霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその24 七日目〜寒空の万里の長城〜 |
最終更新日 2003/3/16 |
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タクシーで万里の長城へ行くことになった我々だが、のんびり快適に、と行くわけにはいかない。というのも、これはモグリ系(系は不要)のタクシーだからだ(評判の悪い白タクではない)。 ただでさえ上海のタクシーの運転の荒さには困らされており(慣れたけど)、しかもこれは不認可のタクシーと言うことで、よく「海外危険情報」などで言われるようなひどいタクシーだったら・・・という可能性があるからだ。さらに、危ない国へ平気で行くバックパッカー、タカちんは「何かあったら車を飛び出せる準備をしておけ」などと人をビビらせます(彼はいたって本気ですが)。 ・・・・しかし、乗ったタクシーはとても中国のタクシー(というか外国のタクシー、※1)とは思えないほど運転が丁寧で、無茶な運転やパッシング等をしないので、乗っていて快適です。ヘタしたら日本のタクシー(個人的には日本はひどいと思いますが)なぞよりも快適に乗れます。安全運転を第一に心がけている所を見ると、ひょっとしたら教養のある中流家庭のぼっちゃんの小遣い稼ぎかなぁ、とも思ってしまいます。物腰もケンカ腰ではありませんし。 とはいえそれも人を油断させるためなのか?と悲しいことに疑ってしまうので、心地よくても眠ることは出来ません。しかし、しかしです、万里の長城へ向かう一直線の高速道路(みたいなもの)の変化のない景色が眠りを誘います!ここには道路計画などないのでしょうか?日本の高速道路は眠りを誘わないように直線を少なくし、道路をわざと少し曲げてドライバーの注意力を喚起するようにしているのですが、中国ではそうではないようです!こんなのありでしょうか? ね〜むれ〜♪ね〜むれ〜♪と心地よい揺れとあまり変化のない景色が睡魔に襲われつつある面々。私は爪を自分に刺したりして睡魔と闘います。よく考えたらずーっとしゃべっていれば良かったのだが。 睡眠のレッドゾーンに入りかけたその時、周りの山の上に見えてきましたよ、万里の長城が!なんか至る所にあるじゃないか、壊れているところが多いけどさ。そうして八達嶺長城の入口?に到着する。 ここ、八達嶺長城は北京市内から近い(といっても市街地から70km以上あるけど)、「歩ける」万里の長城(※2)の一部だ。電車などでも行けるそうで、長城に上がるのにロープウェーを使うことも出来るらしい。 我々はここの駐車場でタクシーを降りたのだが、なんとタクシーの運ちゃんは降りて我々を切符売り場まで案内してくれる。なんてエエ人なんだ!今まで疑ってゴメンよ!・・・こうやって騙される人もいますけど。 切符を買ったら、いついつに迎えに来ます、と迎えの時間を決め(その間どこへ行くのか不明)万里の長城の入口へ向かう。切符売り場のとなりの建物に入ったら単なるみやげ屋だというボケをかましながら、途中にあるみやげ屋が立ち並ぶ場所で(右写真)「シャチョサン!ヤスクスルヨ!」と言うお約束の客引きを振り切って入口へ。なんか切符買ってからが遠いなぁ。 それにしても寒い!さすがに山と言うこともありかなり寒い。万里の長城の手前の道路で外気温が0°と表示されていたぐらいだから寒くて当然だ。暖房の効くトイレも防寒対策として入口にアルミすだれみたいな物が掛かって中の熱が逃げないようにしている。 いよいよ入場。入口(簡易砦みたいな物)から北と南に長城が分かれているので、「とりあえず」として北の方へ行くわけだが、これがスゴイ坂!結局南の方など時間的に行ける余裕はなくなった。風も強いしさみーよー。 |
※1:一般的に海外のタクシーは運転が荒いです。中国もご多分に漏れずです。漏れるところはイギリスとかですかね? ※2:世界最大の建築物で、宇宙から見ることが出来る唯一の人工物としても有名。ガイドブックにも載っているので説明はあまりしないが、万里の長城といえば秦の始皇帝を思い浮かべるが、現存する長城は秦の時代の物ではない。英語ではThe Great Wall。 |
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それにしても観光メッカだけあって日本人のおっちゃんおばちゃんが多い。卒業旅行で来るような若いねーちゃんはまったく見ないけど。世界的に有名なだけあり他の国の外国人も多いが、中国人カップルなども意外と多い。 砦が結構あるが、砦は小便臭いのでうかつに歩かない方がいい。たぶん、寒くて我慢できなかった人がしてしまったのだろうが、トイレは所々にあるのでそこまで我慢して欲しかった(たくさんはないけど)。 |
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しかしまぁ、よくこんなもの作った物だと感心するのはもちろんのこと、高低はあると知ってはいたが、こんな険しい山の上に長城があるなどとは思いもしなかった。ビックリだね。何がビックリってそれを作ったこと以上に、そこから敵が恐らく攻めてくるであろうと想定しているところだ。 まぁ、威圧的な意味合いも多分に含んでいるのだろうが、なんとなくわかったのが、これは警備しなくてもある程度外敵が山を越えにくい作りになっている、というのは確かなようだ。というのも、険しい崖の上にさらに高く長城を築くことによって多くの敵がまとめてに侵入することを防ぐようになっているのではないだろうか? それほどまでにみんな生きるのに必死でいたってことだろうが、この規模を見ているとそれ以上にこの人海戦術は中国ならではだなぁ、と改めて感心する。 かなり急勾配で、長いので「いつになったら着くのだ?」と延々自問自答することになるので、登る人はそれなりに覚悟した方がよいだろう(別に引き返せばいいだけだが)。しかし、そんな中ひたすら歩き続けることによって、歩いた人しか味わえない感動を味わえます(宣伝文句)。 荒涼とした岩山にそびえ立つ延々と続く国と国を遮る目的で作られた城壁。こんな所で警備していた人はどんな気持ちでいたのかも気になるところだが、こんな所まで連れてこられて工事をさせられた人は「マジかよ!?」とでも思ったのだろうか?千年の後、様々な国の人間が集まりお金を払って登るなど考えていただろうか? 万里の長城と言えば権力者のエゴのようにも思われるが、長城がなかったらもっと人が死ぬことにもなっていたのかも、と考えると難しいようにも思う(考えすぎだが)。兎にも角にも、人はその時代時代で自分が最善と思うことをしてきたのだろう。 今、我々が楽しみながら歩くことを最善と思っているように。 国破れて山河在り 城春にして草木深し ふとこんな詩(※3)が頭をよぎります。続きはよぎらないところが教養のなさをアピールしているような物だが、そんな教養のない頭で考えると、もうこの長城は長い争いの歴史を経て山河の一つになれたのかもしれない。 |
所々(というかほとんどの)城壁に落書きがしてあったり、削ってあったりするが、そんなのは論外である。ある意味城壁を作らせた権力者よりも非道い行為であるとも言える。 ※3:中国、唐時代の詩人、杜甫の「春望」の一節。 |
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今日の笑える一コマ ビアガーデンならぬベアガーデン・・・熊牧場か |
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《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました) 入場料(学割):15元(210円)ぐらい |
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