記憶に残っているの自分を撫ぜる大きな手。
そして、身に纏うパンの匂い。

そして、残ったのは小さな髪飾り。


Secret Clover
〜依頼1、消えた猫を追え①〜


ある夕暮れの中。
少女は、必死にあるものを探していた。

「いったいどこに行っちゃったの?」

涙目になりながら周りを見渡すが人影ひとつなく。
静かな路地が今の彼女にとっては絶望的だった。

「どこに行っちゃったんだろう…お〜い!猫ちゃ〜ん!!!」

彼女が探しているのは、一匹の猫。
なぜその猫を差がいるかと言えば、2時間前に遡る。






珍しく店が休みだった今日。
彼女は、部屋で一人のんびり読書(漫画/)の真っ最中だった。

『たまには、こういうのんびりするのもいいわ〜。』

彼女の家は、ダイアゴン横丁のパン屋。
父の亡き後、実質母と二人で店を切り盛りする彼女にとっては本当に珍しい休日。

『う〜、やっぱりジ○ン○って最高v』

自分から望んで家を手伝っているとは言ってもたまには休みたいのも事実。
某少年誌を片手に休日を満喫していると不意に窓から何かが入ってくる気配がした。

『?…猫?』
『にゃ〜』

そこにいたのは、一匹の猫。
少し切れ目の入った方耳に、黄色い目で片目は開くことはないチャトラ。
たまに近所の子供が餌をやっているのを見た事があった。

『どうしたの?…って、こら!それで遊んじゃダメ!』

机の上にあった髪留めを足で弄っている猫。
彼女が止めに入るために近づこうとしたその時、猫はその髪留めを口に銜え…



食べた。(まさしくぺろりと)



『(ごく)…にゃ〜』
『にゃ〜じゃなくて、吐き出せ…って、逃げるな!!!』

あっさりと飲み込まれた髪留め。
慌てて吐き出させようとするが、猫は窓から飛び降りて逃げ出してしまい…今に至る。





「やっぱり、窓を開けっ放しだったのがダメだったのかな?」

よく母にも窓は閉めて置きなさいと言われていた。
もしも、守っていたならばこんな事にはならなかっただろう。

「髪留めなんて飲み込んだら。おなか壊しちゃうよ〜!!!」

いくら猫を呼んでもでてくるわけがなく。
見付けても全然違う猫ばかり。

「見付からない…でも、諦めないわ!」

時間だけが過ぎ途方にくれつつも諦める気配はない。
なぜなら…

「だって、あれは死んだお父さんが買ってくれたんだから!」

猫が飲み込んだ髪留め…
それは、彼女にとって父が最後に買ってくれた形見で大切なもの。

「絶対、見つけるんだから!」

故に諦めきれるわけがなく。
改めて決意するが、どうすればいいのか見当も付かない。

「…そういえば…」

そんな時、不意に思い出した友人の言葉。
噂話などに詳しい彼女の友人は、学生の問題を解決する探偵のようなものの存在を教えてくれた事がある。

「…私は、学生じゃないけど…って、塁ちゃんの言ってる事が正しければだけど…」

もう学生でないし、本当なのかもわからない。
でも、今の彼女にはそれ以外頼れるものはなく。

「とりあえず…塁ちゃんに電話して聞いて見なきゃ。」

いちかばちか賭けてみることに決め。
彼女のは、詳しい事を聞くために友人に電話をかけに家路を急ぐのだった。



そして、それから1時間後。
彼女…宝生朱音からの依頼がSCに届いた。


Back. or Next.


*アトガキ*
やっと書けました!風夏 涼凪様よりの依頼です!
…遅くなりまして…本当に申し訳ありません
もう半年以上前の依頼です…本当に申し訳ありませんでした。
では、頑張って続きも書きますのでよろしくお願いします。

2004/04/02