「<数学者>と言うものを知らないか?」
夢の中で誰かが呼びかける。
色が認識できず、そもそも夢だという事も分からない夢・・・
ただ声だけは明確に聞こえてくる。
記憶の中にあるどの声とも違う不思議で、しいて言うなら紫色のような声。
惹きつけられるのに戸惑ってしまうようなそんな声。
「この世の中にはいろんな矛盾があるんだ」
誰もがたどり着けないような世界の真理を淡々と紫色で述べているような声が聞こえる。
ただ、その発信源は目の前にあるようでそうでない、頭の中に入り込むような声。
不快感は、ない。ただ知ってはいけないものを知るような好奇心と不安が入り混じる。
−おかしいな、夢のはずなのに−
あまりにもリアルなのに限りなく非現実的な夢。
だが違和感がない。むしろそれが当然のようだった。
「世界を司る数学とて例外ではないんだ」
・・・言葉の意味が分からない。でも一つだけ分かっている。



それは真実である、少なくともそう納得させる物だった。

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