*砂糖紙*   最新号:2001/01/27


     色辞典

 その色について、毎回砂糖の主観的な色と客観的な文献によって構成されています。

 なお、色と名称については、TOMBOW社の色鉛筆シリーズ「色辞典」を参考にしました。

*色名簿*
[珊瑚色:coral pink]

5R  7/9

 

*    雪のにおいと北風に震える1月。   *

早く夏になれ!なんて思ってしまう。

南の島、青い海と珊瑚礁、綺麗な太陽。

そんな希望も込めつつ、今回は珊瑚色。

珊瑚と聞いて一番に思い出したのが

およげたいやき君♪にでてきた“モモイロサンゴ”

ゆらゆら手を振っている、あのアニメーション。

綺麗な海に広がる珊瑚礁もあんな風なのだろうか。

*    ・・・以外に知らなかった珊瑚の話。    *

 珊瑚色は珊瑚珠色とも言われ、

珊瑚の珠玉の色のような明るく華やかな赤橙色をさす。

宝石としての珊瑚は、ある種の動物の石灰質の骨格であることから、

珊瑚を骨格とする動物のこともサンゴと称するようになり、

今日では、宝石にも動物にもサンゴという名称が充てられるようになった。

珊瑚には白、桃色、赤の三種があり、赤の濃いものは血色とも呼ばれた。

一般的には、赤珊瑚の中の色票程度のの色をいう。

珊瑚の屑を絵の具としても用いていたこともわかっている。

宗代では印肉の色にこれを用いたとのことである。

英語のコーラル・ピンク(Coral=サンゴ)も

ギリシャ語に由来する古い色名である。

口紅の色などで耳にしたこともあるだろう。

人間の頬や唇の色に確かによく合う優しい色である。

サンゴは分類学的にはイソギンチャクと同じ刺胞動物である。

その成長速度によって、サンゴ礁の形成に役立つものと

そうでないものに区別され、前者を造礁サンゴ(ハードコーラル)、

後者を非造礁サンゴ(ソフトコーラル)と呼ばれる。

一般に珊瑚と呼ばれている宝石珊瑚が非造礁サンゴの八方珊瑚である。

水深100〜1200メートルの深海に生息しており、

1センチ伸びるのに数十年の歳月を必要とする。

写真などでよく見る、南の島のきれいなサンゴ礁のサンゴは

加工するには柔らかすぎて装飾品には使えないそうだ。

現代では、珊瑚は宝石としても、色名としても

あまり馴染みがなくなってしまったが

エピソードを見ると古くから愛されてきたものだとわかる。

ただ、色名として文献には載ってないらしいというのが

不思議なところである。

 

*   こうして、この頁をやっと更新することができたが   *

次の回から、少し違う形式にしたいと思う。

ただ本から拾ってきた話を載せるのはやはりおもしろくない。

まだ、全く見通しがついてないため

ここで一時、休載としたい。

*   次の回があれば、またお会いしましょう。   *

 

参考文献:

『日本の伝統色−色の小事典』(日本色彩研究所編/福田邦夫著)読売新聞社

『草木染 日本色名辞典』(山崎青樹著)株・美術出版社

『色々な色 』(近江源太郎監修/ネイチャープロ編集室)光琳社出版

『原色染織大辞典』(板倉寿郎監修/他)株・淡交社

『色のイメージ辞典』(岡部慶三監修/同朋社編集・制作)同朋社

『色の手帳』(尚学図書編集)株・小学館

『日本色彩辞典』(武井邦彦)

『色彩ワンポイント10−色名とそのエピソード』(日本色彩研究所編)日本規格協会

第一回目:薄紅

第二回目:桜色


*砂糖紙*
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