いきなりいきずまってしまった猫探し。
猫は、どこへ消えてしまったのか…

途方もない猫探しが始まった。


Secret Clover
〜依頼1、消えた猫を追え④〜



*ダイアゴン横丁路地*

灰色のブロック塀の十字路。
何の変哲もないその十字路にあさみと空良・雪兎はいた。

「えっと、ここが雪兎ちゃんが言ってた猫さんの誘拐現場だよね。」
「はい、猫さんの話では…」

そう、ここは猫が見知らぬ少年に連れて行かれた場所。
3人は、とりあえずそこにいけばなにかあるのかと思いまずはここに行ってることにしたのだ。
どうやらちょうど店の裏手に当たるらしいこの路地は、表とは違い静かだ。

「あぁ…とりあえず来てみたけど、やっぱり何にもないね。」
「アスファルトじゃ、足跡も残らないもんね。」
「いや、足跡が残っててもここじゃ不特定多数過ぎると思います。」
「!?…で、でも、ミステリーだとそういう足跡から特定の犯人を〜!」
「空良先輩、今は手がかりを捜す方が…(汗)」

手がかりを捜しつつしっかり空良に突っ込む事は忘れないあさみ。
ミステリーについて力説する空良を雪兎が宥めつつ路地をキョロキョロと見渡すが、店の裏手にゴミ箱がある位でなにもない。
ある程度予想は出来ていたこととはいえ、多少落胆の色は隠せない。

「…見事に何にもないね。次の場所に行く?」
「ひょっとしたら…と思ったんですけど仕方ないですね。」
「二人とも諦めたらだめ!探偵は地道に小さな手がかりを捜す物なの!」

困ったようにあさみと雪兎はお互いに顔を見合わせる。
集合時間がある以上、いつまでもここで手をこまねいているよりも他の場所に聞き込みに行くなりする方がいい。
諦めて次の場所を捜索しようとするのがただ一人諦めていない空良は…突然その場にしゃがみ込んだ。

「でも…ちょっと待て!?だからって、虫眼鏡で壁の淵なんて見ても何にもでません。(汗)」
「空良先輩、怪しいですよぉ。(汗)」
「意外にこういう隙間とかに犯人の痕跡が…」
「「まずは、人目を気にしましょう!!!」」

片手におっきな虫眼鏡。
特徴的なぐるぐる眼鏡から虫眼鏡越しに壁の隙間を見る姿はかなり怪しい。
道の端で騒ぐ3人は…
とても悪い意味で目立っていた。

「…何やってんの?(呆)」

後ろからかけられた2つの声。
驚いて振り向くと、そこには燕雀探偵社探偵のロキと空良の妹のまゆらがたっていた。
ちなみにロキは心底呆れた顔をしているが、まゆらは目を輝かせていたりする。


「あきら、なにか事件!?(きらきら)」
「…まゆら先輩?(汗)」

見事な効果音付きで向けられる視線。
ミステリー好きの彼女にとって、端から見ても怪しいはず姉の姿は事件に結びついているらしい。
ちょっと困りつつも情報が欲しいあさみは何か知っていない聞こうと口を開くが…

「えっと、これはちょっと猫を…」
「野良猫誘拐事件の犯人の手がかりを捜してるの!(キッパリ)」

空良の発言に遮られてしまう。
だが、確かに猫は誰かに連れて行かれたが別に攫われたと決まってない。(そもそも野良)
むしろ、保護や飼う為に連れて行っただけなのかもしれない。

「∑!?空良先輩!?攫われたって決まって…」
「それはなんて大事件なの!?」
「「∑えぇっ!?」」
「……(猫の誘拐って大事件なの?しかも、野良猫…/呆)」

すかさず雪兎が訂正に入ろうとするがそれもまゆらによって遮られる。
それをロキは冷静に見てたりするが、見事に我関せずに傍観している。
…中々いい性格だ。

「忽然と消えた猫…」
「何も証拠品が残ってない現場…」
「…まゆら…」
「あきら…」

しかし、そんな周りを置いてどんどんテンションが上がる双子。
普段は、おっとりした性格なのだが…この手のネタになると見事に性格が変わる。

「「ミ、ミステリ〜!!!(ぐるぐるめがね着用)」」

姉妹で手と手を取り合って叫ぶ。
これもまた思いっきり悪目立ちしていて何人か通行人が通ったが…みんな早足で逃げた。(それも凄い早い)
そのままどこまでも突っ走りそうな双子に遂にロキが動いた。

「…まゆら、バカやってるとこ悪いけどそろそろ帰りたいんだけど…」

——だから、いい加減にしなよ。
心底めんどくさそうにロキはまゆらに言うが、その体はもう半分家の方向を向いている。
…どんな返事でも帰る気満々のようである。

「でも、ロキ君大大大事件だよ!」
「そうだね。…でも、早く帰らないと闇野君の入れてくれるお茶が冷めてしまう。」
「や、闇野さん…(ぐらっ)」

さすが、名探偵…まゆらの弱点はお見通しらしい。
闇野の名前に反応し、思いっきり揺れるまゆら…恋する(?)乙女である。
そんなまゆらに背を向けてそのまま歩き出すロキに空良が騒ぐ。

「え〜!探偵なんだから一緒に考えてよ!」
「正規の依頼じゃないし…それにもうすぐ杏弓の帰って来る時間だよ。早く帰らなくちゃ。」
「なにそれ〜!!ちょっと暗い助言をしてくれてもいいでしょ!」

実は、超シスコンのロキ。
絶対に闇野のお茶や依頼云々は口実で帰って来る姉が目的だろう。
納得できずに空良が騒ぐが当のロキはどこ拭く風である。

「助言!一言でいいから意見言っていってよ!」
「なんで?……でも、そうだね。」

掴む空良を振り切りロキは、去ろうとするが…
後ろでおろおろしている雪兎を見て一度足を止める。

「後ろの困ってる雪兎の為に1つだけ教えてあげるよ。」

全てを見透かされるような錯覚起す笑み。
雪兎の方を向きいつもの見透かすような笑みを浮かべる。

「猫は、ここにはいない…でも、2時間後ぐらいには見付かるかもね。」

具体的なようで抽象的な予言めいた言葉。
それだけを告げるとロキは今度こそその場を立ち去った。
残された3人はちょっと固まって…

「…えっ!雪兎ちゃんオンリー!?」
「コメントそれだけですか!?」

どうやら猫の事よりも雪兎に限定した方が気になったらしい。
思いっきりずれた方向に叫ぶ空良にあさみは思わず突っ込む。

「ここにいない?2時間後?(ロキ君、どうしてわかるんだろう?)」

そして、当の本人は限定された事はあまり気にしていない。
ただロキの言葉の意味を首をひねりながら考えていた。



意味深な言葉の真意はまだわからない。



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*アトガキ*
はい、猫探しの4話目です。
やっとキャラの登場でまゆらちゃんとロキ君です。
何とかキャラは登場しましたが…いろんな意味ですみません。
双子のテンションが高すぎです…風夏さん、申し訳ありません。(涙)
次はもう一班の捜索ですが、ちゃんと事件が解決するか心配です。

2004/06/11