*砂糖紙*   最新号:1999/4/16


     色辞典

その色について、毎回砂糖の主観的な色と客観的な文献によって構成されています。

なお、色と名称については、TOMBOW社の色鉛筆シリーズ「色辞典」を参考にしました。

* 色名簿 *

[薄紅:orchid pink]

6RP  7/11

 

*     うちの玄関には今、ヒヤシンンスが飾ってある。     *

ピンク色のヒヤシンス

これを見たときに、ああこれが薄紅だ、と思った。

薄い黄緑色の茎に開く淡い紅の花びら。

*     私は薄紅の「薄」に、花のはかない色を感じる。     *

昔から日本では、ピンク系の色を紅のさめた色ととらえていたようである。

紅の激しい色の印象との差を思えば

それ単独の色名が昔から在っても良いはずだ。桃色でさえも

英語のピンクや他の赤・青などの基本色名のようには扱われていない。

この色名は主に江戸時代頃から使われていたそうである。

日本の伝統的な色名というのは染め物の色である。

同じ色と認識されても、時代ごとによく使われる色名は違ったようだ。

   

そもそもこの[薄紅]という色自身が、私の調べた限りでは

(2冊のみということだが)2種類あ在るようなのだ。

字は同じだが読み方が本によって違い、

[うすべに]、[うすもみ]この2つは明らかに違う色として区別されていた。

データ表にもあるとおり、[うすべに]は薄い紅で平安の時代には

[薄色]や[聴色(ゆるしいろ)]と呼ばれていたようだ。

[うすもみ]は黄色がかった桃色程度の色(この背景はその色を参考にしている)。

[うすくれない]と読む本では、[褪紅(あらぞめ)]などと並べてある。

(ちなみにこの色は万葉集では、浅はかな心になぞられている。)

実際に布を染めないとみられない色のため、正しく確認するのは難しい。

今後も追跡して調査し随時色名簿の方に追加訂正して行くつもりだ。

     

この根本の紅という色も、色の美しさだけでなく、それに魅了された人々によって

(染料の紅花も高価であったことから)身分的な意味も含んでいたらしい。

[薄紅]という色名も人々が紅を意識していたためだろうと言える。

* 余談であるが紅というと、私が思い浮かべるイメージは紅梅である。 *

もう散ってしまったかと思うが、私は桜より梅の方が親しみがある。

それは、うちの庭に紅梅があるからというのも大きいのだろう。

梅のあの香りがすると、春が来たなとわかる。(勿論[紅梅」という色もある)

今散っている桜もとてもうつくしいので、

*  次は桜色か、珊瑚色あたりを特集しようかと思う。  * 

 

 

*砂糖紙*
表紙へ目次へ