『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート12〜都市のライフライン水(2)〜


 現代都市の生活には農業を中心とした古代以上に水を必要とする。飲み水としてだけではなく、風呂・トイレ・洗濯・冷房・洗車・工業用水・・・・様々な用途に水は用いられる。その為に都市計画においても重要なウェイトを占めているのだ。

取水:
 ポンプで取る
雨水:雪含む
上水道:
 生活用水
都市活動用水:
 トイレ、冷房
家庭用水:
 食卓、風呂
 これは水利用システムの概略である。青い矢印は再利用をあらわしている。取水するという部分がSIMCITYにおける「ポンプ場」となる。しかし、SIMCITYには用水の区別はないので水源→ポンプ→水道管→各地区→水道管→水処理となる。2000では雨が降らずに渇水(かっすい)しているので貯水塔を設けろなどというイベントが発生したが、3000になるとなくなっている。
 以下にこの図についての付記をする。
  • 農業・工業用水が上水道を通さないのは飲料として使用するわけではないからである(必要ないから)。しかし、ある程度のきれいさがないと使えないこともあるので(特に農業)水源の保全に力を入れている。また、処理施設などを設けて水源に戻す(もしくは再利用)という仕組みを取ることもある。これらの用水は一ヶ月いくらの単位で取り引きされることもある。
  • 雨水は水源に流れたりするほか、トイレや植物などの飲料用以外に使うため上水道をかまさない(近年は中水道ともいう)。また、都市に流れ込んだ雨水は貯水プールに貯めて汚れを沈殿させ、上に貯まった水は直接河川に、したに貯まった汚い水は下水道へまわされる。
  • 下水道を通って処理施設に集まった水は処理を受けてトイレや噴水の水として復帰することもある(それが上の青矢印)。下水処理場は一都市にいくつもある場合や近隣との共同使用という場合もある。水は流域下に汚染が広がっていくので、そこの所に注意した整備が必要である。
 このように複雑な仕組みをもつ水道システムはゲームに採用するとえらい目に遭うので採用されず、現在のようなシステムになったといえる(確証なし)。特にネックなのは水源との関係である。
 SIMCITYでは水源においてのパラメータは「汚染」があるか「淡水/塩水」であるかが水利用に影響をもたらし、水源が汚れているとポンプの給水量が落ちたり、汚染が広まったりするが、上流から汚染が来るなどのようなことは起こらない。また、処理場がなければ汚染が広まっていく(水源へ汚い水が戻る)ようになっている。
 以上のような水を収得して利用するのをオフサイト利用といい、釣りや海水浴、クルージング(SIMCITYではマリーナが再現)などの取水せず水を消費しない利用法をオンサイト利用という(そのせいかSIMCITYは水辺は地価を高くするという効果をもたらす)。
 
 現代の水利用における問題点として 1安定した供給 2水質汚濁 3水害 4水環境悪化 の4つがあげられる。 1の対策としてダム、河口堰などがあげられるが、かなりの自然破壊であるとして反対運動が盛んである。 2の対策として水処理施設や下水道の完備が進められるが、まだ日本では他の先進国に比べて下水道の整備が遅れている(人口の60%ぐらいしか提供できていない。でも水道の普及率はNo.1)。 3は最近の東海大水害に見られるとおり都市化が進むにつれて水が浸透せずに流れ出ていかないという現状がそれあらわしている。 4は水のきれいさだけでなく、心地の良い水のある空間が減ってきていることも示している。数々の問題が山積みであるがSIMCITYでは「汚染」「水辺」「供給」という簡単な仕組みであるので説明もこれぐらいとしておく。

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