ふとサトルの顔が目に浮かんだ。
そうだ、戻って看てやらなければ。
僕は丘を降りた。街へ着くと、サトルは気を取り戻していた。僕の顔を見て安堵の表情を見せる。
「お前だったのか」という言葉に続いて「どうだった」と聞く。
「ああ、何も間題はない」
僕はいきさつを説明して、サトルを抱きかかえた。
「世界がもとに戻る瞬間を見届けよう。俺たちが世界を救ったんだ」
意気揚々と、近くのビルの屋上へ上った。
しばらく街を見下ろしていた。だが、いつまでたっても何も変わらない。
サトルの脈が除々に落ちてゆく。
「もう少しだ。もう少し頑張れ」
僕は必死で励ましていた。
喜びは二人で分かち合いたい。
「運命は変えられるもんなんだな」
サトルは力なく言う。その瞬間が間もなく訪れる。
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