『都市育成シュミレーションとしてのSIMCITY』研究レポート
レポート11〜都市のライフライン水(1)〜


 人間が生きていくためには水が必要である。その為、人類の歴史は水を中心に発達した。地図を見てくれればわかるが、かの四大文明も河川の流域から発生したところからもそれを証明してくれているだろう。近代以前は水道施設の整備が行き届かないところは人があまり住めなかった
 水というのは我々の周辺に様々な形で存在し、利用される。誰でも知ってるので水循環のシステムについては省略するが、いかにうまく、そして無駄なく水を利用するか、というのが我々人類の長年のテーマである。また、水の重要性についても今更語る必要もないと思うので省略させていただく。

 SIMCITYでは水の扱いがシリーズを追うごとに変わってきている。クラシックでは水というのは「川」「海」「湖」という地形的なものとしてだけ存在し、2000になってから水道システムが導入された。2000では建物の下にはじめから水道管が用意してあり、そこにパイプを通じて水を通すというめんどくさい仕組みで、3000になると簡略された(水道管から7タイルには水が行き渡るという仕組み)。

 ここではSIMCITYに出てくる水施設をからめて説明する

水道管 費用  都市のライフラインである。これがないと始まらない。
2000 $3 収得した水を各地区に送るのに必要。SIMCITYでは寿命が存在しないが、実際は老朽化が進んだりするので置き換えたり、内部補修したりする。わざわざ違うところに敷設する人もいないので、SIMCITY内では公益設備の予算から使われているのかもしれない。下水も上水も同じようである。参考までに名古屋市の水道管の長さは8千kmあるそうだ
3000 §5

ポンプ場 費用  基本的な水供給施設
2000 $100 2000では隣りに水のタイルがどれぐらいあるかという基準で給水量が15000〜62000ガロンへと変化する。3000は水が2タイル以上離れると効果が80%以下に減少するという仕組み。水が淡水でないと機能しない。実際は取水場(ポンプ場)で水を取り入れ、浄水場で水を飲むことが出来る水に処理するという仕組みである。
3000 §300

貯水塔 費用  いざというときのための特殊な給水施設
2000 $250 2000の貯水塔は完全に貯水する役目をもつものになっているが、3000では内陸部での水調達に使用する(ポンプ場が内陸だと水を給水出来ないようになった)。本当の役目は2000のように水を貯めておくもので、大渇水や災害時のために緊急用として水を備蓄している。応急給水施設とも呼ばれている。
ちなみに3000のように内陸の丘陵部に水を供給するものは給水塔や配水塔などと呼ばれる(土地が高いため水をいったん給水場に送って各家庭に提供)。
3000 §150

脱塩施設 費用  塩水を飲めるようにする施設
2000 $1000 地球に存在する水は14億km3あるといわれるが、その内約97%が塩水であるといわれている。川が至る所にある日本ではあまりなじみのない施設。が、日本でも脱塩施設を使っている所はあります、その多くは離島です。川がない島の場合は生活用水を近くの本島から地下を通ってくるか脱塩施設を使うか(もしくは井戸を使うか)に絞られている。当然のことながら海水でなければ機能しない。
3000 §1500

水処理場 費用  これのおかげで我々は安全で快適に暮らすことができる
2000 $500 いわゆる下水処理施設である(だけではないが)。各地区から出た汚水(下水)を集め、特殊な処理によってきれいな水とゴミに分ける。この水はかなりきれいなものになる。SIMCITYをやっていればわかるが、水処理がないと川や海が生活排水や工場排水などによってどんどん汚されていく光景を見たことがあるだろう。これは水環境の汚染を防ぐのにも役立つ。しかし、下水処理場はNIMBYをもつので、地下に設置されて上に公園を置くという例も多い。雨水もちょっとした処理を経てここへ来る。
3000 §15000
 他に水が関わるものとして他に「池」「マリーナ」「ダム(2000のみ)」などがあるが、ここでは省略する。

 ふたつのSIMCITYの水道システムには以下の様な共通点が見られる(当たり前か)。
  ・水道施設には電気がいること(当然である。人力の所はないでしょう)
  ・水を供給するのに水道管が必要(3000はなくても出来るが)
  ・水がないと地区は発展しない(水道のないホテルはない。水がなければ車も作れない)
  ・水が供給されないと引火性が上がる(ぼやも消し止めることが出来なければ上がる)
 これは現実にも言えることで、現代における水システムの特徴ともいえる。
 
 次回は現実の水システムと対比させながら考える。また、ダムはなぜ、なくなったのかもできたら検証する。

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