リアム・オ・メンリィ(ホットハウス・フラワーズ)

LIAM O'MAONLAI (Hothouse Flowers)

リアム・オ・メンリィがやって来る。96年にはドーナル・ラニー・バンドの一員として、そして昨年はALT、ホットハウス・フラワーズで来日している。今年はついにソロアクトとしての来日である。しかも東京、大阪、京都、岡山のライブハウス公演に加え、沖縄、佐渡、福岡などでは公設市場屋上や能楽堂での公演を行う。きっとバラエティに富んだ内容になることだろう。私ははっきり言って全部ついて回りたいくらいの気持ちでいる(無理だけど)。

Back in 80's
80年代のMTV登場による洋楽隆盛期を体験した方々にはホットハウス・フラワーズは次々と登場した新人バンドのひとつとして印象に残っていることだろう。80年代前半はニューロマンティックと呼ばれた煌びやかでルックスの良いブリティッシュ・グループが幅を利かせていたがそんな中、アイルランドからU2が登場した。政治的メッセージを込め、力(リキ)の入ったストレートなサウンドで未墾の大地を切り拓くU2はまずアメリカで成功を治め、一躍世界のトップ・バンドに上り詰めた。そしてそのU2に見い出されて彼らの設立した「マザーレーベル」からデビューしたのがリアム・オ・メンリィ率いるホットハウス・フラワーズである。
88年、デビューアルバム「People」91年2ndアルバム「HOME」発表。リアムのソウルフルなヴォーカルとピアノをメインに素朴なまでにシンプルだが力強いサウンドは人気を呼び、英国内でスタジアム級の会場でライブを行うほどにまでバンドは成長していった。この当時のホットハウス・フラワーズを私はリアルタイムで聴いていた。しかし特に肩入れしていたわけではないので93年に3作目の「Songs From the Rain」が出たというニュースは全く知らず、そのまま私の中で「懐かしいバンド」のひとつになってしまっていた。

アイルランド音楽に出会い、リアムに再会
96年、アイルランドのトラッドサイドとロックサイドのミュージシャンが集結して発表された「魂の大地〜Common Ground」が私がアイルランド音楽にハマるきっかけになったわけだが、このアルバムでリアムは「Cathain」という曲をやっている。バウロンの這うようなリズムに呪術的なヴォーカルがうねるこの曲はアイルランドよりもアフリカを感じさせる曲調で正直ピンと来なかった。しかし、このアルバムに伴うツアーでプロデューサーのドーナル・ラニー以下錚々たるメンバーがドーナル・ラニー・バンドとして来日。一流のプレイヤー達により繰り広げられるライブはとてつもない迫力でバンドが生み出すリズムは強烈であった。シャロン・シャノンのアコーディオンもジョン・マクシェリーのイリアン・パイプスも素晴らしかったがこのステージでのリアムのヴォーカルとステージングは多くの人を魅了したに違いない。両脚をしっかと開きバウロンを脇に構えて歌う「Cathain」は躍動感にあふれ血が沸き立つようなプリミティブなパワーが漲り、またアルバムではブライアン・ケネディが歌うトラディショナルの名曲「As I Roved Out」を後ろ手を組みながら朗々と歌い上げるリアムの姿は自信に満ち溢れているようで歌声は聴くものの心臓を鷲掴みにしてしまう力強さを備えていた。自身のバンドでは伝統音楽の要素を表立って出すことのないリアムだが実は彼のバックボーンとして伝統音楽の素養が確立されていることを証明してみせたステージだった。
98年になってホットハウス・フラワーズは実に5年振りのアルバム「Born」を発表。メンバーは主要メンバーだけの3人になってしまったがそのサウンドはデビュー時から変わらぬ力強くシンプルなソウル・ロックであった。そしてまったくの3人によるアコースティック編成で来日、そこに私は本物のホットハウス・フラワーズを見た気がする。シンプルなバッキングに一層映えるリアムのソウルフル・ヴォーカル、そしてホイッスル、バウロン、ミニキーボードまで駆使しながら観客をどんどん巻き込んでしまうエンターテイナー振り。オリジナルナンバーも生き生きと演奏され彼等の楽曲は時代なんて関係なしの普遍性を備えていることを確認することが出来た。そしてジェームス・ブラウンのカヴァ−なども披露しつつ、リアムがソロで参加したアルバムからのトラディショナル・ナンバーを交え熱いステージが繰り広げられた。2度目のアンコールに応えて、ひとりフラ〜っと登場したリアムは無伴奏の伝承歌で最後にもう一度、観客を圧倒してしまった。
3人だけのホットハウス・フラワーズに大満足しながらも、「トラッド・ナンバーを決めまくるリアム・オ・メンリィ」を観たい!という想いが一層、強くなってしまった。そして、

リアム・オ・メンリィ、ソロ来日決定!
日程については下の通り。ゲストも多彩で佐渡では和太鼓、沖縄では三線(蛇三線)、東京公演にはリアムの学友でもあったKiLAというバンドのメンバー二人。その他、オープニングアクトしてヒートウェイブの山口洋。東京、関西公演はオリジナルメインの回(大阪、東京23日)そしてトラディショナルナンバーをメインにした回(京都、東京22日)と別プログラムになっている。
本当に全部観に行きたい。どっかTV番組でおっかけてくれないかな、マジで。
追加情報として、年内に98年の日本公演の録音を含むホットハウス・フラワーズ初のライブアルバムが2枚組で発売予定。さらにさらにリアム・オ・メンリィはトラディショナルをメインにしたソロアルバムを製作中である。

リアム・オ・メンリィ 来日公演
9/10(金) 佐渡 小木町/花の木   (問)鼓童:0259-86-3630
9/11(土) 佐渡 金井町/大慶寺   (問)鼓童:0259-86-3630
9/13(月) 沖縄 石垣島/公設市場屋上(問)ハ−ベストファーム:098-898-4038
9/15(祝) 沖縄 那覇/リウボウホール(問)ハ−ベストファーム:098-898-4038
9/16(木) 福岡 博多/住吉神社能楽堂(問)CLICK:070-6712-1230
9/17(金) 岡山 オルガホール    (問)NO FEAR NO MONEY企画:086-275-0846
9/18(土) 大阪 梅田バナナホール  (問)バナナホール:06-6361-6821
9/19(日) 京都 磔磔(たくたく)   (問)磔磔:075-351-1321
9/22(水) 東京 ラフォーレ原宿(6F) (問)プランクトン:03-3498-2881
9/23(祝) 東京 渋谷クラブクアトロ (問)プランクトン:03-3498-2881
詳細は プランクトンHP

リアムを聴く

ホットハウス・フラワーズのアルバムで
People
(1989)
Home
(1991)
Songs From The Rain
(1993)
Born
(1998)

Hothouse Flowers official HP


ソロ参加のアルバムで
Bringing It All
Back Home(1991)
Common Ground
(1996)
Long Journey Home
(1998)
Waking Ned Divine
(1998)

●「Briging〜」ではトラッドの名曲「The Lakes Of Ponchartrain」を熱唱(Hothouse Flowers名義)
●「Common〜」で演奏している「Cathain」のオリジナルは東京公演ゲストのKiLA。
●「Long〜」では「White Potatoes」という曲で鳥肌モンのシャーン・ノス・シンギングを披露。
●上記3作ともリアムの参加は一曲のみだがいずれも最高級のアイルランド関連企画盤。買って損無し。
●「Waking〜」はアイルランドが舞台のコメディ映画のサントラ。リアムは3曲でヴォーカル担当。
'99.07 Gen 'MacGuiness' Ikegami

リアム・オ・メンリィ ジャパンツアー1999
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