霞拳志郎もびっくりの魔都上海と北京ダックその20

     六日目〜パリポリねーちゃんバス〜
最終更新日
2002/11/19

 毎回のごとく、約束事のように約束を守らない我々は、「ま〜しゃーないて(※1)」と言うノリで開き直り、次の目的地である浦東地区(※2)へ向かうわけだが、ここから地下鉄で行くのも芸がないので(この辺は今まで見た上海と違う雰囲気なので)目の前にあるバス停からバスで行くことにする。

 そこで、バス停に書いてある路線番号をガイドブックにて確認するものの・・・この路線が載ってねぇ!まぁここには路線が一個しかないし、目的地がわかっているからその名前が書いてあるバスに乗ればいいんだ、と気楽に構えて、そこに待ちかまえているバスに乗ろうとする(始発ポイントなので)。しかし、空調であったために乗るかどうか迷う。たかだか14円にも満たない違いではあるが、ここ上海では大きな違いだ。

 しかし、とてつもなく何もない(というかまだ開発途中)所なのでバスが待っててもきそうにないと判断し乗ることに。誰も乗ってません。乗っているのは運転手のおっさんと、なぜかスナック菓子の袋を手に抱えた車掌のねーちゃんがいるだけです。怪しいです。日本でこんなの見つかったら客に文句を言われそうですが、我々が入っても隠す様子がないところを見ると日常茶飯事のようにやっていることなのかもしれません。

 っていうか菓子食ってます!


 ・・・・なんだ、このねーちゃん。

外見はなんとなくこんな感じ。
写真撮ってませんので・・・
いや、変わってるのはねーちゃんだけじゃありません。なぜか内装に飾り付けがしてあります。また、バスの前輪の上の部分がイスではなくて、人口芝生(園芸用)がひいてあります。何なんですかこのバスは、普通のバスでは考えられません。こういうと大変うさんくさんそうなバスですが、これまでの人生で乗ってきたバスの中で一番綺麗です。新型バスです。窓が台形で、先進的なデザインのバスなのです。それなのに中国風の内装でいいのか?

※1:色んな所で方言として取り扱われている謎の「仕方がない」。関西弁というのが一般的か。

※2:浦東新(開発地)区。昔は上海とみなされなかったのだが、今や上海経済の中心的役割を担うことになった地区。サントリー烏龍茶のCMでよく写る高層ビル街もココ。プードンと読むらしい。






窓の方にもチャラチャラと・・・

癒し効果を狙ってるんでしょうか?

 「なんなんだこのバス?」と思いながらもバスは出発します。しかも、そのねーちゃんは一応車掌なので、出発するときに窓から顔を出し「出発しまーす」というようなことをいうのですが、その時も片手にお菓子を抱え、パリポリお菓子を食べてるのです。こんなんアリですか?


 動き出したバスの前を見てみると、運転手がおもむろにコンパネに手を伸ばして何かをいじると、なんと普通の路線バスなのになぜかBGMが流れ出しますしかも曲は「Butterfly(※3)」!!DDRかよ!・・・こんな路線バスは初めてです、いったいどうしろというのでしょうか?バス内でリズムを刻めというのでしょうか?やはりこちらでもコ○ミゲームの影響が強いのでしょうか。


 ・・・・っていうかこれ普通の路線バスだろ!?

 まったくわかりません。謎だらけです。上海の黄浦江(川)を超えるとこうなるのでしょうか?別世界です。イリーガルです。お役所臭さがちっとも感じられません。
 そんなバスですが、まだまだ人が住んでいないのか、途中で乗ってくる人はちらほらしかいません。しかし、そんなことよりも気になるのがひたすらパリポリ音を立てながらお菓子を食べ続ける車掌のねーちゃんです。裏でこっそり食べるどころか、バスの降り口の前のイスに座ってパリポリパリポリパリポリパリポリパリポリパリポリ豪快に音を立ててお菓子(ポテトチップらしき物)を食べているのです!
 強者です!なぜかこっちが気を遣ってしまいました。この光景は言葉では伝わらん!と思ってカメラを向けたら目が合ってしまい断念。

 しかも、食べ終えたらしく、袋が空になると「やっと終わったかな?」と我々が会話をした瞬間おもむろに次のお菓子を取り出し、また食べ出すのです!


 ・・・まだ食うのかよ!!


 もう違う国に来たみたいです(違う国だけど)。こちらの常識は通じません。っていうか、そんなに菓子を食う人はあんまり見たことねーぞ、しかも仕事中堂々と。しかもそれは、遠足などに持っていく小さいサイズの袋ではなく、普通サイズの袋です。・・・・もうつっこみ様がないため、このバスを「パリポリねーちゃんバス」と名付けて納得することにしました。
 ふと思ったのが、「運転手はそれでOKなのか」ということなんですが、BGMのダンス・ダンス・レボリューションのCDを聞いてノリノリ(死語)で運転しています

 しかもよく見ると運転手もなんか食ってます。運転席右横に袋が掛かっていて、ジャーキーらしきものをその運転手はかいつまんで食ってます。
 この似たような習性と、会話している雰囲気を見て我々が出した答えは「あの二人は親子なのではないか?」というものです。といっても中国語がさっぱりな我々は聞くことも出来ず、「パリポリねーちゃん親子バス」は再開発で綺麗になった街並みを徐々に目的地に向かって走っていきます。


 しかし、まだまだ再開発といってもいわゆるハコモノ(※4)だけ完成して人があまり住んでいないのか、乗ってくる人もあまりいませんし、車もあまり走っておりません。それだけにこのバスの親子(勝手に想像)の一挙手一投足がかなり目立ちます。しかし、他のお客さんは何もいわないどころか見もしません。・・・ここでは当たり前なのか、それともこの路線は彼らしかやっていないのだろうか?バスも個人経営なのかなぁ?








※3:コナミから出された体感アーケードゲーム「ダンス・ダンス・レボリーション(リズムに合わせてステップ踏むゲーム)」にて最も人気の高い曲の一つ。「アーイヤイヤ・アーイヤイヤ♪」でわかるかと。原曲は女性デュオSmile.dkのもの。間違っても宇都宮隆の曲のことではない。
※4:いわゆる「仏作って魂入れず」と揶揄されるタイプの建物開発。一般には利用されないけど物だけはある物を指す。バブル期の行政によく見られた。ってこの説明の方がムズカシイね

↑謎のオブジェもお約束です↑

変わった形の建物ばかり→

 まさか単なる路線バスの話で旅日記1ページ分書けるなんて夢にも思いませんでしたわ。ハプニング最高!
 
《参考》今回使用したお金(円換算は14円にしました)
 パリポリねーちゃんバス:2元(28円)
 
 
 
      <<その19「ジャンプを探せ!」戻るその21「これが世界の高さか!」>>