今回の依頼は猫探し。
楽勝と思ってのぞんだはいいのだが…

世の中そんなに甘くないようである。


Secret Clover
〜依頼1、消えた猫を追え③〜



”猫は何者かに連れて行かれた。”

この雪兎の爆弾発言に一瞬言葉を失うメンバー。
そして…

「「「ちょっとまて—————!!!」」」」

一斉に騒ぐ。
というか…むしろ、混乱し始める。

「いない?連れてかれた?どういうことなわけ???」
「え、えっと…こ、言葉の通りだと思いみゃす。あさみ先輩。(汗)」
「連れてかれたって、一体誰が何のためにだよ!?」
「そ、それは、私にはにゃんとも言いかにぇみゃす。綺羅ちゃん。(汗)」
「連れてったやつはどないな顔してとるん!?」
「い、いえ、顔みゃで…ちょっとわかりみゃせん。翔茶君。(汗)」
「消えた痕跡と連れ去られた猫…み、ミステリ〜vvvvvv」
「……空良先輩、反応が違いみゃす。(涙)」

畳み掛けるように振ってくる質問。
当たり前だがその標的になってしまった雪兎はおろおろとしながら答えるしか出来ない。
もはや雪兎自身はパニックを起してろれつが回ってない始末である。

「みんな!落ち着いて!今は、それどころじゃないでしょう!?」

そんな中、それを静止するように強めに放たれた声。
その声に全員が動きを止め、声のした方向を見ると香奈が不機嫌そうな表情で立っていた。

「今は、混乱してる場合じゃないでしょ!まずは、分かってる情報を整理するのよ!」
「そ、そうね。まずは状況の把握が必要だわ。」

香奈の言葉に冷静を取り戻すメンバー。
やっと質問責めから開放され、一息ついている雪兎にあさみは声をかける。

「雪兎ちゃん、その猫を連れて行った人の特徴とかわからないの?」
「え、えっと…確か、若い男の人で大きな鞄を持っていたみたいです。」
「大きな鞄?…じゃ、連れてかれた時間と場所はわかる?」
「今から、30分程度前でここから300m.ぐらい離れた路地です。」

上げられる情報は、お世辞にもいいとは言えない。
でも、この状況ではこれだけの情報が情報の整理を始める。

「今ある情報は連れて行ったのは大きな鞄を持った若い男。」
「なーなー、今から30分前程度なら追いかければ見付かるかもしれへんで?」

あさみの言葉に翔茶はハイハイと手を上げて発言する。
今にも猫が連れて行かれたと思われる現場まで走っていきそうな勢いだ。
しかし、それを隣で聞いていた香奈はちょっと困ったように眉を寄せる。

「でも、行き先がわからないのに闇雲の追うのは無駄よ。」
「ダイアゴン横丁を出たのかそうでないか…雪兎ちゃん、わかる?」

確かに30分前なら追いかければ追いつく可能性はある。
ただ、それは相手の行き先を大体でもいいからもわかっている状態なわけで。
もう一度尋ねられるが、雪兎は申し訳なさそうに首を振った。

「すみません…その路地を右に曲がったと言うことしか…お役に立てずすみません。」
「雪兎ちゃん…落ち込んじゃだめぇっ!!!」

あんまり情報を得られなかった事に責任を感じたらしい。
落ち込みしゅんと俯くと、何かを思いつたらしい空良が突然その背中に飛びついた。

「わゎっ!?空良先輩!?」
「落ち込んでても何も始まらないの!少ない手がかりでもミステリーを解いちゃうのが名探偵なんだからv」

女の子同士とはいえ、雪兎と空良の身長差は結構ある。
当然のごとくよろめきながら驚く雪兎ににっこりと笑いながらそういった後、他のメンバーの方を見た。

「名探偵の基本は聞き込み!わからなければ聞けばいいの!!」

ピシッと指を刺して、言い切る。
目をキラキラと輝かせている空良の様子に他のメンバーは一瞬呆気に取られた後…笑った。

「ま、空良が名探偵かは不明だけど…言ってることは正論ね。」(あさみ)
「空良が名探偵かは不明だけど…じゃ、組は空良・あさみ・雪兎と私、綺羅・翔茶でいい?」(香奈)
「空良先輩が名探偵かは不明だけど…それでいい。」(綺羅)
「空良先輩が名探偵かは不明やけど…ほんじゃ、手分けして捜そうか。」(翔茶)
「ちょっと〜!なんでみんなしてそこばっかり強調するの!」(空良)

てきぱきと指示を出すあさみと香奈に他のメンバーは異存ないと頷く。
ちなみにその後ろでは、空良が『名探偵かは不明』発言に反発していたのは全員に黙殺されていた。

「ほんじゃ、いっちょうやったろうやん!」
「えっ?もう行くの?…聞き込みv聞き込みvう〜、ミステリ〜vvvv」
「聞き込みでか?(笑)」

組分けも決まり、元気よく一番に走り出す翔茶。
その後ろを空良と綺羅もついていこうとするのをあさみが思い出したように止める。

「待って…言い忘れ、集合は今から2時間後ね。それ以上は、制服の捜査はだめだから。」
「集合場所はここ。情報交換後、猫探しに目処が着いてなかったら私服に着替えて捜査開始な。」

学校帰りの生徒の多い今の時間帯ならともかく、それ以上は制服だと問題。
補導ももちろんだが制服姿の子が暗くなってから行動しているのは、案外目立つのだ。
あさみの言葉を続けるように香奈が言った後、今度こそメンバーは一斉に猫を探すために動き出した。



果たして猫はどこへ行ったのか?
猫を連れ去った理由とは何なのか?



今、捜査が始まった。



Back. or Next.


*アトガキ*
はい、猫探しの3話目です。
3話なのにまだキャラたちも出てきません。(泣)
でも、次こそは出します!(たぶん/えっ)

2004/05/02