丘の上で閃光が走った。そして、轟音が響いた。そこにタイムマシンが現れた。
息が詰まった。言葉が出てこなかった。
なぜだ。なぜなんだ。
サトルの首がガクリと垂れた。
「タイムマシンは三度、来たんだ…」
その言葉を最後にサトルは動かなくなった。
脈が止まった。僕は大声でサトルの亡骸をゆすって叫んだ。
「二度じゃないのか。俺たちは二回しか未来を見てないんだぞ」
そう叫んで、気が付いた。タイムマシンは三度来ている。五年前に二度派遣された。一度目に廃墟を見て、二度目は何も映さず、どこかへ消えてしまった。それは失敗とされた。そして一年前、三度目の派遣があった。そして崩落が始まった。
二度目の失敗は、到着しなかっのではなく、僕が破壊してしまったのだ。
そして、今、かなたに三度目のタイムマシンが到着した。
あれはすぐに戻ってしまう。ここからいくら走っても、とても間に合わない。
すべてが終わったのだ。僕が終わらせてしまったのだ。
タイムマシンは再び閃光と轟音を残して帰っていった。
僕は何事もなかったかのように静まり返った丘のてっぺんを眺めながら、立ち尽くした。
いつまでも、日が暮れるまで、そこで丘を見ていた。
僕が未来を狂わせたのだ。僕がすべてを壊してしまったのだ…。
僕はいつまでも丘を眺めていた。
fin
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