■Ⅳー2.学校での対策


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 これからの世代に、あらゆるメディアを理解させるための能力と同時に、読み・書き・算数の能力もマスターさせるというのは、不可能なことではない。しかし、そのためには、学校のカリキュラムの範囲を広げ、構造を改めなくてはならない。この目標に向けて、学校はまず次の様な対策をとるべきである。

・テレビ世代の子供の特別な欲求を知ること。
・直接的経験を拡大すること。特に、手と身体の使用を促進すること。
・教室でのテレビ視聴を適切に導入すること。
・批判的な視聴能力を教えること。これは特に高学年の生徒に必要である。
・一つの表現手段としてのテレビの利用と、他のすべての芸術およびメディアの利用との関連を教えること。
・読み、書き、聞くための能力を再発見させる。
・テレビから受ける誤った情報をどう処理するかを教えること。
・家庭での受動的なテレビ視聴を制限するため、親と共同で対策を講じること。



●読書の見直し

 読書はテレビが提供する安易な娯楽に敗退しつつあるが、しかし、テレビ経験によって弱められた倫理的思考、注意力、想像力を回復させるため、読書を再発見する必要が生じている。そして、読書能力が、学校生活と人生を有意義に送るための不可欠の条件であることは、今も昔も変わらない。以下は、子供に読書の楽しさを教え、読書能力を向上させるための確実な(十分実証済みの)方法を提案する。

■教師は、学校で子供に本を読んで聞かせるべきである。(同時に家庭でもそうするように親に奨励すべきである。)これは幼稚園からはじめて、出来るだけ長い時間にわたって実行すべきである。本を読んでもらう子供と、うまく読むことの出来る子供との間に関係があることは証明されている。
■幼児には子供向きの詩を繰り返し読んでやり、それにメロディーやゲームをつけて暗記させることが大切である。
■教師は親に、子供の読書欲を刺激するために、様々な本を紹介してやるべきである。
■一日に四回(一回が10分程度)の読書時間を設けるべきである。この時間には、教師も校長も含め、全員が何かを読む。海外のある学校で全生徒と全職員が一日に4回、10分間ずつの読書時間を採用してから、生徒の読書能力が目に見えて向上したという。
■教師は生徒と親に、毎日、テレビ視聴時間と同じだけの時間を読書に充てることを奨励すべきである。(これは非常に難しい課題である。)
■想像力を高めるためにラジオドラマ(もし放送されていれば)を聴取することを奨励し、また、注意力を高めるために教室で録音テープを利用すべきである。

 「毎日テレビを視聴する人は、テレビとの付き合い方を学ばなくてはならない。テレビは毎日、人々の精神・感情・価値観に影響を与えているからである。」適切な指導を受ければ、私たちは自分たちに強い影響を与えているテレビ技術を利用する方法をマスターすることが出来るだろう。しかし、これは多大な経験を要する難しい課題なので、年少の子供は教育を通して、テレビの様々な悪影響から守ってやらなくてはならない。