■Ⅲー6.社会関係に及ぼす影響


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 ある研究で、テレビ番組とコマーシャルにおける黒人の描写を分析し、これらの番組を見る視聴者は黒人とは次のような人間であると推測するだろう、といっている。  

1、動物よりも数が少ない。
2、白人を指導することは決してない。
3、白人よりもよく食べる。
4、互いに積極的な交わりを持つことが少ない。
5、家庭生活にあまり重きを置かない。
6、賃金を目的に働くことが多い。
7、郊外には住まない。
8、他人を楽しませる。
9、行動や状況や事件を先導することも、支配することも決してない。
10、技術を利用する能力に欠ける。
11、空間を利用する能力に欠ける。

 私たちの考えでは、テレビは不快なメカニズムを通して黒人に目に見えない攻撃を加える非常に多数の媒体の一つであるに過ぎない。メディアだけを取り上げても、新聞・ラジオ・映画・掲示板・地下鉄のポスター・教科書などにおいて、このような目に見えない攻撃が毎日行われている。黒人の子供または白人の子供が、これらの目に見えない攻撃と攻撃的策略を正しく判断することが出来れば、彼らはもっと違った考え方をし、違った行動をとるようになるだろう。テレビは、人々が他の人種に対してどのように行動すべきか、そして他の人種はそれに対してどう行動すべきかを教える上で、計り知れない影響力を行使する。すべての人間がこの過程を認識すれば、もっと調和のある公平な人間関係を確保するために、それをどう修正したらよいかを知ることが出来るだろう。

 テレビの影響についての認識を高めれば、私たちは、テレビの描写の「正当性」と「公平さ」をより正しく判断することができるだろう。一部のテレビ局は、1930年代以降の特定の古い映画を放映しない方針をとっている。人種的少数派その他の一般市民が、これらのえいがにおける人種偏見に満ちたギャグや娯楽のための不必要な暴力の乱用を問題視し、放映を停止させるための圧力をかけたからである。たとえば、日本人やドイツ人を愚かな、あるいは邪悪な人間として描いている40年代の戦争映画が、市民団体から攻撃を受けている。

 子供に感受性の鋭い、人生を大切にする人間になってほしいと願いながらも、私たちの大部分は、年々ますます長い時間をテレビ視聴に費やしており、私たち自身の感情が鈍くなってきている。アメリカ=世界で一番豊かな国=のすばらしいメディア技術が切り開く将来に強い期待が寄せられているにもかかわらず、今日のテレビは、卑しい非難や、敵意、侮辱、セックス、暴力の供給者になっている。これが現状である。そして、子供はすべてを見つめているのである。