読みませ、捕物帳。
江戸を舞台として、繰り広げられるミステリ、捕り物帳シリーズ。
時代小説としても、ミステリとしても楽しめるなんて、とってもお得。
「江戸という過去を舞台としたタ短編の本格推理小説」。 神田の貧乏長屋、通称「なめくじ長屋」に住む砂絵かきのセンセーや、 その仲間たちが、「カネ」を目的に謎を解決いたします。仲間たちとは、 大同曲芸師マメゾー、乞食坊主のガンニン、熊の真似をして歩くアラクマ お札くばりのテンノー、幽霊じたての乞食のユータ、ひとり芝居のオヤマ、など。 こういう身分の低い人たちが主人公の作品ってそうありませんよね。 地名やその読み方、風物なども、筆を惜しまず、詳しく説明してあります。 このシリーズの各題・季節・主な地名・道玄坂感想をまとめてみました。 |
岡本綺堂 『半七捕物帳』シリーズ(2/4) |
捕物帳の元祖と言われる岡本綺堂の『半七捕物帳』。 岡っ引き稼業をしていた半七老人が、自分の携わった事件について、 若い新聞記者である「私」に語って聞かせ、それを書きとめたという形式。 つまり、これが語られるのは明治20年代という設定。 だから、江戸の細かい仕組み等についての微妙な注釈有り。 岡本綺堂は大正6年から20年間かけてこのシリーズを創出しました。 「江戸の話を明治に聞いている」というリアリティにあふれています。 約80年も前にこの作品が書かれたとは、信じられない新しさ。 各題・ヒトコト内容紹介・時代設定・登場人物なとをまとめてみました。 |
このシリーズ、単なる捕物帳として扱っていいのだろうか・・・。 そう迷ってしまうのは、あまりにも「それ以上の要素」がつまっているから。 江戸の風物、四季、人情・・・。濃やかな筆遣いが女性らしくて魅力的。 文章が読み易く、入りやすいのもいいですね。 主人公は、「かわせみ」という旅籠の女主人「るい」と、その恋人で、 与力を兄にもつ東吾。他に、八丁堀時代からのるいの奉公人の、嘉助や お吉、東吾の友人の、御典医の父を持つ麻生宗太郎や同心・畝源三郎 といった人々が主に登場します。このシリーズの面白いところは、 時間がちゃんと推移していくこと。皆が恋愛し、結婚し、子どもが生まれ・・・ これからも非常〜に楽しみな超有名シリーズ。 |
平岩先生のもう一つの捕物シリーズです。時は、11代将軍家斉の治世。 主人公は、南町奉行根岸肥前守の内与力で、神道無念流の名手の隼新八郎。 内与力とは、奉行直属の家臣で、いわば奉行の私設秘書のようなもの。 従って、奉行の元に持ち込まれた、内々に探索しなければならないような事件、 つまり、大名などの武家関係の事件が中心となります。 新八とは剣の同門でもある同心大竹金吾や、新八に想いを寄せるお鯉といった 面々となっていますが、個人的には肥前守のお人柄が心地いいです。 |
宮部みゆき 『霊験お初捕物控』シリーズ |
横溝正史 『人形佐七捕物帳』シリーズ |