
 近隣公園とは住区住民の日常的なレクリエーション活動に応じた多目的利用の出来る施設を中心にして、休養スペースを十分に確保した設計がなされている都市に置ける安らぎの場やレクリエーション活動の場、さらにコミュニティ形式の場としての機能を果たす公園である。となるとSIMCITYではちょっと当てはまらない気もしないでもないが・・・。

 【大公園】
 標準の規模的では日本の地区公園となるが、地区公園の対象人口から考えるとやや違うかもしれない(実際の地区公園は10ha以上の物もけっこうある)。しかし、色々な市民が集まるレクリエーション公園という観点は同じであると思われる。
 地区公園の役割から考えると身近なスポーツを中心に幅広い利用に対応してレクリエーション施設を主体に、休養施設・修景施設等を十分に確保し、各種機能空間が有機的に配置されるような設計がされる。近年では地区公園規模では地区防災公園としての位置づけがなされ、その整備が進んでいる。

 【野球場(運動公園)】
 グラフィックを見るとまるで草野球場のようだが、面積を算出するとかなり大きいことがわかる。SIMCITYの建物グラフィックは特徴を顕著にするデザインなので、この野球場の周囲にもランニングスペースや鉄棒などがある野球場ベースの公園であるといえる。ちなみにSEの新機能、建物セット変更の欧風とアジア風はサッカー場のグラフィックとなる。ヨーロッパでは野球場よりサッカー場というのが町(国?)の常識。アメリカ製だという事を覗かせる一コマである。総合公園や都市公園に含まれる野球場を表しているようである。

 【動物園】
  動物園とは一定の敷地内において飼育、展示し、鑑賞その他レクリエーションのように供すると共に、併せて研究、教育、希少動物繁殖の機能を持っている施設である。また、動物園の立地には色々な要素が必要であり、13ha以上の面積が望ましいとされている。実際の動物園は自然を基調として作られるために動物のいる面積が大して広くないというようなこともある。
 しかし、はっきりいってこんな小さな動物園も珍しい。子供動物園もここまで小さくないぞ。こんな値段で建てられるところを見ると都市内の小動物園とでもいうべき施設なのかもしれない。動物園と植物園が隣接した動植物園という施設の方が一般的か。サファリパークもこの部類に入る(当然だが)。


 都市公園は道路、広場等と一体となって都市の骨格や良好な風致、景観を備えた地域環境を形成し、自然とのふれあいを通じて心身ともに豊かな人間形成に寄与するとともに、スポーツ・レクリエーションの場の提供、公害・災害の発生の緩和、避難・救援活動の場の提供、さらには大気の浄化、防音、遮熱等、非常に多くの複合した機能を有する都市にはなくてはならない施設である。
 公園にはまだまだたくさんの種類があり、この他にも、パークウェイ、ポケットパーク、墓園、遊園地などさまざまな種類の物が様々な状況において作られることとなる。それはひとえに人間の心からの願望なのであろう。

 SIMCITYでは公園に様々な機能があり、それは以上のような効果をゲーム場で表現したとも言える。これについては次の機会にやることとする。


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