08 <+ 2001/07 +> 06
 2001/07/29

 30歳を迎える時って、いわゆるひとつのアニヴァーサリーのように、なんだか妙にドギー&マギー((c)クラムボン)してたものです。しかしあれから1年が経過し、また1つ年齢を加えることになった7月27日、私は普段とまったく変わらない、いや、普段以上に通常営業の心持ちで朝を迎えていました。これは照れ隠しとかそんなのではないですよ、今年は本気で忘れていたのですよ、自分の誕生日。

 もしかしたら、歳をとるってこういうことなんですか?いや、ひょっとしたら老化現象ですかコレ?わーヤダヨー。つーか、職場に行って真っ先に男から祝福されてしまったんですけど(この時気づいた)、何がイカンってこれが一番イカンなと思いました。

   *

 最近のお買い物。

 プルマン 『VIEWFINDER』。青山陽一ライヴのオープニングとクロージングでかかっていたヤツっていうのが、実はコレ。アメリカン・フットボール、ボスコー&ジョルジュ、そして先月聴いたSUBTLE。私はここら辺のサウンドを「ポスト・ネオアコ」と勝手に呼んだりしてますが、このプルマンもそんなテイストを持ったバンドのひとつだと思います。機械的に鳴り響くリフレインとリズム、そしてそれに乗る仄かに暖かいギターの音色。そんな人の体温にも似た微妙な温度は、人肌恋しい私の耳にとても心地よく染み渡っていきます。「シカゴ系って最近つまらないよねぇ」なんて声も聞こえてくる昨今、そんなことを曰う方の背後でこっそり聴いてみたい、そんな作品です(←性格悪すぎ)。

 続いては、待ってましたのノアルイズ・マーロン・タイツ 『Six Pieces For Dancing』。仙台でもようやく店頭に並ぶようになりました。オールドタイミーなサウンドにハンド・ソーがビョーンビョーン(笑)。最新型というわけでもない、また古くさいというわけでもない、いわば先人が描いた未来(レトロ・フューチャー)のような不思議な音空間。sasakidelicさん、『カッコーの巣の上で』のオープニングテーマが「ノアルイズみたいですね」と言った訳、ようやくわかりましたよ。

 そしてフェイ・ウォン 『separate ways』。例のドラマの主題歌です。クレジットを見てビックリ。作詞作曲はなんとカジヒデキです。オリジナル・ヴァージョンはenversというグループのアレンジにより奥行きのあるサウンドに仕上がり、カジ色が一掃されているので、ホントまったく分かりませんでした。ていうかenversって一体誰なんですか?知っている方がいたら是非教えてください。

   *

 80年代をMTVで過ごした皆さん、ココはご覧になりましたか?私はあまりの懐かしさに、ベスト100のうち30本くらい観ちゃいました(笑)。もっとも、ランキングもなかなか興味深くなっていて、それだけ見てても十分楽しめるものになってます。まぁ個人的にはピーター・ガブリエル「スレッジハンマー」がベスト1なんですが、でも1位と2位があれとあれだったら、まぁ納得かな。


 2001/07/25

 日常でもない、非日常でもない、そんな白昼夢のような1日。小学生の頃の「夏休み」は、そんな不思議な空気が流れる毎日だったように思います。でもいつからか、私にとって「夏休み」は単なる「サマーホリデイ」になっていました。日常と非日常はカードの表裏となり、ただそれを裏返すだけの「夏休み」。仕事をするのも一生懸命なら、遊ぶのも一生懸命。強迫観念で過ごす余暇。あるいは「日常」を忘れるために無意識のうちに作りあげられた「非日常」。

 5年前の夏、以前勤めていた会社に嫌気がさしていた私は、友人に誘われるがまま、チベットに旅立ちました。空に向かってそびえ立つポタラ宮、賑やかでどこか優しい八角街、エロティックかつ荘厳な尼寺アニ・ツァングン寺、雄大に流れるヤルツァンポ河、曼陀羅世界そのままのサムイェ寺。そこで私を待っていたのは、「異文化」なんて言葉では語り尽くせない、まったくの別世界でした。でもそこで感じることのできたゆったりとした懐かしい空気、これは今思えば紛れもなくあの時の「夏休み」そのままだったような気がします。

   *

 「9月にさぁスキューバダイビングをしに沖縄行くんだけど、どう?一緒に行かない?」友人からそう誘われたのは7月のはじめのこと。「そうねぇ、ダイビングはなんかしたいとは思わないけどねぇ…。」そう答えてみたものの、今になって何か駆られるような気持ちがフツフツと沸いてきています。そうだね、そろそろホントの「夏休み」を探してみるのもいいかもしれない。

   *

 プリファブ・スプラウト 『The Gunman and Other Stories』を購入。イギリス人によるアメリカへの憧憬。それはもしかしたら「どこでもないアメリカ」かもしれないけれど、あの時私が感じた「夏休み」のようにパディ・マクアルーンの心の中に煌めいているのかもしれません。


 2001/07/21

 髪を切って、眼鏡を新調。暑苦しい顔が少しは軽くなったような気がします。

   *

 CD NOWからCDが届いてました。中身は先月末にボーナス貰った勢いで注文した4枚。バックオーダーも含んでいたのでちょっと時間がかかってましたが、結構気合いを入れてチョイスしたので首を長くして待ってたヤツです。

 デイヴ・スワーブリック 『Rags, Reels & Airs』。正直言ってジャケ買いでしたが、ジャケットから滲み出る雰囲気に偽りなし、デイヴの踊るようなフィドルとマンドリンが全編を通して楽しめる作品です。後にフェアポート・コンヴェンションでも演奏する曲も演っていたりして、なぜか嬉しさひとしお。彼のソロ作、もっと聴いてみようかな。

 ミック・ジャガーの顔ジャケが強烈なオリジナル・サウンド・トラック 『PERFORMANCE』。曲とアレンジがジャック・ニッチェ、コンダクターがランディ・ニューマンという、私にとっては垂涎の組み合わせによる作品です。しかし、いかにもジャック、いかにもランディな曲は少なく、むしろ参加しているライ・クーダーとミック・ジャガー色が強く出ているかな。全体的な雰囲気は、同じくサントラのデイヴ・グルーシン 『CANDY』と似て、サイケデリックなグルーヴ感たっぷり。中でも気怠い感じのギターをバックにミックが歌う「Momo From Turner」の緩いビートがとても心地よかったです。

 シャーリー・コリンズ 『No Roses』。リチャード・トンプソン、サイモン・ニコル、アシュレイ・ハッチング、デイヴ・マタックスといったフェアポート勢をはじめとしてブリティッシュ・トラッドの名手たちが多数参加している作品。彼らによる堅実で安定感のある演奏は「さすが」としか言いようがありませんね。だけど主役であるシャーリーのヴォーカルが少し婆臭く、そこら辺がちょっといまいちかなと思いました。残念。

 そして個人的に今回の目玉、パティ・ウォーターズ 『Sings』。松田マヨ 『夏』のオビに書かれた曽我部氏のコメントで彼女の名前を知って以来、機会を見つけてはショップのジャズコーナーで探していた作品です。一応カテゴリー的にはジャズヴォーカルということになるのでしょうが、聴いてみるとむしろレーベルメイトでもあるパールズ・ビフォア・スワインなんかに近いアシッド感が色濃く出ている作品だなと思いました。特に13分に及ぶ大作「Black Is The Color Of My True Love's Hair」は、鍵盤を叩きながら異界と交信するかのごとく奇声を発する彼女の姿が目に浮かんでくるような、臨場感溢れる1曲。インプロは基本的に得意じゃない私でも、この曲には美しさを感じることができました。


 2001/07/16

 14日は青山陽一@スーパーレコードに行ってきました。CDが所狭しと並ぶ店内にパイプ椅子を並べただけの会場。開始直前まで果たしてこんなところで十分なライブができるのだろうかと不安でしたが、結論から言えば、こんな飾らない空間でライヴを聴けたというのはとても貴重な体験だったんじゃないかなと思います。

 20:00をまわると、店内入り口のほうから飄々とした雰囲気で青山氏が登場。ギターを抱えてヨレヨレのMCが始まります。ここまではアーティストらしいオーラなど微塵も感じさせませんでしたが、ギターを弾き始めた瞬間に会場の空気は一変。レオ・コッケを彷彿とさせるような激しく優しいプレイで、聴衆をグイグイと引き込んでいきました。ループマシン(「ループくん」という名らしい)を多用しながらギターの音色を折り重ね、曲の終盤にいくにつれて高揚感をつけていくそのプレイに、私もほとんどトランス状態。行く前は「彼のヴォーカルとメロディーの現在を確かめたい」なんて思っていた私ですが、実際は彼のギタープレイにばかり耳を奪われていたような気がします。

 当日はビーチ・ボーイズ「Surf's Up」とジョージ・ハリスン「All Things Must Pass」をカヴァーとして披露。いずれも原曲の完成度には及ばないものの、青山氏らしい独特のうねりが味付けされ、なかなかおもしろい演奏になっていたと思います。まだまだ練習不足っぽかった「Surf's Up」なんかは、逆にそんなヨレヨレ感のせいもあって、まるで友達に歌ってもらっているような感じがしましたしね。個人的には大満足。

 ライヴ終了後、最新作の『Bugcity』を購入。青山氏にサインをしてもらっている途中、オープニングとクロージングでかかっていたCD(ボスコー&ジョルジュみたいなギターサウンド。リリカルですごく良かった!)のことを聞いてみましたが、本人は分からないとのことでした。マネージャーさんらしき人に詳細は教えてもらいましたが、彼のセレクトかと思っていただけにちょっと残念(笑)。


 2001/07/13

 明日からしばらく、イラストレーターとにらめっこの日々。でも青山陽一にはどうにか行きたい。…いや、行きます。

   *

 ロバート・ワイアット 『THE END OF ANEAR』。ワイアットの声を落ち着いて聴けるのかと思いきや、終始ピアノ、ドラム、サックス、そしてワイアットの声が乱反射しまくる、とてもデコンストラクティヴな作品でした。心の奥底に眠っている何かを無理矢理呼び起こすようなリズム、そして宙を舞うようなワイアットの声。そんな演奏を聴き進めていくうち、私はなんだかとても不安な気持ちに苛まれてきてしまいます。不快は不快でも、本質を衝かれるような不快感。琴線にふれて涙がこぼれるということは間々ありますが、恐くて泣きそうになるなんて経験はコレが初めて。

 その点ソフト・マシーン 『volume 1 and 2』は、同じワイアットの声・ドラムなのに、心地よいことこの上なし。ちなみに今聴いているのは、混沌とした美しさがあるvol.2ばかり(CDの14曲目以降ね)だったりします。

   *

 フレッド・ニール逝去の報を受け、初めて覗いたオフィシャルHP。トップページでは「The Dolphins」が哀しく響いていました。合掌。


 2001/07/09

 今週は、仙台でも面白そうなライブがあるようですね。

 7月12日 ナンバーガール@仙台 CLUB JUNK BOX
 7月14日 青山陽一@スーパーレコード
 7月14日 ヤドランカ with 鬼怒無月@仙台デュエット

 ナンバーガールは時間的にも体力的にもきびしいので、今回はパス。14日の2つのうちのどちらかを観たいとは思いますが、今は青山陽一を観たいなぁと、ちょっとそんな気分です。

 とは思いつつも、青山陽一ソロ名義の作品って実は聴いたことがなくて、彼関係で私の手元にあるのは12年前にリリースされたグランドファーザーズの1st『Western-Charnande』、この目玉焼きジャケのヤツだけだったりします、お恥ずかしながら。言い訳じみているかもしれませんが、彼の作品て今まで気にはなりつつも、なかなか手が伸びなかったんですよね。なぜかしら。

 ではなぜ今、彼のライブに行きたい気分なのかといえば、昨日なにげに引っ張り出して聴いたこの『Western-Charnande』に今さらながら感動してしまったから。青山氏の書くどことなくエロティックな歌詞と、70年代のアメリカンフォークロックを彷彿とさせるルーズなギターとリズム。埃っぽくて土臭く、それでいてスマートな感性も備えた、ありそうでなかなかない音楽。改めて聴いてみたら、その細かなディテールから全体を包む雰囲気に至るまで、購入当時(89年)にまったく気づかなかったことばかりが今の私の耳に響いてきたのですよ。ホント今さらながらなんですけど。

 想像するに近年の青山陽一は、基本的にグランドファーザーズ時代とメロディラインなんかはあまり変わっていないと思うのですが、いかがでしょうか?今度のライブはバンド編成ではなくアコースティックセットであるとのこと。もしかしたらそこら辺が明らかになるんじゃないかなと淡い期待をしてしまうのです。

   *

 とまぁ、こんなことを書いていますが、実は14日って、私にとっては非常に忙しい(何時に帰れるか分からない)日なのです。だけど忙しいなんて単なる言い訳。だからこんなことを書くことによって、フットワークの重い自分にプレッシャーを与えているわけですよね。ホントのところは(笑)。


 2001/07/04

 今週は自己嫌悪の毎日です。あーぁ。もうすぐ31になるっていうのにさ、何大人げないことやってんだろうなぁオレ。

   *

 ペンギン・カフェ・オーケストラ 『Preludes Airs and Yodels (A Penguin Cafe primer)』を購入。ホントは渚にての新譜を買いに行ったのですが、ふと目に付いた涼しそうなこのジャケットに惹かれ、思わずこちらを手にしてしまいました。

 ピアノとアコースティックギターによって奏でられる瑞々しい旋律。そしてそこにヴァイオリン、チェロ、オーボエなどによるクラシカルな味つけが加わり、ここ数日のような暑い日にはうってつけの音楽となって耳に届いてきます。聴いているだけでクールダウンできるようなサウンドですが、この涼しさは「木陰の…」というよりはむしろ「冷房の…」というのに近いのかな。少なくともジャケにあるようなオープンエアって感じじゃないですね。

 でもそんなリヴィングルームサウンドは、オーブによるリミックスなどでも、その個性を十分に発揮しているように思います。というかこの組み合わせ、なんとも絶妙ですよね。少し古くささは残るものの、PCO+オーブ=pal@popというような感じで、まったく驚きのサウンドに仕上がってますし。この食い合わせの妙、機会があれば皆様も是非一度お試しあれ。

   *

 やっぱ私はフェイ・ウォンが好きなんだなー。昨日はドラマの内容そっちのけで、彼女のことばかり見ていました。来週もたぶん見ますよ。もちろんの彼女のことだけを。


 2001/07/01

 そちらは暑いですか?こちらはそうでもないですよ。

   *

 CD-RW、購入しました。いろいろ悩んだのですけどね、悩み疲れて途中からどうでも良くなってしまい、結局メルコ製品を買って帰ってきました。でもメルコ製品って、機能的には満足できるんですけど、如何せんデザインが素っ気ないですからね。今後愛着がもてるかどうかがちょっと心配です。

 とりあえず、何かCDを作ってみましょうと、1月に作ったセレクトMDの曲を真夜中に焼いてみたりしました(「焼く」という表現で良いのか?)。うわー思った以上にガーガーうるさいですねコレ。壊れているのかと思いましたよホント。とりあえずちゃんと焼けたみたいだけど、これから大丈夫かなぁ…。

 さらにこのCD-RW繋いで以来、アプリを問わずメモリ不足のエラーメッセージが頻繁に出るようになってしまいました(コレ書きながら2回ぐらいフリーズしてます。)。あーやっぱ標準の64MBのメモリじゃちと不安定なのかもなー。とりあえずメモリ増設してしばらく様子見ますわ。

   *

 アフター・アワーズ#14の付録CD1曲目、FLECK feat. Tuji Fumie 「From The Morning」。ループされるシンセ音、そして気怠い女性ヴォーカル。シンプルながら浮遊感があって何とも気持ちいい曲です。今週はこの曲ばかりを聴いていたなぁ。忙しくてCD買いに行けなかったし。

 でこの曲、昨日改めてクレジットを見たのですが、なんとニック・ドレイクのカバーだったんですね。全然気づかなかったです。ということで(?)、『PINK MOON』を引っ張り出して原曲を聴いてみたのですが、アコースティックギター・リフがシンセ・ループになっただけの、基本的にはオリジナルに忠実なカバーですね、コレ(何をもって忠実とするかはとりあえず置いといて。)。

 というか今さらこんなこと言うのも何なんですけど、ニック・ドレイクの曲って、こんな風に料理したらおもしろそうな曲が多くないですか?シンプルなギターリフ、メランコリックでかつソリッドなメロディ。改めて聴いてみると、最近の音響/エレクトロ系の基本がここにすべて凝縮されているような気さえしてきました。

   *

 おかげさまでwhatwedidonourholidaysも3年目に入りました。これからもしばらくダラダラと続けさせていただきたいと思います。どうぞヨロシク。



back