■Ⅳー3.社会での対策


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 ●ACTの誕生

 テレビで描写される暴力と、子供向けの食品コマーシャルに憤慨して、すべての子供のテレビ視聴経験を改善するために運動がおきた。子供をテレビから引き離すことは出来ないので、テレビを改善するしかないと考えた結果である。こうしてACT(Action For Children's Televition:子供のテレビのために行動する市民の会)を結成した。ACTがテレビ産業に圧力をかけた結果、いくつかの重要な「自主的」改善が行われた。その主なものは次のとおりである。

・土曜の朝の子供向け広告時間の40パーセント短縮。
・子供向け番組中のビタミン剤広告の廃止。
・子供向け番組の多様化。
・子供向け番組中の多数の参加広告の廃止。



 いまや、社会のあらゆる側面において珍しいことではなくなっている明らかな違法行為とは別に、法律的には正しくとも人道的には誤っている活動が世の中に氾濫している。放送局とスポンサーが共謀して、社会的に無責任な番組を制作するとき、その活動はそれ自体一つの暴力とみなされねばならない。

 子供に対して社会的責任を取るため、テレビは何らかの形で子供の基本的欲求に奉仕しなくてはならない。テレビが描写する暴力が、一体どこの、どんな子供の、どんな欲求に奉仕するというのだろうか。最も言語道断なのは、「娯楽としての暴力」というばかげた考えが浸透していることである。暴力を娯楽に使おうとする放送局に、なぜそれが子供と社会一般の身体的・感情的・知的・精神的健全さに寄与するのだろうか。



●番組多様化を目指して

 番組の質を改善するための一つの手段は、番組の多様性を促進することである。今日、テレビはより多くの商品を売りつけるために、各番組に出来るだけ大量の視聴者を引きつけることを目指している。このため、テレビは出来るだけ大衆の好みを利用しているが、数の上では何百万人にも上る社会的少数派は、自分たちの好みとニーズが無視されていることを知る。番組の多様性が促進されれば、視聴者に選択権が与えられる。良い番組が選択されるとは限らないが、新しい視聴機会がより多くのニーズを満たすことは間違いない。



 不完全な知識しかなくても、親は、子供の健全な成長のためにこの新しいメディアをどう利用したらよいかを判断することが出来る。私たちはテレビを研究し、自分の生活の質について考え、判断し、決定することが出来る。私たちは、現実経験を拡大することにより、ぼんやりテレビを見ている時間を制限することにより、精神を豊かにする多様な番組を作ることにより、テレビを有効に活用することが出来るだろう。