Sorry,this page is Japanese only.このページは日本語のみです。あしからず。制作 Ruriwo 2003


「銃刀法改正について」

2006.8.21改正された銃刀法が施行されました。

改正の目的はエアガンの「威力」の上限を改正前より低くすること。そのためにある一定以上の威力のあるエアガンを準空気銃というカテゴリーに位置づけ取締りの対象とするものです。

ただ、2006.8.20まで所持が順法だったものが違法に変わるので混乱が予想されます。

どのようなエアガンが準空気銃にあたるのか、それを確かめるのはどうしたらいいのかを順を追ってまとめてみたいと思います。

後日注:2007.2.21銃刀法改正が完全施行となりました。それに伴い、0.2gのBB弾の威力が0.98Jを超えるエアガンは準空気銃となり、所持していると逮捕されることとなりました。

ショップ、メーカーとも改修を受け付けてくれません。準空気銃にあたる銃を所持している恐れがある方は速やかにその銃の弾速を「ご自分で」測ることをお勧めします。

法改正による準空気銃定義の意味

改正前の銃刀法では火薬式の銃の他に競技や狩猟用に使われる高圧力の気体(空気や二酸化炭素)を使って弾を飛ばす空気銃というカテゴリーが定義されていました。

端的にいうと改正前は準空気銃の威力の上限20J/cm2(0.2gの6mmBB弾で5.65J)以下のものに関しては特に規制がなく、それまでの威力であれば順法とされていました。

しかし、肝心の空気銃の威力の法定義が明文化されていなかったため、過度なパワーアップ改造をしたエアガンが犯罪に使われる事件が頻繁に起こるようになりました。

以上の背景により、エアガンの威力を厳密に定める今回の銃刀法改正につながった訳です。

警視庁は威力の上限を明文化するにあたり、銃刀法を改正し、空気銃のカテゴリーの下に新たに準空気銃のカテゴリーを新設することにより、法律に抵触する威力を人の生命に危険を及ぼし得る威力人を傷害し得る威力に引き下げました。

これは、単に威力の高い事故やトラブルの予防という意味だけではなく、空気銃の一段下の威力の準空気銃を予備的に取り締まれることによって、空気銃レベル近くの威力があるエアガンが一般ユーザーに浸透することを抑制する効果を狙ったことと思われます(それによって、エアガンが人の生命にかかわるような事件に使われることを抑制する効果が見込めるためです)。

どんな銃が準空気銃にあたるか

では、人を傷害し得る威力とは具体的にどのように法律に定められたのでしょうか。

医学的見地からみると3.5J/cm2を境に人体に与えるダメージが飛躍的に増大することから、この値を準空気銃の威力の下限値に定めたそうです。

基準値に使われているJ/cm2という単位は、単位面積に対してかかるエネルギー量の値です。

エネルギー単位であるJ値をBB弾の断面積あたりで割ることにより、どれだけの力がかかるかを示した値で法律に定められる単位ではわりとメジャーです。算定基礎となるJ値の計算についてはこちらの記述をご覧ください。

所有しているエアガンが準空気銃にあたるかどうかを検証するには、J値を算出するため必ず使用するBB弾の重さと初速を測る必要があります。

BB弾の重さを量るのはそんなに苦労しませんが、初速を測るには必ず銃口設置型ではない弾測計が必要になります。

一般ユーザーがそのためだけに個人で購入するのにはちょっと値が張ります。現実的には弾測計のあるショップで測定するか、もしくはASGKの簡易弾測計を使って予備測定し危なそうならばメーカー送付し検証してもらう、安全リストに乗っている商品であれば機関部をノーマル状態に戻して順法品にする等が現実的な対応といえるでしょう。

測定条件はどうなるか

前にも書きましたが、準空気銃にあたるかどうかを検証するには、J値を算出するため初速を測る必要があります。

ただ、初速を測ろうにも、銃口から測定点までの距離、フロンガスを用いるガスガンに至っては測定時の気温で当然、測定される値は変わります。

細かい条件は以下のように内閣府令で公布されています。

第一条の二


法第二条第一項又は第二十一条の三第一項の内閣府令で定める弾丸の運動エネルギー(単位は、ジュールとする。以下同じ。)の値の測定は、次に掲げるものに基づき算出することにより行うものとする。

一 水平方向に発射された弾丸が弾道の上における銃口から水平距離でそれぞれ○・七五メートルの点と一・二五メートルの点との間を移動する速さを、室内においてその温度が二十度から三十五度までのものである場合に測定したときにおける測定値

二 弾丸の質量の測定値

(人の生命に危険を及ぼし得る弾丸の運動エネルギーの値)

いろいろ難しいことが書いてありますが、要点は

  1. 気温は摂氏20度〜35度まで(ただし、そのすべてで測定)
  2. 弾速計の測定点は50cmのあいたものを用いる。銃口から前の測定点までの距離を75cmとする。

以上の二つです。

内閣府令に記述はないものの、GUN誌2006.9月号の記事「改正銃刀法 流通説明会」の記述の208Pの一文にて、初速測定時のBB弾の重さは6mmBB弾であれば0.2gを基準にしているとあります。

安全リストの製品の一部にも、0.2g時は条件を満たしているものの、0.25gや0.3gを用いると3.5J/cm2を超える製品もあることから、BB弾の重量は0.2gを用いて測定するべきです。

内閣府令に定められた計測を行うなら、弾速計の測定点は50cmのあいたものを用いなければらない。ゆえに所有していなければ、その規格に合ったものを購入しなければならなくなる(ショップはともかく一般ユーザーでは現実的ではない)。測定値は銃口から1m先の衝撃値をはかるため、測定点の2点間の中間が1mになるようになっている。

私の所有するM-1弾測計の測定点の距離は約30cm(正確には30.6cm)。簡易的に測るには測定点の2点間の中間が1mになるように銃口の距離を85cmのところで測定する。少なくとも簡易弾測計よりは高い精度で測定することが出来る。威力にかかわる機関部を改造していたり、機関部が箱出しでも安全リストに載っていないエアガンで6mmBB弾0.2gで95m/s以上出ている場合は威力を下げるセッティングをしたほうが安全である。

エネルギーのかかる面積の計算の仕方

内閣府令に定められている衝撃値は実は6mmBB弾ではありません。6mm以下のものと6mm以上のものにも記述があります。

内閣府令の記述は以下のとおりになっています。

第十六条の三


弾丸の運動エネルギーにつき法第二十一条の三第一項の内閣府令で定める値は、弾丸を発射する方向に垂直な当該弾丸の断面であつて当該弾丸の前端からの距離が〇・三センチメートル以内のものに係る面積のうち最大のものに三・五を乗じた値とする。

(準空気銃製造業等の届出の手続)

詳しくは下の図を参照してもらうことにして、6mm以上の直径のBB弾の場合はその半径から求められる断面積ではなく、「弾丸の前端からの距離が〇・三センチメートル以内のものに係る面積のうち最大のもの」となります。

8mmBB弾0.34gの場合を例にとった場合、断面積は約0.47cm2、初速は約98.5m/s、J値は約1.65Jとなります(4mmの半径で計算した初速:約101.72m/s、J値:約1.76Jではありません)

6mm以下のBB弾の場合、弾の先端から3mmの距離<1>からの断面積は<2>の線で切り取られる面となるが、<3>の円の半径から導かれる断面積の方が大きいため、計測に用いる断面積は<3>*<3>*πとなる。

6mmのBB弾の場合、弾の先端から3mmの距離<4>=半径である。ゆえに断面積は<4>*<4>*πとなる。

6mm以上のBB弾の場合、弾の先端から3mmの距離<6>から<7>の線で切り取られる面が断面積となり、計算式は<11>*<11>*πとなる。なお<11>を算出するにはピタゴラスの定理を用いればよい。<11>2=<9>2-<10>2=<9>2-(<9>-3)2=6*<9>-9ゆえに<11>=√6*<9>-9で算出できる。

罰則と法解釈について

2006.8.21以降、準空気銃の所持していた場合、銃刀法により1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に問われます。

ただし、2006.8.21以前に準空気銃を所有していた場合に限り、その物件に関しては6ヶ月間の猶予期間があります。実質は2007.2.21から完全施行となるわけです。

この記事を書いている現在(2006.10.14)はこの猶予期間中となります。

ユーザーはこの移行期間内にすべての所有しているエアガンを準空気銃以下の威力にするか、破棄して所有しているエアガンをすべて順法のものにしなければなりません

なお、複数測定して一度でも3.5J/cm2(6mmBB弾0.2gで0.989J)を超えたら、準空気銃とみなされるので注意が必要です。

後日注:繰り返しになりますが、2007.2.21銃刀法改正が完全施行となりました。それに伴い、0.2gのBB弾の威力が0.98Jを超えるエアガンは準空気銃となり、所持していると逮捕されることとなりました。

ショップ、メーカーとも改修を受け付けてくれません。準空気銃にあたる銃を所持している恐れがある方は、速やかにその銃の弾速を「ご自分で」測ることをお勧めします。

衝撃値の自動計算表

以前Excelで作った衝撃値の自動算出表を乗せておきます。

法改正後の順法化のためJ値や初速逆算し、所有のエアガンと照らし合わせる際にご利用ください(また、条件を変えてあげれば実弾、8mmBB弾などの衝撃値の算出にも流用できます)。


syougeki.lzh(lzh圧縮 4.15K Microsift Excel2kファイル)



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