霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその22

     六日目〜いざゆかん、北京〜
最終更新日
2003/1/9
 
 景色を堪能した後に下に降りてみると、隣接するビルの中でどうも金茂ビルの歴史(短いけど)や資料、写真を展示しているコーナーがあるので(無料なので)見てみる。どういったプランがあったか、などが掲載されているので、好きな人は楽しめるだろう。

 こんなに歴史の浅いビルでも、日本とは違うからその周辺の変遷はもの凄い違いを感じる。

左上:金茂ビル内部。思いっきり空間があることがわかる。

上:夜の金茂ビル。何故かホテル部分に明かりがない・・・時間が悪いのか、入っていないだけか。

左:隣のビルのアトリウムホール。近未来的なデザインでありながらも迎春が垂れ下がっている光景を見ると何故かほっとする。
前回あれだけ褒めておいてなんだが、とっても個人的な意見を言わせてもらうと高層建築は嫌いである。とっても人間くさくなく(ある意味人間らしいが)、都合のいいこじつけ的理想がふんだんに盛り込まれているからというのもあるが、なによりも建築家が己の実績のためにどこの国でも通用するような調和のない自己満の設計が多いからである。

でもホントは好きだったりするのだが、やはり「ポスト」モダニズムといういかにも正しそうに見させようとする思想は嫌いである。

もっとも、今ごろ高さ比べを競っているのはアジアぐらいだったりするという現実も問題。その思想を持ち込んだのは日米なのだが。
でもまぁそれがアジアらしいという皮肉な結果をもたらしているから楽しんでたりもする。

浦東新区はへんてこりんな高層ビルがドンドン出来ているぞ。へんてこりんは余計?
 さて、そろそろマハとの集合予定時間なので、寮へ戻ることにしよう。
 と、その途中、中山公園のバス停でバスの衝突事故があった。バスによるバスの衝突事故など日本ではあまり考えられないが、ここでは運転が荒れているので当然の結果だろう。バスが同じ路線のバスを抜こうとするぐらいですからねぇ。

以外と普通な警官の格好

 途中の超市(スーパー)で今夜の北京行きの列車の中で食べる夕食&朝食の水やパンなどを買って、寮へ帰り、マハと合流。やっと会えたよ(会う気があったのかと突っ込まれそうだが)

 何も知らない我々は、マハを中心に打ち合わせをして上海駅(※1)へ行くことにする。二日ほど寮を留守にするわけだが、大して高い料金でもないので借りた状態のまま荷物を置いて、必要な分の荷物をリュック等に詰め込んで出発。
 
 上海駅に行くにはいくつかの方法があるらしいが、今回はいつものごとくバスで中山公園駅まで行き、地下鉄ではなく高架線(明珠線というらしい)に乗っていく(右写真)。
 この明珠線、新しいから建物や車両は恐ろしくピカピカなのに、何故か切符はバスのように。ローテクだ・・・。だから改札もちんたらちんたらしている(今は違うと思うが)。


 珍しく余裕を持って上海駅に到着したので、駅構内をブラブラする。上海駅はやはり中国で一、二を争う駅らしく巨大で、活気にあふれている。さすがに外国人や金持ちも利用するためか、一等寝台(軟臥)では入口が違っていい待合室もあるらしい。
 また、駅に入る前にX線検査もある。なにやら船で入港してきたときよりも厳しい感じだった。

 我々が乗る上海⇒北京行きの深夜特急は20:00発と言うことなので、まだ1時間は時間があるので駅の構内を探検。というのも、出発時刻少し前になるまでプラットフォームに入れないような構造になっているからだ。飛行機のような感じだ。
 だから構内を回るしかないので、色々な土産もの屋を見て回り、マハオススメの「ひまわりの種(食用)」を買ってみる。マハが言うには、かなり美味いらしいが、ちょっと眉唾物である。

 なんと、構内に熱湯が出るお湯出し場(?)があった。時間をつぶす間にカップラーメンをすする人が多いようだ。こんな物があるならラーメン買ってこれば良かったかもしれない。なんかお湯が異様に白いけど(汗)。
 待合室(かなり広い)ではテレビをやっている。何を言っているのかわからないが、どうもトイレの話らしい。チップを上げるのかあげないのかとか使用料を取るかとらないかをどうこういっているらしい。トイレ=金がかかるのが中国だが、観光客を増やすためにも世界の流れ(よくしらんけど)に従って金がかからない「公衆トイレ」を、という動きがあるようだ。でも言葉がまったくわからないのでホントかどうかは定かではないが(そんなんでいいのだろうか?)。


 さて、出発30分前なので受付(チケット見せるだけ)をし、プラットフォームに降りる。
 寝台車のチケットだから当然乗る車両など決まっているので、その車両の入口に行くと駅員が、チケットとベッドの番号が書いてあるカードを交換してくれる(というかとられる※2)。

 無愛想な駅員にちょっと戸惑いを感じながら、車両の中に入って驚いた。

 かなりきれい。かなりすごい。かなりかっこいい。

 イヤ、マジで。予想外だ。
 私はもっとボロっ臭い、錆びて穴が開いたような車両を想像していたが(今時ないだろ、そんなの)、全然そんなことはない(当たり前だ)。日本の寝台車両に乗ったことがないから比べられないが、これは想像以上だった。

 汚らしいベッドがただずらーっと並んでいるのかともドキドキしていたが、パリッとしたシーツに、布団、枕付き。しかも、荷物ラックも(普通の電車のものだが)あるし、寝台じゃない側の通路になる壁面には小さな机と、折り畳みの椅子がついている。ベッドは3段になっているのだが、一番下の段は椅子のようにも使える。トイレの前には洗面台があり、他にも給湯器があるのでみんなコーヒー作ったり、ラーメンを作ったりしている。こんな装備品があるならラーメンにしておけば良かったな、と改めて思う。






※1:1987年に改装されたと言うだけあって新しい駅。市街地の北側に位置する。上海西駅、上海北駅というのもある。なんと駅にはいるのにX線検査などのセキュリティチェックがある。
※2:どうも偽造して乗り込む人がいるからだろうか?ベッドの証明書みたいなもので、到着する前にまた回収する。その時に列車のチケットを返してくれる








これがチケット。燦然と輝く306元
(4300円)。距離から考えれば激安

出発前の列車の乗客しかいないプラットフォームはどこか寂しげ

上海⇔北京の寝台列車。パッと見は普通のより背が高いぐらいかな。

思いのほかきれいで新しい車内。さすがに多くの人が乗っている。
 防犯上(と言うかタダ乗り防止)の理由からか、トイレや隣の車両は電磁ロックが掛かっていて、出発するときまでは開かない構造になっているようだ。まさかこんな仕組みだとは・・・・トイレは木の扉で、今にも外れそうな鍵が付いているだけだと思っていたのに・・・・・想像以上だぜ、中国!

 チケットが2段目と3段目(※3)しか残っていなかったらしいので、さすがに3段目は狭かったが、人の目にも触れられないのでゆっくりと眠られそうだ(2段目は歩いている人の目線)。と、その前にパン食って、例のひまわりの種でも食べよう。

 ・・・・ひまわりの種、激ウマ!これも想像以上でした!

 こんないいことばかりでいいのかなぁ?何か落とし穴がありそう・・・と思いながら10時になったので消灯した寝台車の中で、椅子に腰掛けながら明かりのない外の景色を眺める。中国の田舎はホント何もないな。


 つーても15時間も掛かるんだよなぁ、冷静に考えれば。寝てりゃわからんけど、遠いねぇ。でも距離(約1300km)から考えれば凄い安いよなぁ・・・・ここの物価に慣れると恐ろしく高いけど。確かに北京へ行くことは一般の人からしたら贅沢なことなんだろうなぁ。これ以下のクラスでもね。





※3:1段目に比べると安い。上に行くほど安い構造。3段目の方が当然天井が近いし、窓も見られない高さ。ぐっすり眠りたい人向け。かなり高い場所なので盗難にも遭いにくそう。
《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました)
 地下鉄:3元(42円)
 バス:1元(14円)
 電車:2元(28円)
 夕食&朝食:15元(210円)ぐらい?
 ひまわりの種等:8元(112円)ぐらい?
 上海⇒北京深夜特急券:306元(4284円)
 
 
 
<<その21「これが世界の高さか!」戻るその23「北京は一体どんな街?」>>