夢か現か幻か…
どれかなんて分かりはしない。

でも、起ってしまった。


涙色の雨


薄暗い廊下。
人の少女が走っていた。

「も〜、忘れ物なんて最悪。なんでこんな時にしちゃうかなぁ。」

もう放課後で校舎には誰もいない。
少女自身、部活が終わって帰ろうとした際に気付いた忘れ物。
自業自得だと判っていてもいらいらしてしまう。

「外は雨だし…も〜、早く行かないとみんな待たせてるのに〜!」

しかも、外は雨の上に友達を待たせている。
できるだけ全力疾走で廊下を駆け抜け目的地に到着。

「やっと、着いた。急いであれを…あれ?」

急いで忘れ物をとろうと思うが…生憎先客がいた。
教室の中には、数人の同級生だろう女の子が集まっていた。
どうやら、談話をしているらしく何かを言っては笑っている。

「あっちゃ〜…あの人たちがいる。(汗)」

扉を開ける手を止め、頭を抱える。
少女は、実は彼女たちの事が苦手…というか、関わりたくなかった。

「あの人たちグループ意識強いんだよねぇ。」

この年の少女は大なり小なりグループを作る。
実際この少女もよくしゃべる友達とそうじゃないクラスメートぐらいには意識を持っている。
しかし、自分たち意外は徹底的に仲良くする気のない彼女たちは苦手だった。

「…ここで、扉を開けた日には絶対後で悪口の嵐だよね。」

彼女たちの話に登るのはもっぱら悪口。
前にも通りすがりでクラスの子がぶつかった時、謝っていたのに悪口を言い始めたぐらいだ。
きっと、中に入れば今度は自分の悪口になるのだろう。

「…でも、置いてけないしなぁ。」

だからと言って、忘れ物を置いてもいけない。
さて、どうしたのものかと考えていると不意に中の話し声が聞こえなくなった。
扉が開いていないから帰ってはいないはずだ。

「ひょっとしてもう帰るとか?」

だったら、帰った後に入ろう。
時間が少しかかるから待たせている友人には悪いが背に腹は変えられない。
じゃ、隣の教室ででも待つかと移動しようとした時。

「ど、どうして、あんたがここに…こ、来ないで!近づかないで!」
「いやっ!止めてお願い!!!…あ、あ…キャー!!!」

突然中から聞こえた彼女たちの脅えるような声。
引き裂くようなソプラノの叫び声が静かな廊下に響いた。

「な、なに?なにが起ったの!?」

あまりの事に驚いて中を覗く。
するとそこには…ぐちゃぐちゃになった机の真ん中で倒れている全員が姿。
少女は、慌てて中に入るとその中の一人に近づく。

「大丈夫っ!?どうしたのっ!?」
「う…うぅ…」
「なにこれ…なんでこんなにケガしてる訳?」

抱き上げて軽く揺さぶるが呻くだけで反応はない。
さっきまで普通に話していたはずにもかかわらず、ぼろぼろの姿。
あまりに事に混乱しそうになるが、このままにはしておけない。

「とりあえず…救急車!?」

いや、その前に教師への連絡だろうか?
なんにせよ職員室に行かねばならないだろうと判断し、立ち上がる。
その時、感じた人の気配。

「誰!?……………なんだ…」

勢いよく振り向いた瞬間に目の前に写ったのは黒。
それを最後に彼女の意識は溶ける様に落ちていった。





それからしばらくした頃だろうか…
痺れを切らした友人が迎えに来たが、そこに少女姿はなかった。
そこにいたのは、傷つき倒れていた数人と…





なぜかぐっしょりと濡れた少女の内履きの片方だった。





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*アトガキ*
事件発生ですが…これは、怪奇物でしょうか?
あんまり推理!ミステリー!という感じではないですね。(汗)
今のところメインキャラは4名程考えていますが、実際はほぼ出てくると思います。
だから、メインキャラの人が増える可能性も…書ききれるのでしょうか?
とりあえず頑張ります。

2004/06/20